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山から降りて、登り直す勇気

「人間が生き物の生き死にを
自由にしようなんて、
おこがましいとは思わんかね。」

手塚治虫先生の不朽の名作、
『ブラック・ジャック』に登場する言葉です。

天才的な手術の腕前を持ち、
大金と引き換えにどんな極悪人も治してきた
医者、ブラック・ジャック。

彼のもとには世界中の患者が集いますが、
心から助けたいと願った恩人は
手術の成功もむなしく、帰らぬ人となります。

その恩人が透き通った姿になり、
静かに語りかけてくるのが冒頭の言葉でした。



自由にならないものが教えてくれる

どれほどの知識と技術があっても
すべての命を救うことのできない現実は、

誰かを励まそうとかけた言葉で
かえって相手を悲しませたり、
もう、どうにでもなれ!と、伝えた言葉が
感謝されることに少しだけ似ています。

私達には "決して自由にならないもの" が
あることを教えてくれるからです。

もしも今、うまくいかない仕事や日常に
イライラしている人がいるとするなら
登山中にお天気をコントロールしようとして
「いつになれば晴れるの?!」と、
不機嫌になっているようなものかもしれません。

歩いてきた道のりが長ければ長いほど、
頂上が目の前に見えていたのならばなおさら、
山から降りてもう一度登り直すためには
冷静な判断力と大きな決断力、"勇気"が必要に
なるからです。



登山家の長谷川恒男氏は言いました。

「生きぬくことは冒険だ」


つらくて、悲しくて、悔しくて、
ふとした瞬間に「もう、全てを終わりにしたい」と感じることは、誰にでもあり得ます。
私にだって何度もそのタイミングはありました。

その頃、人生を自分の思い通りに
コントロールしたいというエゴを捨て、

"自分の今の心も生き物の命も
本当はお天気と同じところにある"


思い通りにしようとすることがおこがましい
大自然の一部だと知っていたなら、もう少し楽に
乗り越えられたのになぁ...と、思ったりもします。

晴れの日は晴れの日の、
雨の日は雨の過ごし方があります。

自然に向けられる謙虚さ、
周りの人への感謝と敬意がこれから先の私達を
本当の意味で支えてくれることを信じて、
ここからまた一緒に登りましょう!


『雨降って地固まる』

今日の空でした。

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