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凡人だから人に教えられるものなんてない、の嘘

 独立したりフリーランスで専門家として活動している人や、組織にいながら自分の権限で自由に楽しそうに仕事をしている人を見ると、「自分だって!」と思う。でも、自分は凡人だし、特に目立った特技もないし、実績もまだまだだ。自分みたいなことをやってる人なんてたくさんいるから差別化できない。
 セミナーや勉強会に参加してエネルギーをもらうけれど、しばらくたつと、自分に教えられるようなことなど何もないような気がしてくる。行動しよう、という気持ちと、でもやっぱり無理かも、という気持ちが日々せめぎ合っている…。
 一方で、「このままじゃ終わらない」という野心も心の底に持っていて、日々勉強を続けている。自分はこんなもんじゃないはずだ!今にみてろ!と、己を奮い立たせ、日々折れそうな心と戦っている。

 私は、そんな人こそ、「教えるプロ」(講師、コンサルタント、専門家など、誰かに教えることを職業とする人の総称)になれると思っている。自分のスキルを、きちんと見える&売れる形にしていない(商品化していない)から、何もないと思い込み、教えられないだけなのだ。

 天才は、もとから普通にできてしまうから、できない辛さを知らない。他の人がなんでできないのかが分からないし、できるようになるための方法論も知らない。だって、当たり前にできるんだもの。

 でも、凡人が、「できない、自信がない、でもできるようになりたい」と必死に勉強して、できるようになったとき、できない人ができるようになるプロセスが腹の底から理解できる。そのプロセスこそ、教えられるコンテンツに変わる。

 凡人ができるようになると、「あの人にもできるんだから、自分にもできるかもしれない」という希望を周囲に与えることができる。自分が経てきた歴史がそのまま、周りの人たちの勇気になり、励みになる。

 なんであの人ができるのに、私にはできないのか?悔しい…!
 こんなに頑張っているのに、なんで…!?

 悔し涙を流した経験、感情の激しい起伏でさえも、自分が通るステージごとの気持ちの取扱い方を教えることができれば、後からあなたに続く人の力になる。

 つまり、凡人だという認識をもち続け、日々努力を重ね、自己嫌悪や憂鬱な気持ちと戦いながら理想の姿を目指してスキルアップを続けている人こそが最強なのだ。

 しかし、「そうは言っても」と身構える人も多いかもしれない。なぜか。

 凡人を自認している人が「自分を商品化する」「何かを人に教える」と思ったとたん、できないと止まってしまう理由は、何か世の中にまだない、自分にしかないオリジナルのアイディアを、ゼロから考え出さないといけないと思っているからだ。

 ゼロから作った自分だけのメソッドなんて、この世の中には存在しない。人類が地球に生まれて数百万年。自分のアイディアなんて、過去の誰かや世界の誰かがもう考えている。
 
 しかし、今まで数十年生きてきたインプットたちを掛け合わせ、あなたの「あり方」「信念」「経験」がブレンドされて、しみだしてくるものは、あなただけのものだ。ちょっと例えは微妙かもしれないけれど、あなたなりの「出汁(だし)」はあるはず。

 過去の経験、インプットに加えて、あり方が濃縮された出汁。それが、世間一般でいう、オリジナルメソッドだ。

 あなたの出汁はあなたにしか出せない。だから、あなたの「あり方」「信念」「経験」を、ちゃんと棚卸しして明確化させることは、とても重要なことだ。

 では、自分の出汁をどう認識し、積み上げてきたスキルとリンクさせるか。今回は感情爆発→客観視を繰り返し価値観や強みを明確化する方法をひとつ紹介しよう。

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<ステップ1>
「自分の人生で一番感動した映画」「自分の人生でいちばん大好きな曲」を2〜3つあげる。(映画を観ない人なら小説、マンガでもOK)

<ステップ2>
まとまった時間を作って、もう一度その映画を観る/曲を聴いて浸りまくる。号泣する。

<ステップ3←ここがポイント>
浸った自分を冷静に振り返り、どこに心を揺さぶられ、どこに怒りを感じ、どこに感動したのかをメモし、自分の感情の動きを細かく観察し、言語化する。

<ステップ4>
怒り、感動、喜びの価値観と、過去あなたが取得してきたスキルや、今学び続けていることが、どうリンクしているのかを考える。

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 このステップを経ると、今まで一貫性がなかったかのように見えた、あなたのキャリアやスキルの取得プロセスが、一つの「想い」を軸に実は繋がっていることが見えてくる。それが、あなたならではの「出汁」であり、教えるプロとして唯一無二の存在になるための鍵だ。

 たとえば私の場合、「あいつはダメだ」「終わってる」と決めつけられて理不尽な思いをしていた人や、ずっと芽が出ず辛い思いをしていた人が、自分を諦めずに理想の道をつきすすみ、成功を得るようなストーリーにいつも涙する。

 そこから分かるのが、「外からの決めつけ」「自分への決めつけ」によって挑戦をあきらめることへの反発、怒り、もどかしさだ。

 だから、チャレンジをしたいと思っているのに一歩勇気がでない人や、誤解されていても諦めずに望む未来を手に入れたいと奮闘している人の力になりたいと思い、本を書いたり研修をしたりコンサルティングをしたりしている。仕事内容は様々(朝活、プレゼン、資料作成、時間管理、目標達成、女性活躍などなど)でも一貫したブレない気持ちをもっている。

 「決めつけ(ジャッジ)からの解放」が、私にとっての出汁であり、様々な仕事に、この出汁が浸っている。

 あなたの出汁がでると、「あなたから買いたい」「あなたにしか語ることができない」というオファーをもらえるようになってくる。

 先日、一部上場の金融グループより、講演の依頼があった。「教科書に書いてあるような話なら、誰から聞いても一緒です。池田さんらしい講演をしてください」ということで、私を指名したとのこと。

 手堅く変化を好まないイメージがある金融業でさえ、このような流れになってきているのだ。教科書にあることをただ教える伝書鳩のような仕事の仕方なんてつまらない。

 あなたならではのストーリーを、あなたが今まで得たきたスキルとリンクさせよう。あなただけが教えられることは、そこにある。


<まとめ>
●凡人こそ、凡人が努力してできるようになるプロセスを教えられる
●凡人だという認識をもち続け、日々努力を重ね、自己嫌悪や憂鬱な気持ちと戦いながら理想の姿を目指してスキルアップを続けている人こそが最強
●オリジナルメソッドを作ろうと思わなくていい。あなたの「出汁」を探す
●「出汁」は好きな映画・音楽・本などのエンタメに隠れている

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