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【和訳】"The Movie in My Mind" from Musical "Miss Saigon(ミス・サイゴン)"(1989年/2014年)

ミス・サイゴン
舞台は、ベトナム戦争最末期(1975年4月)のサイゴン~1978年のバンコク。約半世紀前の時代背景ですが、50年経てば何から何まで変わってしまいます。

このミュージカルを初めて観たのは、1992年、ニューヨークのブロードウェイ。
その直前、対外経済開放政策(ドイモイ)を始めたばかりのホーチミン(旧サイゴン)をバンコク経由で訪れました。国営ベトナム旅行社のガイド同行条件つきでのみ個人旅行が可能になったばかりの頃。自転車とアオザイ、親切で穏やかな微笑み、落ち着いたコロニアル・タウンの街並み。食べ物はどれも美味しく、仕事の重い疲れから解き放たれるようでした。
幻想世界にタイムスリップして迷い込んだかのような数日間に、様々な出会いや出来事があったのです。思い返せばまだ20歳代だったこの時期から、固く巻いた人生のネジがその回転具合を変えていったように思える、そんなベトナム・タイ旅行でした。

ニューヨークでの観劇中、ホーチミン(サイゴン)での色々な出来事が思い出されてきて、涙に咽んだ「ミス・サイゴン」です。

昨年末に久しぶりにサイゴン(ホーチミン)を訪れましたが、50年や30年で、社会や国は、世界そのものもその姿を全く変えてしまうことに驚きます。案外、変わらない変えれないのは個人かもしれません。そこに「The Movie(映画)」がまたひとつ始まるのでしょうか?


☆2024年の現在、色々思うところがあり、記事最末尾に《雑感》として記載しました

※動画は "Miss Saigon US Official MV"より、(2014年版キャスト) Eva Noblezada (as Kim)、Rachelle Ann Go (as GiGi)

The Movie in My Mind  from Musical "Miss Saigon"

(GIGI)
They are not nice, they're mostly noise
They swear like men, they screw like boys
I know there's nothing in their hearts
But every time I take one in my arms
It starts

あいつら、いい人じゃないしうるさいだけ
口は一人前だけど、寝てみればまだ子供
心なんかないことくらい分かっているけど
男をひとり抱くたびに
それは始まるの

The movie in my mind
The dream they leave behind
A scene I can't erase
And in a strong GI's embrace
Flee this life
Flee this place

まるで映画のような
心から離れない夢
記憶から消せない場面
屈強な兵士に抱かれて
この生活から逃げるのよ
この場所から逃げるのよ

The movie plays and plays
I'll find my true romance
He takes me to a place
Where I don't have to dance
Our children laugh all day
But all that I've been through
Can't make my dream come true

そんな映画を何度も見たわ
心から憧れた世界
彼は私を連れていってくれる
もう踊る必要のない所へ
子どもと一緒に笑いに囲まれる日々
でもそれはいつも空しく終わる
夢のような暮らし

Dream
The dream I long to find
The movie in my mind

夢ね
ずっと探し求めた夢
映画のような夢

(KIM)
I will not cry, I will not think
I'll do my dance, I'll make them drink
When I make love, it won't be me
And if they hurt me, I'll just close my eyes

私は泣かないし、何も考えない
踊って、アイツらに酒を飲ませるの
体を抱かれても、それは私じゃない
傷つけられても、ただ目を閉じるだけ

(KIM & GIRLS)
And see (they are not nice, they're mostly noise)
The movie in my mind (they kill like men, they die like boys)
The dream that fills my head (they give their cash, they keep their hearts)
A man who will not kill (but every night again it starts)

また見るの(あいつら、いい人じゃないしうるさいだけ)
まるで映画のような(殺すのは一人前だけど、子供みたいに死んでいく)
頭から離れない夢(金はくれるけど、心はくれない)
裏切らない人の夢(夜が来るとそれはまた始まる)

(KIM)
Who'll fight for me instead
He'll keep the fear at bay
So no one comes at night
To blow the dream away

私のために戦う人
彼さえいれば、何も怖くない
でも夜になれば、私は独り
夢は跡かたなく消えてしまう

Dream
The dream I have to find
The movie in my mind
The movie in my mind

夢ね
見ずにいられない夢
映画のような夢
映画のような夢

(ALL GIRLS)
And in a strong GI's embrace
Flee this life
Flee this place

屈強な兵士に抱かれて
この生活から逃げるのよ
この場所から逃げるのよ

(KIM)
A world that's far away
Where life is not unkind
The movie in my mind

はるかかなたの世界
生きることが苦しみではないところ
映画のような夢

《雑感》
時代が変わり、色々思うところもあります。さかのぼれば、彼女は1975年当時は18歳で、その後の共産党統制下で母親と市場の屋台で化粧品販売をして生計を立てていた一人の「ミス・サイゴン」。あのとき1992年に新たなチャンスへの賭けに出たその「夢」の跡先が、今この街で問われているからです (BBC記事をリンク添付)。
また、1994年に生まれた長女のElizabeth Chu氏もまた20歳代にして、香港で "ZS Hospitality"グループ総裁としてレストランやホテル、不動産ビジネスなどを次々と成功させています (ベトナム経済誌 "Viet Stock"リンク添付)。それも現在進行形のひとつの「夢」。彼女は今沈黙を貫いているそうですが、無尽蔵の資金力があれば競争相手の凌駕は容易だったはず。ベトナム戦争時と現在の中国国内事情の変化や対中関係などともシンクロして、やはり色々と思うところがあります。

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