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SNSを使いこなす手法

元グーグルのエンジニアであるトリスタン・ハリスは言っています。「スマホとはスロットマシンである」と。

スマホというデバイスの本質を述べたこの言葉から始まる書籍『デジタル・ミニマリスト』の著者であり、彼はその中で依存の危険性を語っています。

スマホの依存性

改めて考えると、スマホやそのサービスは、ユーザーにできる限り長い時間を使ってもらうことに心血を注いでいます。なぜなら企業はそこから利益を得ているからです。我々の時間を奪うにはスマホに依存させることが最も効果的と言えます。

書籍では、テック企業がどのようにして行為依存に拍車をかけているかを『間歇(かんけつ)強化』と『承認欲求』の2つにまとめて述べられています。人の脳はこの2つからの影響を極めて受けやすいと言われています。このことは、ニューヨーク大学准教授の心理学者アダム・オルターは著書『僕らはそれに抵抗できない』でも紹介されています。


間歇強化とは

米国の心理学者マイケル・ゼイラーは、ハトを使った実験で『動物の脳は決まったパターンで与えられる報酬よりも、予期しないときの報酬に喜びを感じる』ことを証明しました。まれに大きな当たりがあるからこそ、より強く興味を惹かれるということです。別の研究でもドーパミンの分泌量が増えるのは『ランダムな報酬』の方という結果が出ています。

さて、ゼイラーの実験では、ハトがボタンをつつくとランダムで餌の粒が出てくるようになっていました。先に紹介したアダム・オルターは、ソーシャルメディアに設けられている『いいね』ボタン(フィードバック・ボタン)も基本構造は同様であるといえます。

ランダムな報酬がもたらすもの

『ランダムな報酬』という強力に脳に訴えかける機能によって、ソーシャルメディアの依存性は飛躍的に高まりました。そうしたアプリケーションについて、トリスタン・ハリスは「予想不能なパターンで報酬を与える仕組みを製品のあちこちにちりばめています。それが金銭的利益を生むからです」と述べています。
とくに、自分の記事に『いいね』が押されたときの通知バッジです。脳に強力に作用するように巧妙に作られており、例えば、そのカラーは警告色である赤色が多いのも理由のひとつです。

自身の書いた記事にいいねがついているかもしれない、誰かがコメントしているかもしれない、面白い画像がアップされているれない。冒頭に紹介した『スロットマシンのレバーを引く』とはこのことを言っています。
ソーシャルメディア以外でも、たとえばゲームアプリケーションのガチャ機能は『ランダムな報酬』そのものです。(ガチャはあまりにあからさまですので、日本以外では基本的に禁止されています!)

こうした手法について、企業側の本音が垣間見えた話があります。フェイスブックの元CEOショーン・パーカーはあるインタビューで次のように述べています。アプリケーションの開発について「要するに『どうしたらユーザーの時間や注意関心を最大限に奪えるか』だ。自分の写真や投稿に“いいね”やコメントがつくと、ユーザーの脳内にわずかながらドーパミンが分泌される。これがいちばん手っ取り早い」開発者側の本音が伺えるコメントですね。


承認欲求とは

『承認欲求』について、アダム・オルターは「人類は他人からどう思われているかを意識せずにいることはできない」と述べています。承認欲求とは他人から必要とされたい、尊重されたいことであるが、これは群れをつくるすべての動物に強烈にインプットされた欲求です。他のメンバーから排除されることは生死に関わるからです。意思だけで抑えることは難しいと言えます。

SNSのいいね機能は、ほかのユーザーによる承認という、いわば人間の本能に働きかける側面を持ちます。しかも厄介なことに、いいねがもらえなければ、脳は承認されていないと感じるため、常にチェックしなければならない衝動に襲われます。ここまで述べてきた通り、このことは本能に近いものなので抗うことはとても難しいと言われています。

ソーシャルメディアへの対処

ですから対処方法は1秒でも早くこのnoteを閉じることに尽きるのですが、なんだかんだ言ってもSNSは楽しいです。
資本家の利益になっていることを承知で、適度に楽しむ分にはいいのではないでしょうか。

#デジタルミニマリスト
#スマホ
#SNS

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