見出し画像

金閣寺を読んで思うこと

金閣寺
三島由紀夫

日曜美術館以外で見る私が見る番組「100de名著」で紹介されていた本です。レトリックの美しさがすごいとの解説があり、興味を持ちました。多分高校生ぶりになりますが、文学作品を読んてみようと思い読みました。

金閣寺と金閣寺の100分de名著

本の内容

主人公溝口が思い悩み、金閣を焼くまでの話です。(スケッチの上3分の2に、時系列に合わせて、本の内容を書いています。)著者の戦争体験をもとに、戦後社会をどう生きるか苦悩して描かれた作品です。主人公と自分とを重ねているからか、一人称形式で書かれています。

著者の想い

天皇が絶対の世界から終戦で大きく世界が変わってしまった。絶対的なものが変わったため、すぐに対応できはしない。なぜ戦後華開いたように生きることができるのか?戦後社会の中で生きていくためには言葉(観念)と現実との合致が必要である。そのためには絶対性を滅ぼさなければならない。結果、適応して生きていくことは、牢屋の中で過ごすとようなものである。だがその中で生きようと思う。

読んでのまとめスケッチ

あらすじと金閣寺と三島由紀夫さんの物語

解説を読んでから、本書を読んでの感想

文学作品は読んだ後のテストを想像して授業を受ける、もしくは作者とタイトルだけを覚えてテストで答えるの2パターンでした。今回はテレビで見てから、解説本を購入し、それで内容と背景を理解してから本書を読みましたので初の試みでした。
文学作品は時代背景と筆者の伝えたいことを理解した上で、読まないと文章上の言葉しか入ってこず、でなんでこれが有名なんでしたっけ?となってしまいますが、理解していると表現や構成も読むことができました。何事もある分野に取り組むときは、入門書や解説書を勉強してから始めるべきだなとぁ当たり前のことが、今回理解できました。

戦争体験だけでなく「戦後生きるためには絶対性を滅ぼす」などの考えを言葉で表現することは非常に難しいと思います。それを実際の金閣寺放火事件と合わせて小説にすることで伝えようとする。言葉で表せないことを文章を使って伝える、という難しい試みが文学なのかもしれないと思いました。

100分de名著の解説の平野さんがいっていたレトリックの華麗は随所に感じました。例として下記に特に印象的だった文を抜粋します。
「鮮度の落ちた現実、半ば腐臭を放つ現実が、横たわっているばかりであった。」
「花々は井戸の底をのぞき込んでいるようだった。」
「娘はその小肥りした小さな手の上に、昼寝の体にたかる蠅のように、私の手をただからせていた。」
「金閣を焼くという考えは、仕立卸しの洋服か何ぞのように、つくづくぴったりと私の身についた。」
「他人の二つの目が、こんなに近くに在るのを見るのははじめてだった。私の見ていた世界の遠近法は崩壊した。」

などです。
覚えていても自分の文章に使える気がしません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?