「マイペースで行きます」という言い訳
「俺はマイペースでやるわー」「まあ、私はマイペースで行くよ~」という言葉は、言い訳として使われることがある。
ヤマシタさんが書いてたことにも似てる。
「マイペース」という言葉は、仕事でもプライベートでも、いろんなところに顔を出す。なんでもいい。たとえばダイエットとしよう。
この言葉は、相手や周りがこういうときに出る。
「ウッシ、行くぜェェェ!」
「えっ!お、俺はマイペースで行くわ……」
この場合、この言葉は、「(俺は、お前や周りの人に着いていく自信がないから)マイペースで行くわ」という文脈で使われている。
これ、ほんとやめた方がよくて。
僕は心が清らかなのでそんなこと思ったことないけど、言われた人の多くは「チキン野郎が!」って思ってるよ。
あと、一番良くないのが、自分自身への影響。
言葉の影響力は大きい。いつも使っている言葉は潜在意識の奥深くまで染み込み、いずれその人そのものになる。
「マイペースでいくよ」と言う人は、「本気を出せばあいつらと同じスピードで同じゴールまで到達することができるけど、今回は気分が乗らないからマイペースで行く」という自己催眠をかけている。
俺はできる。俺はできる。でも今回は自分のペースでいく(やらない)と。
これね、本当に危ないよ。いい歳して使い続けてる人は、この気(け)がある。
「(俺は、お前や周りの人に着いていく自信がないから)マイペースで行くわ」じゃなく、「(俺は、お前や周りの人に着いていくつもりがないから)マイペースで行くわ」という意味で使う場合もある。
先のクラウチングスタートの若者が「行くぜェェェ!」とイキってるとき、「あらあら元気ねえ。私たちは急いでいないし、周りの景色を楽しみながらみんなでゆっくりマイペースで歩いていくから、お先にどうぞ」という場合だ。
これならわかる。
僕は別に全世界の「マイペース」を否定したいんじゃない。ペースなんて、その人が自由に決めれば良い。当たり前の権利だし、みんながみんなマッチョに全力で走るべきなんて思わない(そんなの気持ち悪い)
ここで言いたいのは、その言葉を言い訳に使うな、ということだ。
やった分だけ、必ず自分に返ってくる筋トレと違って、ビジネスの世界はすべての努力が報われる保証はない。むしろほとんどの努力は報われない。努力のすべてが報われることはないが、成功者は全員努力をしている。相関は決して高くないが、確実に因果がある。だから、努力しない限り、一目置かれる人間にはなれない。
「一目置かれた人間になりたい。でも、自分のペースは崩さずに」
これだけは言っておく。
この世でのあなたの価値は、相対的に決まる。あなたが死ぬ気でやろうが、マイペースでやろうが、相対的に価値が高いと認められれば、一目置かれるだろう。
この世には天才と秀才と一般人がいる。天才は類稀(たぐいまれ)なる才能を持ち、生まれた瞬間から勝利が約束されている人と思われがちだが、そうではない。彼らは、その領域で異彩を発揮するいくばくかの才能と、秀才の何倍も努力を続ける才能を持っているのだ。秀才が天才に勝てない理由はここにある。
天才や秀才が、全力で走っている。走り続けている。一般人の僕らが、マイペースで走ることが、相対的にどういうことか、言わずもがなである。
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僕は、山に登る。遅いながら、自転車(ロードバイク)で峠も登る。脚は限界で、心拍数190で心臓を吐きそうになる。でも、仲間はグイグイ登っていく。
そのとき、僕は「マイペースで行くんで、先に行ってください!」とは言わない。「もうちょっと限界なんで、先に行ってください」と言う。
マイペースという言葉を言い訳に使うの、もうやめようぜ。
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