カープダイアリー第8499話「”巨人の星”目指した親子は庄原だけじゃなかった…侍ジャパン射程の宗山塁は梵、二岡を越えるのか…三次プロ野球伝続編Ⅳ」(2024年1月20日)

先ごろ、マツダスタジアムに隣接する屋内練習場で自主トレを公開した小園は最近の報道を見聞きして危機感を抱いているかもしれない。いや、危機感を抱いた方がいい。
 
3月に開催される侍ジャパンと欧州代表との強化試合(京セラドーム大阪)のメンバーに明大・宗山塁がストアップされたから、だ。大学生で代表入りとなれば、2013年の九州共立大・大瀬良大地、明大・岡大海(現ロッテ)以来となる。
 
井端弘和監督は、2026年のワールド・ベースボール・クラシック、28年のロサンゼルス五輪を見据えて若手の発掘に傾注している。その“代表格”が「カーネクストアジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(11月16日~18日、東京ドーム)で3試合ともスタメンショートを任された小園だった。しかし、どうやら侍ジャパンのショートは決して安泰ではないようだ。
 
11月に開催されるプレミア12で、井端弘和監督はショートのポジションをどんな形で試すのか?
 
小園は年末年始に「体調を崩して」、愛媛県松山市でヤクルトの山田、川端らと合同自主トレに参加予定だったがキャンセルした。“そういう甘さ”が時と場合によっては命取りになる。まだ新井監督の下でレギュラーの道半ばなのだから…
 
一方、追いかける立場の宗山塁には隙がない。大学野球の集大成、そしてドラフトという人生の一大イベントを控えて、これまでと変わらぬ姿勢でコツコツと努力を重ねている。
 
そんな宗山塁の実家は三次の市街地から車で西におよそ20分のところにあり、町中を馬洗川が流れている。
 
「霧の海」で知られる三次市の市内中心部には、ほかに西城川、江の川も合流している。3つの川が集まる地形は全国的にも珍しい。朝夕の寒暖差が激しく、川が山から運んでくる冷気が霧を発生させる仕組みになっている。
 
2000年以降に「ヤングキングアワーズ」(少年画報社)で連載され、テレビアニメ化された「朝霧の巫女」の作者・宇河弘樹さんは三次市出身。実家は同作品に登場する神社のモデルとなっている太歳神社(三次町)の近所だ。
 
同神社の目の前には西城川が流れている。川土手を町中に向かって歩いていくと専法寺がある。その名前を聞けばカープファンならすぐに分かるはずだ。「梵英心さんの実家は朝霧の巫女の舞台に近いのね…」と…
 
侍ジャパンで小園に助言を送った梵コーチは今季もオリックスの内野守備・走塁コーチとしてリーグ4連覇と日本一奪還を目指す。
 
実は今、三次では「梵以来のショート」として宗山塁の活躍に期待する声が、野球に精通していない主婦層や、子どもたちからも上がっている。
 
さらに西城川と馬洗川の合流地点の南にある十日市町出身の巨人・二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチの名前とともに、宗山塁の名を挙げる人もいる。
 
そんな話をもし耳にしたら宗山本人も決して嫌な気持ちにはならないはずだ。小さいころからテレビで見るプロ野球中継の中の、憧れの存在が「父の2歳年上の二岡さん」だった。
 
父・伸吉さんも広陵で3年間鍛えられた野球人…庄原には野球殿堂入りを果たした谷繁親子版“巨人の星”が輝いているが、同じような話は野球どころの三次にも当然のように存在する。宗山親子もまた小学1年生から中学を卒業するまで無休で野球と向き合ったのである。
 
※この記事内で選手などの呼称は独自のものとなっています。

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