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【イタリア】揚げ物の音が分かった日

イタリアンレストランで働き出して半年。
一人のスタッフが遅い夏休みを取っていたので、
代わりにシフトに入っています。

前菜や生の魚介料理を盛り付けたり、
フリット(揚げ物)やドルチェを担当しています。

特にフリットは手強くて、なかなか納得いくものができません。

粉は、小麦粉と米粉の同量を混ぜます。
そこに、イカやエビを入れて揚げたシンプルなもの。

一応、説明は受けていたけれど、粉のつけ具合、
はたき具合、温度、何分かかるなど、手探りで行っています。

当然ながら、失敗し提供できないものもありました。


昨日は、午後一番でフリットの注文が入りました。
いつも通り油の温度を上げて、具材を揃えて準備をしていきます。

粉をまぶし、いざ、油に投入!

賑やかにイカとエビはポンッポンッと音を鳴らして破裂します。
しばらく様子を見ながら手を洗っていると、

さっきまで、「シャー!」と音を立てていたのに、
一斉に、「スー」っと静かになったのが聴こえたんです。


そこで、ハッとしました。

「フリットが出来上がった音が聴こえた!!」

揚げ続けて1ヶ月くらいだったでしょうか。
初めて、油の音に気づいたんです!


シェフは隣で喜んでくれました。

毎日、目の前の仕事をこなすだけだけれども、
着実に身についているんだと感じました。

音が下がったのは、
水分を含んだ食材が、油の中で一気に蒸発し、
具材にも衣も火が通ったことで落ち着いたんだなと。
それ以上すると焦げにつながる。
だからその前にさっと上げればいいんだ!と。


衣の周りの泡の大きさを見ることも言われましたが、
ポンポン破裂する油に火傷しそうで怖いんです。
透明の盾を持って揚げたいくらい。

そこまではしませんが、揚げ物の「音」を意識することで、
ほかのメニューも同時進行できると分かったんです。

今まで、あと何分と考えていたのが、音で判断できる。

音に気づいたこの日は、「聴こえたー」と言いながら、
この日は10回以上揚げました。


フリットの注文がもっと入らないかと期待しています。

おまけ 写真

昨日の揚げ物台。粉まみれで汚い!
あまり汚さずに素早くできるよう流れを考えてみます。


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