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ワタシの家族写真撮影物語 ④

この投稿は『ワタシの家族写真物語 ③』のつづきです。

我が家を象徴するボードゲーム大会

つづいては
屋内での撮影へ移った

すっかり気持ちもほぐれて
お菓子を食べたり
飲み物を飲んだりしながら
ボードゲームに興じている風の
撮影が進んでいく

最後の一手で優勝が決まる
というシチュエーションをみんなで作る

単なる撮影だというのに
ガチで勝ちに行こうとする私たちを見て
チヱさんたちは苦笑した


勝敗が決まったところで
最後は表彰式

各自が事前に書いてきた
賞状を読み上げると、
工夫を凝らした文章に
笑いの渦が巻き起こった

息子が私に書いた賞状は
我が家に飾ってある
相田みつをの言葉のパクリだった

「なんという手抜き!」
とみんなで大笑いしたけど、
私のことを
家族の空気を作っている存在だと
思ってくれているのが
伝わってきて
思わず泣き笑い

表彰式が終わったところで
カメラマンのチヱさんが
「最後にもう一度、歌を歌いましょう」と言った

TOMOMIさんが
椅子を二脚用意してくれた

てっきり私たち夫婦が前に座って
子どもたちは
後ろに立つとばかり思っていたのに
息子が我先にと
ロッキングチェアに座ったものだから
隣に娘が座ることになった

私たち夫婦は
後ろに立って肩を組んで、
それぞれの手を
子どもたちの肩に置いた

そして、声高らかに
『カントリーロード』を
歌い上げた

「なんか応援歌を
歌っているみたいだな」
と夫がつぶやいた

学生時代に
応援部の吹奏楽団で出会った私たちは
よく仲間と一緒に肩を組んで
応援歌を歌った

一つのチームだった私たち家族は
ここから先は
バラバラになって
それぞれの道を進んでいく

家族と肩を組みながら
『カントリーロード』を歌った思い出が、
未来の私たちの
応援歌になったらいいと思った

こうして私たちの
家族写真撮影は終わった

家族写真が大切なお守りになる

撮影中
チヱさんやTOMOMIさんに
かけてもらった言葉も
宝になった

娘は、
普段から歌っていることもあって
「表情筋がよく動いていて
表情がとても豊かだ」
と言われた

写真に写し出された娘は、
顔をクシャクシャにして
屈託なく笑っていて
本当に可愛かった

息子は、
ロッキングチェアに座って
揺られたとたんに
彼本来の自由奔放で
甘えん坊な感じが全開になった

「とってもいいキャラクターだから
このまま大きくなりなさい」
と太鼓判を押された

そして夫は、
「力が抜けていていい感じだし、よく笑う」
と言われた

近すぎて
気づいていなかった
家族それぞれの良さを
再認識することができた


4月に
社会人になったばかりの娘は、
三人のプロの仕事ぶりを間近で見て
「みんな好きなことを
フリーでやっていて、
それがいいなと思った。
私もいつかそうなりたい」

とつぶやいた

言葉を選ばない自由人な息子は、
「結構、粘るんだなって思った」
と言った

今まで撮ってきた記念写真みたいに
適当に何ポーズか撮って
終わらせるんだと思っていたけど、
いい写真が撮れるまで粘るんだと
感心したらしい

いずれ社会人になる息子が、
そういう仕事の仕方もあると
知ることができたのは
大きかったかもしれない

撮影を楽しみにしていた夫は、
「あぁ、楽しかったなぁ。
終わっちゃって淋しいなぁ」

と余韻に浸っていた

そして、
生まれて初めて着た着物を
たいそう気に入って、
またお正月にでも着たいと言った

「すべてが
あの撮影にたどり着くような
必然性を感じました」

ヘアメイクのTOMOMIさんが
言語化してくれたとおり、
点と点がつながって
こんなドラマが生まれるのかと
感慨深いものがあった

ここまで歩んで来るのに
色んなことがあったけど、
自分の人生のシナリオを
「うん、いいじゃん!」
と思えた

そして、
撮影を通して視覚化された
それぞれの豊かな個性を見て、
このメンバーで家族になれて
本当によかったと
感じることができた

昨年9月に参加した
「美の覚醒プロジェクト」の写真撮影が
こんな結末を迎えるとは
誰が想像していただろうか

あのとき、
カメラマンのチヱさんは
「撮影した写真は
護符のようなものだから
ぜひ額装して飾ってください」

と言ってたっけ

この家族写真が
ここから別々の道を歩んでいく
私たちの大切なお守りになる

そう確信した


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