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親子いけばな教室 広瀬典丈

 2015~18年文化庁伝統文化親子教室の認可をいただき、千種区本山緑区有松で「親子いけばな教室」を開設しました。2016年度には豊田でも開催し、現在も継続しています。
 最後の発表の場は「いけばなスペース花展有松町並み保存地区。写真は中町年行司でのいけ込み風景です。

左~ 基本花型立真型を上から・正面から・右横から見たところ

 伝統文化親子教室は「日本文化継承」を目途に文化庁の肝入りで作られた親子参加の枠組み。私の考えとはかなり違いますが、それに沿って進めれば補助金も得られ魅力的でした。
 いけばなでは・最初は上に掲げたような花型の「」から始めるのが一般的です。私は大人と子供で教える中身を変えませんが、花好きな子供の気持ちに寄り添えば、やってきたシーンの強要では楽しくない子もいます。
 教える形から外れても無理強いせず、安全な道具の使い方枝のさし方曲げ方切り方などの基本はきっちり教え、「見せたい花を見る人の目に向かってくるようにいけましょう」という話をしました。

対比による構成 左~ 交差による対比 上下の対比 左右の対比

 親子教室ではふだん気づかなかった講師の人柄・考えが現れます。
 「花型とは?…例えるなら、お料理のようなもので分量の決められた3つの材料(花材)を使い、かたち(骨組み)を作るいけばな簡単レシピのようなものです。」
 思いもつかぬこんな冴えた花型の説明があるかと思えば、貴重な時間の大半を冗長な説明に費やす人。低学年には難しい分数やローマ字を当然のごとく使う人。「私の言うことを聞かない」と子供を泣かす人。自由テーマでは「枝を横にして五線譜のように並べ、花を音符に見立てれば、いけばなで音楽を表現できます。」などと奇妙な自説を唱える人もありました。


花材に有松絞布・紙を加える 左~ 上下対比の間に紙 交差対比の間に紙 左右対比の間に紙

 親子教室をやって良かったのは、自分と年齢・世代の違う人との交流が出来たことです。直しを入れても、大人なら忖度して「なるほど分かりました」と言うところを、子供は「前の方がいい」と言ったりする。「そうかそれじゃあこれは?」「やっぱり前のがいい」。
 ところが数回やっているうちに、大人より早くこちらの意図を掴み、刷り込んでいく。なるほどこれが子供かと納得しました。
 参加した外国人講師が感心したのは、日本の子供達の習う姿勢が秩序だっていることでした。

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