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【イタリア】佐渡さんの指揮でモーツァルトを堪能


何気なく、地元のニュース記事を見ていると、

見慣れた顔と「YUTAKA SADO」という名前を見つけて

急に血が騒ぎだしました。

こ、こ、こ、こんな日が来るだなんて!


イタリアの中でもマイナーな16万人の小さな街に、

世界で活躍するあの佐渡裕さんがやって来る!

えっ、いつ⁈ もう終わったの?まだ?

よくよく確認すると、今夜!!

えぇー‼︎行きたいー‼︎

夫に連絡すると、「行こう!行こう!」と即答。

「職場にすぐに連絡しなよ!」と催促されつつも、

勢いでネットでチケットを買うことに。

元トロンボーン奏者としては、

響きがバランス良く伝わる中央上部に座りたい。

でも、今回の目的は、佐渡さんの指揮を見る!

だから、背中ではなく横側から見たい。

コンサートは右側から見るのが好きで、

だいたいこちら側を取ったり陣取ったりします。

唯一、ポールマッカートニーとオアシスだけ

左側から見たのを今でも鮮明に覚えています。

さて、小さな街の劇場は、立派なオペラハウス。

アリーナ席の周りには個室が並んでいます。

各部屋には4〜6席あり、中央へ向かうほど満席。

残っていたのは、横側でした。ちょうどいい!

3階4番目の個室を予約。

チケットは奮発していい席を買いたいと思っていましたが、

どこも一律 €11.20 でした。

手数料を払っても二人で約3500円という、

破格の値段で佐渡さんの指揮を見ることができます。


今、佐渡さんの日本でのコンサート情報を見たところ、

どれも完売。唯一お高いのが残っていました。

有名であり人気ある指揮者だということが分かります。

こうして私は、無事に横側の席を購入!

チケットを印刷してバッグへイン!

… … …

いよいよ、気の重い職場へ連絡。

なんで先にチケットを取るんだよ。と

思ったでしょう。実は一度購入している途中に

画面が切り替わり、席が売れたんです。

だから、取られる前に先に確保しました。

こうなれば私はもう逃げられない。

ということで、職場へは

「予定があったので行けません」なんて言って

簡単に承諾もらえました。イェーイ‼︎

平日は忙しくないから大丈夫。

仕事より大事なものがある。

私は、自分の人生の糧のために佐渡さんを選んだんだ。

なんて、堂々と言い訳をして、

ただただ見たかったんです。

早々に準備していざ出陣!


Teatro Goldoni

テアトロ・ゴルドーニという名の劇場です。

では中へ

ロビーの様子

左側にある各扉に部屋があり、
まるでホテルのように壁で区切られています。

私たちが予約した個室には四席

ただ椅子が置いてあるだけです。

幸いなことにもう2つの席は空席のままでした。


座席から身を乗り出して場内を見てみると…

クラシカルな建物。
ここは、戦争で負傷することなく生き延びました。
1847年の完成から改修されながら現在も
当時の良さを生かしたまま使われています。

ステージの眺めはこのような角度から。

トスカーナのオーケストラによる演奏です。

今回は50人弱の編成で、
弦楽器30名と、クラリネット、オーボエ、ファゴット、
ホルン、トランペット、鍵盤と打楽器の小規模。

演奏曲は、

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
『交響曲第40番 ト短調 K. 550』

グスタフ・マーラー
『交響曲第1番 「巨人」』

会場には普段見かけることのない
階級が上であろう人たちばかり。

毛皮に身を包み、濃いめのメイクと
セットした髪、香水をふんだんにかけて
上質な音楽を聴きに来たという雰囲気。

佐渡さんの指揮を見に来た人もいるでしょうし、
演奏者の知り合いだったり、曲目に惹かれて
聴きに来た人もいることでしょう。
ほぼ満席でした。


開幕

始まる前に日本なら「ブー」とブザーが鳴ります。
これを聴くと、着席しなければ!と焦りますが、
ここにはそんな催促はありません。

ではどのように知らせるかと言うと、
会場の照明を暗くするんです。

するとどうでしょう。
観覧者は「始まるッ!」と引き締まります。
外にいる人は入らなければ!という気持ちに駆られます。

数回繰り返し、ステージの明かりがつきました。



奏者が着席し、全てが整ったところで

佐渡裕さんが入ってきました。


スタンドカラーの柔らかな素材のシャツに
黒のパンツ、ピカピカに光る靴で登場。

軽くお辞儀をして登壇。

一息ついたところで、

腕をスッと上げると、

いきなり聴いたことのある音楽が始まります。


奏者も観客も緊張した空気で、
物音や動き一つなく瞬きだけしている状態。

佐渡さんの指揮は、柔らかく丸みがありました。
向ける方向から音が飛んでくるんですが、
それがまるで光っているかのような錯覚に。
際立たせる楽譜の部分を見て聴いて理解できる。

音を体現しているかの如く音が見える。
そして、時折聞こえる佐渡さんの息遣いに
表現したい音質へのこだわりを感じました。

奏者はというと、伸びやかで穏やか。
主張と協調のバランスが良く、
最良の音を届けるという目的が明確で心地いい。
それぞれの技術と正確な音は聴く者を安心させます。

第一幕が終わり、会場の空気が緩まりました。
強張った身体もほぐし、しばし歓談。


そして第二幕は静かに始まりました…


長くなりそうなので、
この続きはまた明日書きます。
では


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