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【映画】「トゥルーコスト」自社のビジネスの”トゥルーコスト”に向き合う

・大量生産、大量消費の裏に隠された「真のコスト」

この映画を見たのは2015年年末。
今の経済システムを支えている「大量生産、大量消費」の裏に潜む負の部分をファーストファッション業界を通して突きつけられました。

・あらすじ(サイトより)
本作は、服を巡る知られざるストーリーに光を当て、「服に対して本当のコストを支払っているのは誰か?」という問題を提起する、ファッション業界の闇に焦点を当てたこれまでになかったドキュメンタリー映画だ。この映画は、きらびやかなランウェイから鬱々としたスラムまで、世界中で
撮影されたもので、ステラ・マッカートニー、リヴィア・ファースなどファッション界でもっとも影響のある人々や、環境活動家として世界的に著名なヴァンダナ・シヴァへのインタビューが含まれている。またフェアトレードブランド「ピープル・ツリー」代表サフィア・ミニーの活動にも光を当てている。私たちは行き過ぎた物質主義の引き起こした問題に対して、まず身近な衣服から変革を起こせるのかもしれない。

・批判をするだけでは何も変わらない
あらすじを見ていただいてわかる通り、この映画は「ファッション業界の闇」に焦点を当て、「行き過ぎた物質主義の引き起こした問題」をあぶりだしたものです。
大量の余った服が発するダイオキシンによって汚染されていく土壌、安い賃金で働かされる女性たち、川が汚染されることで皮膚病になってしまった村人たち、農薬によって若くして命が絶えてしまう男性たち…
環境が、人命が危険にさらされている現状を突きつけられます。

しかし、ファッション業界に対して批判をするだけでは本質的な問題は解決しません。
この映画を組織運営に、そして個人の人生に生かすために抑えなければならないポイントは3つあります。

1.  まずは恩恵を認める
「物質主義の引き起こした問題」が主題なのでファーストファッション企業が批判される対象になっていますが、今までお金を持っている人の特権であった「おしゃれ」を誰もが楽しめるようになった、という恩恵は間違いなく彼らの功績です。
ファッション業界に限らずですが、物質主義は世界中のどこからでも、良いものを、安く買えるようになりました。それは生活を豊かにし、個人の欲求を満たし、多くの幸福を作り出しました。その恩恵を誰もが受けている、ということをまずは認めるべきです。

2. 自分の仕事の「真の代償」に目を向ける
大量生産、大量消費、それを支える経済合理性、効率性が優位されることによって、環境や人命が脅かされている問題は、ファッション業界に限った話ではありません。恩恵を認めながらも、「それを追求することが目的化し、タガが外れてしまった状況」に対して、そろそろ寄り戻しをかける時期ではないでしょうか。
そういった観点で自社が、自分の仕事が、どのようなトゥルーコスト(真の代償)を払っているかに注意を払い、行き過ぎているのであればバランスをとる必要があるでしょう。

3. 消費社会の主人公は消費者である
企業は利益を上げ続けなければ存続できません。つまりある企業が存続し続けているということは、その企業の商品、サービスに対してお金を払い続けている消費者がいるからです。
ファーストファッションが批判され、この映画から4年経っても尚、状況が変わらずに存続しているのは、それを必要として買い続けている消費者がいるからです。
私たちは消費という形で、常に「市場に意思表示」をしています。何に自分のお金を払うか、どのような商品、サービスに自分のお金を流すか。その流れが変われば生産者である企業は変わらざるを得ません。
一人一人が自分の消費の仕方を見直すと、消費活動から社会が良き方向に変わっていくのではないでしょうか。

私たちは生産者、消費者の立場から、この問題に対してできることを積み重ねていくことが大切です。

・社会的価値と経済的価値が近づいてきた社会
昨今では情報が全てオープンになるので、今までブラックボックスで隠していた膿が世の中にどんどん情報として出るようになってきました。そのため、おかしな振る舞いをしている企業は社会から弾かれるようになっています。
そのため、いくら利益を上げていても裏で大きな代償を隠している企業は結果的に人がついて来ず長期的には持続できなくなっています。
そういった意味では、社会的に良しとされることと、経済的に持続可能であることが(当然イコールとは言えないまでも)だいぶ近づいてきているように思います。

・みずからを律して誠実であれるか
CSRからCSV、コレクティブインパクトやSDGsが謳われる中で、「経済的持続可能性を担保するためには社会に対する振る舞いにも注意を払わなければならない」という重要な分岐点にさしかかっているように思います。
企業が、そこで働く個人がその状況を受け止め、みずからを律して誠実であれるかが問われています。

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