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【保存版】スタートアップ営業組織作りの教科書(Executive summary)

アルー株式会社の池田と申します。
当社の起業・経営の経験に基づき「スタートアップ営業組織作りの教科書」と題した企業の成長ステージ毎の営業組織開発ノウハウについて連載記事を書かせていただきました。

本記事は、連載の最後のまとめとして、全体を俯瞰してスタートアップ(特にBtoB向け)の営業組織作りにおける各期のポイントを総括していきます。
より詳細に各期課題について知りたい方は個別記事をご覧いただけますと幸いです。

①アルーの成長ステージの全体像

当社は2003年10月に創業後、2018年12月に東証マザーズ上場までに約15年間の時間が掛かりました。企業研修サービスは古くから市場があり、多くの競合企業が存在します。当社はこの市場において一つ一つコンペティションに勝ち、顧客からの信頼を積み重ねていくことを続けてきました。

15年間の歴史を振り返ると、会社・営業組織の状態や課題を、大きく5つの時期に区分することができることに気づきました。

(1)シード期:
創業から最初の1‐2年程度。アイディアはあるが事業内容・プロダクトが決まっていない段階。独立後の試行錯誤段階。

(2)アーリー期:
自社の事業ドメインや初期プロダクトが出来た段階。そこから一定のプロダクトマーケットフィットを実現するまで。アーリー期後半では、資金調達を行い、事業をブーストするミドル期に移行する

(3)ミドル期:
事業をブーストし、拡大再生産を目指す時期。一方で、組織拡大やプロダクト拡大に伴い、組織上の問題が多発した時期。アルーはこのミドル期で大きく苦戦をしたと認識しています。

(4)レーター期:
市場の中で一定のポジションを獲得し、事業的に安定成長をする時期。組織的にも仕組化が一定進んだことで、会社としての体制が整ってくる

(5)プレIPO期:
IPOに向けた攻めと守りの両方に取り組む時期。攻めとしては特定市場での№1を実現すること。守りとしては、内部統制・リスクマネジメント等を公開企業としての水準を実現すること

本note連載では、上記の各期ごとにそれぞれ直面した「課題」と「対応策」を紹介してきました。課題によっては、よい解決策がないまま時間が解決したものもありました。


②シード期:「アイデアはあるが具体的な製品サービスがない段階」

シード期は、自社のミッション・ビジョンという理念や、大まかな事業ドメインがあったとしても、具体的なプロダクトが固まっていない状態です。

この状況において、シード期のチームが行うべき活動を一言で表すと
営業マン兼開発者として動く」ことが大切です。

メンバー全員が、事業アイデアを考えつつ、営業活動を行い、具体化した案件や話があればプロダクトの開発に取り組んでいきます。キャッシュを稼ぎつつ「自社ドメインの仕事」を求めて人に会い続け、受注をしていきます。

「資金調達をして一切の営業活動をせずプロダクト開発に専念する」というスタートアップの経営手法も存在しますが、それは余程具体的な顧客課題が特定できている場合に限り成功する方法だと考えています。

顧客課題がぼんやりとした状況では、自社ドメインに近い仕事をしながら顧客課題を特定するという方が失敗の確率を低めることが可能と考えます。

この段階において「プロダクト」は、PMF(プロダクトマーケットフィット)をしているレベルではありません。シード期の到達点としては、プロダクトプロトタイプが実績と共にできるという状況であると考えます。

シード期における重要な活動
(1)起業直後(直前含む)は知り合いづてにとにかく営業活動を実施する
・事業ドメイン・プロダクトが決まっていないタイミングではまず人に会う
・アポの趣旨は「起業の報告」
(2)最初期は自社ドメインと関係がなくとも得意分野でマネタイズをする
・創業直後は、自社ドメインの仕事でマネタイズをするのは難しい
・自分自身の経験・スキルを生かしたマネタイズは短期的に行いやすい
(3)自社ドメインのベンダーの下請けで開発案件を受託する
・ユーザーよりも、サービス提供ベンダーの方の方が会ってくれやすい
・受注金額の多寡よりも、経験を積み、知識を得ることが重要
(4)初期顧客案件でプロダクトをいったん完成させ、実績を作る
・多忙でも自社プロダクト開発に取り組む
・下請け開発案件で学んだドメイン知識を、プロダクト開発に反映する


③アーリー期:「事業立ち上げから、プロダクトマーケットフィットまでの軌道に載るまでの段階」

アーリー期のスタートアップ企業は、このステージは赤字であり、運転資金や設備投資のための資金が必要となってきます。立ち上げたばかりの事業・サービスを、顧客のニーズにフィットさせるために磨き続ける必要がある期間です。

アーリー期では、何よりも「受注・納品実績を増やすこと」が命題です。開発をしたプロダクトを顧客に使っていただき、顧客の求めるものとのズレを修正し続けて、プロダクトマーケットフィットを実現することが何よりも大切です。

そこで自社プロダクトの営業活動に集中して取り組むべきでしょう。
そのためにドメイン外のキャッシュ稼ぎや、下請け案件からの撤退も必要となってきます。

アーリー期のスタートアップでは営業組織は創業メンバー(役員)+2~3名というケースがほとんどでしょう。業務拡大に伴い採用活動に取り組むようになります。新規採用した営業メンバーが売れるように育成することが必要になります。しかし営業メンバー育成は非常に時間がかかります

一般的にアーリー期の到達地点は「プロダクトマーケットフィット」と言われております。
私の考えでは、この段階で真の意味での「プロダクトマーケットフィット」に辿り着くわけではなく、「戦略が明確に定まり、プロダクトが顧客の課題を解決できるレベルに磨き上げられている」という状態がアーリー期の到達地点と考えています。

またアーリー期の終盤では、営業戦略についても大方針が定まってきます
特に「直販戦略」か?「パートナー販売戦略」か?については戦略の大きな分かれ道となるでしょう。こうした大きな営業方針が固まると、事業成果の拡大再生産に向けた投資を行うことができるようになります。

★アーリー期の営業責任者像:「スーパー剛腕営業マン」
本ステージ(シード期も含む)において求められる営業責任者像は、ゼロから売上を作れる「スーパー剛腕人材」です。また売上の9割を責任者が担うケースも多いでしょう。

営業責任者は、顧客向け業務で忙しすぎるため、営業メンバーの育成に時間が取れません。またご自身が「能力が高すぎて売れる」ため、売れない人の育成に向いているとも言えません。営業組織化を進めるためには、営業責任者以外の経営メンバーが組織化を支援することが大切です。

アーリー期における重要な活動
(5)キャッシュ稼ぎ案件から撤退し自社プロダクトの立ち上げに集中する
・キャッシュを稼ぐ仕事と、自社事業立ち上げのリソースのバランスをどのように取るか?は永遠の命題
(6)パートナーセールスで実績を積む
・「顧客への営業権」「コンテンツ著作権」に制限が掛からない契約にする
・パートナーの本社と契約しただけでは実際の仕事は生まれない。実績を積み重ねて、現場の営業担当者に食い込んでいく
(7)直販立ち上げのために法人営業のノウハウを学ぶ
・お客様や経験者からフィードバックをしてもらうのが最短ルート
(8)直販テレアポは、継続すれば成果は出る
・確率は低くても数をこなせばアポイントメントは獲得できると確信して、電話のコール数を上げることが重要
(9)超絶能力を持つ営業責任者のノウハウを営業メンバー共有していく
・アーリー期などの初期においてはスーパー営業マンに依存しがち
・スーパーマンがいなくなることを前提として営業の組織化を進める
(10)サービスクオリティ改善を優先しないと新規営業活動がストップする
・事業初期段階ではサービスの質が低い状態であり、納品プロセスが標準化されていないことが多い。そのためエラー、トラブルが頻発する
・営業活動よりもサービスクオリティ改善を優先して投資をする
(11)パートナーセールスか?直販か?戦略の大きな分かれ道
・パートナーセールス、直販のどちらがよいかということは、事業や扱っているサービス、自社の強み等によってケースバイケースで変わる
(12)営業組織の組成には、資金調達が不可欠
・成長のためには、投資が不可欠
・投資からどのくらいで回収できるかという見立てを正確にする。往々にして経営者が想定するよりもその期間は長くなりがちである


④ミドル期:「事業拡大に向けた投資を加速し、成長に差し掛かった段階」

ミドル期は、プロダクトが顧客に受け入れられるまでに至った状態です。
多くのスタートアップ企業では利益が出始めたり大型の資金調達に成功し、社会からの認知・信用も集まりだします。売上の急拡大により設備投資や人材採用に大きく投資をするフェーズとなります。

この投資拡大によって、組織が大きくなることで様々な問題が発生しやすいタイミングとも言えます。創業初期に入社したメンバーと、ミドル期になって入社をしてきたメンバー間での対立などはよく聞く話です。

ミドル期に入ったスタートアップは、事業・組織拡大に向けて積極的な投資を行います。営業組織作り(採用活動と育成活動)は、主たる投資の項目の一つとなるでしょう。

新卒採用活動・中途採用活動を通じて、組織の拡大を目指していきます。
主として営業部門の体制を強化し、多くの顧客への拡販に取り組みます。
しかし採用をすればすぐに成果が出せるわけではありません。育成活動が鍵となります。

営業経験が相対的に長く、商材知識も豊富なマネジャーが、自ら成果を上げながら育成活動をしていくという状態となります。「プレイングマネジャー」であるこの方々には大きな負担が掛かります。

またミドル期において発生するであろう大きな課題が「組織問題」です。
採用活動を強化したことで、様々なバックグランドを持った人材が入社をしてきます。
多様な価値観を持った方々が一つの組織に集まりますので、必然的に衝突・対立・トラブルが多く発生することになります。
組織問題と上手く向き合い、中長期を見据えて適切な対応ができるかどうかで成長速度は大きく変わってくると考えています。

ミドル期の到達点としては、営業部門の仕組化が進み、経営陣の手を離れても自律的に成果を上げられる状態です。大きなポイントとしては、営業部門を短期・中長期の両方の観点を持ちマネジメントできるミドルマネジャー(部長クラス)が誕生することです。こうした方が営業部門のマネジメントを担えるようになると、経営陣の自由度が高まります。

経営陣が行うべきは、更なる仕組化・業務プロセス整備の推進や、新規事業開発、そして全社経営の高度化等になってきます。

組織問題については、業務プロセス整備や仕組みが整い、メンバーの労働環境が改善されることが一つの解決の鍵となります。「働きやすい職場」を作ることが、社員の余裕と精神面の安定性をもたらし、人間関係の良さにもつながってくることになります。

★ミドル期の営業責任者像:「成功の型を展開する指令型管理者」
上述の通り組織問題と向き合うミドル期では「組織統制ができる指令型管理者」が営業責任者として必要になってきます。
多様な人材をまとめあげ、自社において培ってきた「自社における売れる営業手法」を展開することが大切なのです。組織に統制を掛けますので、反発が生まれることが想定されます。経営トップが営業責任者をバックアップをすることが大切です。

ミドル期における重要な活動
(13)KPIモニタリングの仕組みを早期に整える
・営業状況管理の情報システム投資の優先度は高い。「システムに業務を合わせることで効率化をする」思想が重要である
(14)営業部隊の成果が出るまでの期間を「なんとか乗り越える」
・責任者クラスが営業活動に時間を取られ仕組化が進まないと、営業メンバーの仕事は非効率・複雑な状態のままとなり、成果を短期的に出しづらい状況が続く
・時間が解決するまで「なんとか乗り越える」という覚悟が重要
(15)ミッション・ビジョン・バリューを再定義し、道筋を明確にする
・ミッション・ビジョン・バリューを見直すことは、会社の優先順位、働く意義等を顧みる土台となる。MVVが風化している場合は見直しは有効
・MVVを見直すことで、方向性の違いが明確化することは覚悟する
(16)営業組織には「継続的な人材採用」と「退職の最小化の努力」が同時に必要
・営業組織は退職や異動で人の出が激しいため継続的な人材採用が必要
・基本的には人の出を減らすことは重要。リテンションについては複合的な施策検討が必要
(17)新商品の販売はフレッシュな人材が向いている
・変化への抵抗がない、またはリスク許容度が高い人が、新商品の販売には向いている
(18)専門特化営業チームを成立させるには相当の企画が必要
・業界特化チームを機能させるためには以下4点が必要となる
 ①顧客のパイが充分であること
 ②特化業界向けの幅広い高付加価値なソリューションがある・調達できる
 ③高付加価値ソリューションを開発できる社内の協力体制が充実している
 ④メンバーの負荷を軽減するためのフォロー体制をつくる
(19)営業マネジャーのフォローに集中する
・ミドル期、組織拡大期の営業部では、営業マネジャーに負荷が集中しがち
・営業の上流マネジメント改革に集中する人材のアサイン(投資)は重要


⑤レーター期:「事業が安定し継続成長が実現しIPOが視野に入る段階」

創業初期のシード期・アーリー期、事業拡大をするも組織的に不安定になりがちなミドル期を乗り越えて、レーター期は経営が安定化して黒字が続き売上が拡大傾向となる状態です。

レーター期の活動として、大きなものは以下の2点となります。

(1)企画機能の設立
営業部長を支援する「企画機能」を充実させていくことが大切です。具体的には営業企画部門を設立し、専任で人材をアサインすることが大切です。営業企画部門と営業部長、更には経営陣が連携をして「営業マネジメントシステム」の作り込みを行っていきます。

営業企画機能が担うもう一つの重要な役割が「生産性向上施策の企画と遂行」です。
・競合ベンチマーキングによる生産性ギャップの把握
・生産性向上のための情報システム投資、業務プロセス改善等
こうした生産性向上施策は、その後も終わりなく続いていきます。

(2)バリューチェーン連携
組織規模が大きくなっていきますので、だんだんと部門間の壁・溝が高くなっていました。
組織の壁が高くなるほど、事業のスピードダウンにつながります。如何に連携スピードを高めるかが重要です。
一つの方法が、管理者の兼務でした。営業部門と開発部門を両方の観点を持った管理者を配置すれば、部門の個別最適には陥りづらくなります。

しかし管理者の兼務にはデメリットも大きくあります。兼務管理者が各業務に専念できないことからスピードや業務品質の低下、本人の負荷の高まりという問題がありました。

レーター期の到達点としては、間接マネジメントの完成させ、生産性を業界トップクラスに引き上げること、そして特定の事業領域で№1を実現することです。
「目標管理制度を中核としたマネジメントシステム」によるマネジメントを完成させることが必要です(当然その後も改善をしていきます)。これにより複数の営業部長による間接マネジメント体制を作ることができるようになり、更なる組織拡大が可能となります。

★レーター期以降の営業責任者像:「仕組みで管理する組織経営者」
レーター期以降における営業責任者は、間接マネジメントを推進する「組織経営者」であるべきです。
個人として事業に対するベテランであり営業力があることはもちろん望ましいですが、自分で売って歩くよりも、組織を作ることに時間を使うべきであり、その方が組織全体の高いリターンにつながります。
上述の営業企画スタッフ組織を生かし、企画を形にして行く推進力が必要となります。

レーター期における重要な活動
(20)目標設定次第で、業績はアクセラレートする
・「達成可能なストレッチゴール」に目標を設定することで、後少しの頑張りを引き出す
(21)インセンティブは高すぎる金額にしない
・インセンティブにはデメリットもある。使い方を間違えれば、組織に「劇薬」としてプラスよりもマイナスが大きくなる
(22)営業生産性をベンチマークし限界突破をする
・業界他社とのベンチマーキングを行うことで、目指すべき水準を設定する
・営業組織が納得をして動くためには、データを示すだけでは不足。自社において限界を突破する実績が必要である
(23)管理者をなるべく兼任させない
・組織が成長・拡大をすると、管理者のアサインが必要になるが、スタートアップベンチャーでは管理者としてアサインできる人が不足しがち
(24)育成機能に特化した組織を作る
・「育成機能の専任化」:育成(中長期成長)と稼ぐ(短期業績)を両立させる打ち手
・育成可能人数には限界がある。新メンバー数が組織の育成負担の限界を超えた場合、既存メンバーが育成・マネジメントやトラブル対応に取られる
(25)新規開拓活動が止まらない工夫をする
・既存既存取引と既存新規取引で業績を底支えをし、成長・発展のために必要となるのが新規新規取引
・新規担当には、開拓した顧客を抱えない仕組みを作る必要がある
(26)営業企画機能を確立し、生産性向上を加速させる
・組織規模が一定を超えた段階で「営業企画機能」の組織化に取り組むと、全体の効率・生産性が高まる
・営業企画スタッフ組織には営業の能力・経験に加え、企画能力の高い人材のアサインする


⑥プレIPO期:「IPO後の成長に向けて攻めと守りの投資を加速する段階」

スタートアップ関連の用語として「プレIPO期」という用語は一般的には存在せず、私の造語です。「レーター期」の後半という位置づけです。

プレIPO期の活動として、大きなものは以下の3点となります。
(1)特定の事業領域で実現した№1を確固なものとすること
業種業態にもよりますが、プレIPO期の企業は何らかの分野で№1の市場ポジションを実現していることが多くあります。一方でそれは成長市場分野であることが多いため、競争状況も厳しく、継続的な事業投資が求められます。
2位の競合に対して、市場シェアで2~3倍の差をつける、または市場シェア41%以上の獲得するという水準を目指す必要があります。

(2)事業・サービスの領域拡大
ここまでの事業成長において、単一のプロダクトが成功してきた企業もあるかと思います。
更に事業を成長させるために、ビジネス・サービスの多角化・領域拡大をしていくことが必要になってくることが多くあります。
単一プロダクトが強い競争力を持っていたとしても、市場の限界の可能性や、一本足打法のリスクもあります。経営陣としては常に事業領域の拡大を検討する必要があります。

(3)組織体としての人格の成熟、サーバントリーダーシップの発揮
上場を目指すということは、プライベートカンパニーから社会の公器となることです。社会の様々なステークホルダーから信頼に足る存在となる必要があります。

会社とは法人(法律上の仮の人間)なので、結局は構成する人間の成熟によって組織の成熟は決まってきます。組織の成熟に一番大きな影響を与えるのは経営者の成熟度です。

経営者が自らのエゴではなく、社会やコミュニティのために生きる使命を持つこと、そして会社の中においては、会社というコミュニティを構成するメンバーの活躍と幸せを願う、利他の姿勢で仕事をすることが必要であると強く考えています。
こうした姿勢を私は「サーバントリーダーシップ」と呼んでいます。

プレIPO期の結果として、上場を実現することになります。上場はゴールではなくより大きなステージに挑戦するためのスタートです。
プレIPO期で問われるものは、上場(公開)企業として社外(東証や社外株主等)からの期待に応えられる水準のアウトプット(売上、利益、成長)を出し続けられる状態を整えることです。そこに向けて攻めと守りの事業活動・投資を行うことが求められます。

プレIPO期における重要な活動
(27)特定市場での№1を実現する
・魅力的な市場はライバルも多い。勝てなければ進出をしても意味がない
・強みがある市場で勝ち切ってから、事業領域を広げる
(28)重点大手顧客の深掘りに向けてソリューションの幅を拡げていく
・既存新規取引の拡大は簡単ではない。顧客は分野別に最良のベンダーに発注しており、それを上回るサービス力が求められるためである
(29)キャリアパスを複線化し、多様な人材が活躍する場を作る
・成長が鈍化したり縮小する可能性がある場合にはマネジャーポストは増えない。その時にマネジャーがプレイヤーよりも偉い、という文化は、組織のモチベーションを大きく削ぐ可能性がある
(30)サーバントリーダーシップに基づく営業組織を創る
・サーバントリーダーシップとは「ミッションの名の下にフォロワーに奉仕する」リーダーシップ


⑦最後に

私は2003年の株式会社エデュ・ファクトリーの創業に参画し、気が付けば18年も続けてくることができました。その過程を振り返り今回のnote連載を書かせていただきましたが、改めて多くの方々にご迷惑を掛けてきたことを思い出して申し訳ない気持ちで一杯です。

2018年12月に当社は東証マザーズに上場をいたしました。その後の成長・株価は多大なる期待をいただきながら、なかなかお応えできていないと認識しております。ステークホルダーの方々に必ずや恩返しができるように引き続き事業成長に取り組んで参ります。

当社の更なる成長を実現するためには、当社1社の事業の取り組みだけではなく、企業研修サービス業界やお客様である国内外の企業様全体が盛り上がっていくことが重要であると考えております。産業全体が発展するからこそ、ビジネスチャンスが生まれます。そのチャンスに対して新しい技術・サービス・ソリューションを開発して市場機会を獲得していきたいと考えております。

私自身はアルーを含む、企業研修サービス業界、教育産業、またスタートアップベンチャー振興に向けたエコシステム作りの活動(政策提言、業界ネットワーキング、事業提携・M&A、ノウハウシェアリング等)を引き続き取り組んで参りたいと考えております。

本note記事は、そうしたエコシステム作りの活動の一つとして発信させていただきました。私達が営業組織を作る際に「知っていれば失敗しなかったこと」は非常に多くありました。当社1社の経験ではありますが、創業からIPOまでの期間の中での「営業組織作りの課題」を共有することで、飛躍的に成功するスタートアップベンチャーが生まれてくれば心から嬉しく思います。スタートアップベンチャーの皆様に少しでも本記事がお役に立つものであれば幸いです。成長した暁には社員教育にアルーの研修・Eラーニングをご活用ください!!

これまでエデュ・ファクトリー/アルーに関わっていただいた全ての社員、パートナー講師の皆様、お客様、投資家の皆様、業界関係者の方々、そして創業を共にした落合社長、高橋浩一さんを始めとする当社経営陣の方々に深く御礼を申し上げます。

2021年12月
アルー株式会社
取締役 創業メンバー
池田祐輔

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<「スタートアップ営業組織作りの教科書」をまとめて読むには↓>

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本noteでは別途アルーの「研修プログラム開発のストーリーとノウハウ」を公開しています。ぜひご覧ください。

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