いけばなスペース

いけばなスペース は2008年「誰にも開かれたいけばなに関する情報提供と交流・いけばな…

いけばなスペース

いけばなスペース は2008年「誰にも開かれたいけばなに関する情報提供と交流・いけばな 理解を深める場」という理想を掲げ、流派を超えた会員12名で発足。以来15年、ゲストを迎えて#有松町並み保存地区 で毎年40~50名ほどの花展を開催して来ました。

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  • いけばな春秋

    いけばな画像を交えて、いけばなに関わるさまざまな話題を幅広く投稿します。

  • 花展Archive

    いけばなスペース花展画像の年譜記録

最近の記事

いけばなの舞台     広瀬典丈

「いけばなの舞台」  以前、言葉を持たないいけばなの表題=名前は、語るべき考えを補う道具ではなく、ものごとをぶつけて映像を結ぶレトリックだと言いました。このボクオブジェは木曽川から流れ味噌川ダムで上がった流木に、真鍮板を貼り付けたものです。「水主(みづち)」は水の神、ボクの量塊に流木の由来を示す名前が付きました。 「はなの題名」  「水主(みづち)」は、2017・18両年のいけばなスペース花展を飾りました。最上段の作は2018年第11回に有松町並保存地区山田邸に置いた、ノバ

    • 「様々なる意匠」 広瀬典丈

       いけばなの流派分立は、①様式確立に絡む対立や正統性の争い、②血統主義の権力継承がもたらす家元の気まぐれ、二つが重なったものでしょう。  一方、絶対権威による近現代の押しつけ=進歩史観・西洋中心主義・保守・革新の二項対立はいけばなにも及び、「自然調・造形、保守・進歩」などの択一を迫りました。しかし今私達が居るのは、それら「様々なる意匠」の歴史的優劣を競う根拠が、ゆっくり失われて行く現場です。(→小林秀雄)  1.池坊  上作例は、いけばな流派中最も古い歴史を持つ、池坊のスタ

      • 親子いけばな教室 広瀬典丈

         2015~18年、文化庁伝統文化親子教室の認可をいただき、千種区本山と緑区有松で「親子いけばな教室」を開設しました。2016年度には豊田でも開催し、現在も継続しています。  最後の発表の場は「いけばなスペース花展」有松町並み保存地区。写真は中町年行司でのいけ込み風景です。  伝統文化親子教室は「日本文化継承」を目途に文化庁の肝入りで作られた親子参加の枠組み。私の考えとはかなり違いますが、それに沿って進めれば補助金も得られ魅力的でした。  いけばなでは・最初は上に掲げたよう

        • 『水仙の葉組み』研究会 深川克己

          「真道流は未生流の流れ。この葉組みでは葉のねじれを取り去り、袴に入りやすいように、葉・茎の根元を細工します。方法をしっかり覚えればスイセンの葉組みは失敗無く行えるようになります。」  いけばな流派間の交流を通じて技を学ぶいけばなスペースのWorkshop。  2012年1月29日(日)有松町並み保存地区 中舛竹田荘松柏苑で、真道流 深川克己 指導による「水仙の葉組み」Workshopを行ないました。 ①根元をもむ②内側手前から順に引き抜く④手前から順に高くして重ねる ⑤

        いけばなの舞台     広瀬典丈

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        • いけばな春秋
          10本
        • 花展Archive
          8本

        記事

          2014第7回いけばなスペース花展

           2014年11月16〜18日「いけばなスペース第6回花展」は、今回も「晩秋の有松を楽しむ会」と共同開催されました。竹田邸居室は、急逝された竹田耕三氏追悼展示に沿って、床の間中心の控えめな展示としました。  共同大作も行っていません。有松町並み保存地区町並みに加えて、服部良也邸・蔵など、展示空間は広がっています。  「晩秋の有松を楽しむ会」、地元の理解も深まりイベントも増えています。今回は有松の若手、久野浩彬氏(久野染工場)が会長に就任、新しい企画も期待できそうです。いけばな

          2014第7回いけばなスペース花展

          玉つなぎ(表題について)広瀬典丈

           いけばなスペース花展2023には「玉つなぎ」表題の合作・個人作、「囃子」表題作も出品されまました。「いけばなはメッセージを伝える道具ではない。そこに置かれたものが全て」それが私の持論です。(→片身替わり)  「作者を離れたものは見る側に委ねられ、続きは見る側が作っていく」、それでも作者の意図を訊ねたい人や話したい作者が居ます。「枝に藍染め布を吊るして青空・太鼓実演に感動して丸籠に撥見立ての枝・五線譜見立ての横枝に葱坊主の音符で音楽など、稚拙な説明でいけばなを語ろうとする人は

          玉つなぎ(表題について)広瀬典丈

          結成15周年記念          2023年 第15回いけばなスペース花展

           2023年9月30日(土)~10月2日(月)朝10時~午後4時、 「第15回いけばなスペース花展」開催。竹田邸室内床の間・三番蔵の他、 旧街道沿いの町家エントランスにもはなを飾りました。  花展開催中日、10月1日(日)は有松秋葉神社の秋祭。からくり山車の引き回し午前の部は小雨模様で中止でしたが、午後の部は遅れて開催、最高の賑わい、9月30日・10月1日は棚橋邸「嵐絞り・藍染プロジェクト作品展」も開催されました。  いけばなスペースは2008年「誰にも開かれたいけばなに関

          結成15周年記念          2023年 第15回いけばなスペース花展

          2013第6回いけばなスペース花展

           「いけばなスペース第6回花展」は2013年11月16〜18日、有松町並み保存地区で開催されました。  今回は屋内花展会場も2つ増え、服部崇邸前には初回以来となる竹による合作「オマージュ嵐絞り」も制作。また、服部良也邸蔵2階と棚橋邸吹き抜けに、伐採した竹の枝部分と有松染め布を使う吊り合作「オマージュ村雲絞り(倣北山善夫)」を展示しました。たいへんな作業でしたが、伐採・制作に集合いただいた全てのみなさん、ありがとうございました。  今回は、竹田嘉兵衛氏や有松まちづくりの会、有松

          2013第6回いけばなスペース花展

          2013年広瀨典丈いけばなパフォーマンス

           以下、2013年第6回いけばなスペース花展、広瀨典丈パフォーマンス動画。10作品30分ほどの長丁場ですが、端切れよく編集していますので、最後までゆっくりご視聴ください。

          2013年広瀨典丈いけばなパフォーマンス

          『池坊立花正風体・新風体』早川弘子

          『池坊立花正風体・新風体』同一花材を用いた二作で、立花花形のポイントと両者の違いを解説。上作は立花正風体。 『池坊立花正風体・新風体』講習会。同一花材を用いた二作で、立花花形のポイントと両者の違いなどを解説した。 書院床には『仙伝抄』など『花伝書』に見える『三具足』(みつぐそく)。竹田邸奥座敷床の間左に、古式に則って、左に花立・真中に香炉・右に灯立を組んで飾り、中央には立花正風体、右には生花(しょうか)新風体を飾りました。→2012第5回いけばなスペース花展Archive

          『池坊立花正風体・新風体』早川弘子

          2012第5回いけばなスペース花展

           恒例となった有松の町屋の内外を飾る「いけばなスペース第5回いけばな展」は、2012年12月1〜3日、有松町並み保存地区で開催されました。  竹田邸の仏間・書院・応接間・茶室・蔵前・蔵ギャラリーには、池坊立花、嵯峨御流・真道流などの(未生)、松月堂古流、文人花。盛花自由花の流れと、いけばなの枠組みを幅広く紹介できる展示。加えて、竹田邸書院床には『仙伝抄』など『花伝書』に見える『三具足』(みつぐそく)が、古式に則って、左に花立・真中に香炉・右に灯立を組んで飾られました。  今回

          2012第5回いけばなスペース花展

          2011第4回いけばなスペース花展

           有松の町屋の内外をいけばなで飾る「いけばなスペース第4回花展」は、2011年12月10〜12日、有松町並み保存地区で開催されました。  新たなご参加も得て、書院・茶室・蔵前・蔵ギャラリーが、池坊・嵯峨御流・松月堂古流・文人花・盛花自由花など、いけばなの枠組みを幅広く紹介できる展示になりました。町屋エントランスにも新流派のご参加で新しい展示が出来、たいへん嬉しく思っています。ご来場いただいたみなさま、有松・鳴海絞会館、竹田邸を始め町屋やお世話いただいたすべての方々にお礼申し上

          2011第4回いけばなスペース花展

          協奏的構成(二空間の対比)広瀬典丈

           「いけばな春秋」空間分割の3回目。花材二つをどちらも主材のように扱い、二空間の対比を見せる協奏的構成。複合的構成との違いは、前に向かって作中心を作る客材的な見せ方をしない点です。片方が複数花材でも良いのですが、複合的構成と紛らわしく、作例は全て花材二種にしています。  上作例は、色・形・質感の異なる、緑葉のアカメカシワとベージュ系タケカワを、前後に少し違う三点構成的に使って、対比を作り出しています。  上左作例は、ベニウツギを上から手前左に回し出す動き、緑葉のカエデはそれ

          協奏的構成(二空間の対比)広瀬典丈

          2010第3回いけばなスペース花展

          2010第3回いけばなスペース花展 2010年12月11〜13日、有松町並み保存地区でいけばなスペース第3回いけばな展を開催しました。保存地区町並の電柱撤去工事が一部終わり、旧東海道の美しい町並みが蘇りました。さらにこの花展直前に中舛竹田邸が老人介護施設として町屋再生され、そこにも3作品が展示できました。第1・2回に引き続き、竹田邸蔵前では、愛知善意ガイドネットワークによる呈茶席も設けられました。ご来場いただいたみなさま、有松・鳴海絞会館、竹田邸を始め町屋やお世話いただいたす

          2010第3回いけばなスペース花展

          複合的構成(空間の重複)広瀬典丈

           「いけばな春秋」今回も空間分割の話です。まずは枕。  幕末~明治中期、俳諧は隆盛を極め、「駄洒落・例え話・教訓」調が跋扈。明治新政府はその風潮に乗って俳諧宗匠を宗教道徳官吏「教導職」に任命します。俳諧を生業とする限り迎合して権威を得たい心情は、いけばな生業の私達にも切実ですが、子規が攻撃した月並句の親玉、穂積永機はそれには関わらず、子規の死の2年後、辞世句「煙消えて灰消えて終にものもなし」を残しました。常套に依らない一物仕立ての無季ですが、「安出来の見立て」とは言えぬ率直さ

          複合的構成(空間の重複)広瀬典丈

          2009第2回いけばなスペース花展

           2009年11月21〜23日、有松町並み保存地区をいけばなで飾る第2回いけばなスペース花展が開催されました。(あいちトリエンナーレ2010パートナーシップ事業)  前年の割竹オブジェ『青回波』に続く合作は、雑木とつるによる四面体をつないだオブジェ『つづらつなぎ』。前年に引き続き、町屋エントランス、大広間、応接間、茶室、蔵前、蔵ギャラリーの展示に加え、竹田邸蔵前では、愛知善意ガイドネットワークによる呈茶席も設けられ、花展会期中日の22日には、『着物を着て楽しむ会』のイベントも

          2009第2回いけばなスペース花展