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バトルマンガ名勝負7選

※4500字以上の記事です。
 お時間のある時に、
 お付き合いいただけると嬉しいです。

バトルマンガは子どもの頃以来、あまり読んでいないので、多くは語れないのですが、そんな中から私なりに「名勝負!」と思うものを選んでみました。
(※どれも『週刊少年ジャンプ』の作品です)

①キン肉マン VS. ウォーズマン『キン肉マン』

ロボット超人のウォーズマンが登場したのは、第21回超人オリンピックでした(作中では2回目の超人オリンピック)。
ウォーズマンは、準決勝でキン肉マンの盟友・ラーメンマンをベアークローで再起不能にしましたが、このエピソードは、子どもながらに恐ろしさを感じたものです(なんせ、ラーメンマンは植物人間になってしまった)。

ギャグマンガとしてはじまった『キン肉マン』において、はじめてシリアスな戦いを描いた一戦でもあり、作者自身の思い入れも深い名勝負と言われています。
キン肉マンとの戦いの中で、徐々に人間の心を取り戻していくウォーズマンの心理描写が秀逸です。また、のちにキン肉マンの代名詞ともなる「キン肉バスター」が初披露されたのも、この試合でした。

▼このベアークローで何人の超人が
 再起不能になったことか


②孫悟空 VS. ピッコロ大魔王『ドラゴンボール』

数々の名勝負がある『ドラゴンボール』ですが、個人的には少年時代の悟空と初代・ピッコロ大魔王の戦いがお気に入りです。
「ピッコロ編」は天下一武道会の終了直後にはじまりました。ピッコロの手下であるタンバリンの手によって、悟空の仲間・クリリンが命を落とすというエピソードが衝撃的でした。
その後、悟空はタンバリンを倒し、ピッコロ大魔王と相まみえるのですが、圧倒的な力の差によって、悟空は完膚なきまでにやられてしまいます。

ピッコロとの再戦を前に、悟空は自身のさらなる強さを引き出すために、妙薬「超神水」を飲みます。その間に、ピッコロはドラゴンボールによって、若さを取り戻し、悟空の師・亀仙人まで命を落としてしまいました(ピッコロを封じる込める技「魔封波」失敗のため)。

「超神水」によって、さらに強くなった悟空ですが、若さを取り戻したピッコロ大魔王は、かなり手ごわい相手でした。個人的には、強敵が現れた時の少年期・悟空のハラハラ感がたまらなく好きです。
最後に悟空がピッコロを打ち破るシーンは、マンガ史に残る名場面といえるのではないでしょうか。

▼初代・ピッコロ大魔王
(悟空の仲間になったのは二代目)


③裏飯幽助 VS. 戸愚呂弟『幽☆遊☆白書』

『幽☆遊☆白書』も名悪役、名勝負が多い傑作ですが、ここでは暗黒武術会の決勝戦を挙げておきましょう。
『キン肉マン』の「キン肉マン VS. ウォーズマン」、『ドラゴンボール』の「孫悟空 VS. ピッコロ大魔王」もそうでしたが、この名勝負の前にも、主人公の仲間が敵の手によってやられてしまいます(戸愚呂・弟の手によって、幽助の師匠・幻海が落命)。

戸愚呂兄弟は「暗黒武術会編」よりも前に、一度登場していたキャラクターでしたが、戸愚呂弟と幻海のやりとりの中で、その過去がはじめてあきらかにされましたね。
幻海と戸愚呂弟は、若い頃にともに同じチームのメンバーとして暗黒武術会に出場した仲でした。その後、戸愚呂・弟は、さらに強くなるため、老化を避けるために、妖怪になってしまったのです。

もともと、見た目にもインパクトのあるキャラクターでしたが、バックボーンが明らかにされることによって、より深みを増す悪役となりました。
本気の戸愚呂弟は、もちろん手ごわい強敵で、その力加減を「○○%」と数値で示すところが印象的です。

▼戸愚呂弟(120%の力を出した状態)


④風助 VS. 麒麟『忍空』

「忍空」は「忍術」と「空手」を組み合わせた格闘技で、「忍空組」は長きにわたって続いた戦乱の世を終わらせました。ところが、平和な世の中になると、この武術を悪用する者も多く出てきました。その最たるものが「忍空狼」です。

忍空狼は、忍空組の副隊長以下のクラスの人員で構成されています。彼らの目的は、主人公の風助をはじめとする隊長クラス(干支忍)を取り込むことでした。彼らの最終目的は、忍空(武力)で世界を席巻することですから、風助たちが賛同するはずもありません。

風助たちのもとに、刺客として送り込まれたのが麒麟です。風助が麒麟とはじめて対峙した時、なぜか麒麟は涙を流していました。
その涙の意味は、物語が進む中で明らかになります。なんと、彼の正体は、風助の仲間・藍朓の愛弟子(浜地)だったのです。師匠である藍朓の性格をよく知る浜地は「師匠が忍空狼に入るわけがない」ことがわかっていました。すなわち、これは浜地にとって、師匠との戦いが避けられないということなのです。

忍空狼に入ることによって、何倍ものパワーを手に入れた麒麟は、風助たちにとって、かなりの強敵でした。しかも、追い詰められた彼は、さらなる力を得るための秘技「忍影腹の術」を使ってしまい、人間の心を失ってしまいます。そこまでして彼を駆り立てるのは、一体、どういう動機だったのでしょうか。

人間の心を失った彼に最後のとどめを刺したのは、風助ではなく、師匠である藍朓でした。その時の藍朓の脳裏をよぎったのは、弟子である浜地と過ごした掛け替えのない、思い出の日々です(せつない)。

▼アニメ版の麒麟、浜地
(表紙の左上の仮面が麒麟、右上が浜地)
 ※原作とは見た目が異なる


⑤前田太尊 VS. 川島清志郎『ろくでなしBLUES』

『ろくでなしBLUES』は、’88~’97年に連載されていた不良マンガです。
東京四天王とのそれぞれの戦いも見応えがありますが、ここでは一番の盛り上がりどころとも言える「極東高校編」を挙げておきましょう。

極東高校は大阪の高校で、主人公の前田太尊の父が交通事故によって、大怪我をする話からはじまります(太尊は大阪出身なので、実家は大阪にある)。

『ろくでなしBLUES』では、これよりも前に大阪を舞台にしたエピソードがあり(修学旅行)、その時にも極東高校が出てきました。太尊の大阪時代のライバル・辰吉が強敵として登場するのですが、この「極東高校編」では、辰吉がやられてしまいます。

辰吉を倒したのは、極東高校で新たに頭角を現した、川島清志郎という男です。少年院から出たばかりで坊主頭の川島ですが、ドストエフスキーの『罪と罰』を愛読する、『ろくでなしBLUES』の中では、かなり異質なキャラクターでした(10代の私がドストエフスキーを認知したのは、これがきっかけ)。

辰吉が倒された、太尊の弟が倒された、いろいろと事情はあるのですが、太尊が川島と戦う一番の理由は、「己のプライド」のためです。川島は、はじめて太尊と出会った時、太尊の10円玉を片手で曲げてしまいました。

その後、何度か川島と鉢合わせになることがありましたが、その怪力の前では、さすがの太尊も歯が立たず、遂には、川島は太尊を無視したのです。無視されることほど、男のプライドを傷つけることはありません。

それから間もなく、極東高校が修学旅行で東京にやってきました。川島の眼中に太尊はなかったものの、一度やられたその配下の者たちは、復讐を企てています。極東高校は、東京のいたるところで悪さをしました。被害者の中には、病院送りになった者も少なくありません。

太尊のみならず、それ以外の東京四天王が黙ってこれを見ているはずもなく、お互いに敵同士だった彼らがはじめて手を組むことになります(太尊は、彼らと手を組むのには否定的だった)。

この流れが熱いんです。まさに、東京 VS. 大阪の全面戦争の様相を呈していきます。川島というキャラクターの静かな怖さも見どころですね。そして、物語が進む中で、彼のバックボーンもあきらかになっていきます。太尊と川島の戦いは、ただの不良のケンカではありません。「信頼・友情」が勝つのか、「恐怖・支配」が勝つのか、そんなテーマが込められているのです。

▼川島が読んでいた『罪と罰』


⑥緋村剣心 VS. 志々雄真実『るろうに剣心』

『るろうに剣心』も名勝負が多い作品ですが、ここでは「京都編」を挙げておきましょう。「京都編」では、剣心が「人斬り」を辞めたあとの後任だった志々雄真実(ししお・まこと)が登場します。

彼は幕末の時代に、政府の手によって、焼き払われました。「人斬り」というものがあったこと自体を抹消するためです。辛くも生き延びた志々雄ですが、全身に大火傷を負い、今でもその傷は癒えていません(全身が包帯でぐるぐる巻き)。

明治になって再び現れた志々雄の目的は、全国統一です。彼の手によって全国が統一された暁には、世界も視野に入れています。武力によって、世界を制圧するもくろみがあったんですね。

その計画を阻止するために、主人公の剣心は単身で、志々雄が拠点とする京都へと向かいます。先ほど挙げた『ろくでなしBLUES』もそうですが、バトルマンガでは、このように敵地に乗り込むような場面があると盛り上がりますね。

志々雄の配下である「十本刀」なども登場し、見応えのあるバトルが続きます。道中で仲間たちとも合流し、剣心は志々雄のもとに辿り着きますが、連戦に継ぐ、連戦、しかも相手は、自分と同じ人斬りだった実力者です。

剣心だけでは、とても歯が立たず、仲間たちも加勢しますが、誰の手にも負えないほどの圧倒的なパワーを見せつけます。しかし、そんな志々雄にも弱点がありました。

常人ならば焼死するほどの熱に耐えた彼の身体でしたが、その後遺症で身体を動かすと高熱が出てしまうのです(逆にその熱を炎として武器にもするが)。どんなに強い敵であっても、必ず弱点はあるということなんですね。

▼志々雄真実。この見た目のインパクト!


⑦モンキー・D・ルフィ VS. サー・クロコダイル『ONE PIECE』

『ONE PIECE』も長く続く作品なので、どのエピソードも甲乙つけがたいですが、個人的なお気に入りは、この「アラバスタ編」です。

アラバスタは砂漠の王国で、代々、ネフェルタリ家が国を治めていましたが、その国を影で操る人物がいました。それが王下七武海(政府公認の海賊)のサー・クロコダイルです。

クロコダイルが好きなんですよ(ワンピースで一番好きなキャラクター)。見た目からして、かっこいい敵じゃないですか(あ、でも、最初に読んでいた時は大っ嫌いなキャラクターでした)。

アラバスタを救うために、ルフィたちがクロコダイル率いる「バロックワークス」と戦います。クロコダイルは、「スナスナの実」の能力者で、触れるものすべての水分を奪い、干からびさせてしまうのです。

この驚異の力の前に、ルフィも初戦では完膚なきまでに敗退してしまいます。「名勝負」では、一度やられてリベンジというパターンも多いですね。でも、ルフィに関しては、作中でやられるというのが、それほど多くなくて、たしか、これがはじめて負けた場面だった気がします。

また、このスナスナの能力というのが曲者で、いくら殴っても、砂になるだけなので、ダメージが与えられません(「名勝負」には適役の常人離れした強さも肝)。しかし、この能力にも弱点はありました。砂なので、水をかけると、固まるので殴ることもできます。

弱点を発見したルフィは、二度目の戦いで、水の入った樽を背負って再戦に臨みます。どんなに手ごわい敵にも、やっぱり弱点が一つくらいはあるものなんですね。

▼サー・クロコダイル。
 砂でものを斬ったりする


~まとめ(名勝負あるある)~

・敵がとんでもなく強く、暗い過去がある
・仲間がやられる
・普段とは違う場所で戦う
・主人公が一度負ける

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