カープダイアリー第8515話「キハダマグロ美味…日南油津港界隈を歩きながら思うこと」(2024年2月5日)

日南最初の休日…

高太一、滝田一希、赤塚健利の新人3人は、メディア用にマグロの試食イベントに挑戦した。地元にとってもありがたい。宣伝になる。

水揚げされたばかりの大型のキハダマグロを地元業者が解体する様子を見学して刺身を試食…

何よりもいいのは先輩たちがいないこと。第1クール4日間は筋肉の疲れと同時に気疲れもひどかった。笑顔でおいしいものを頬張るその姿はまだ大学生、まだ卒業していない…

ところで舞台となった油津港は天気予報でもよく使われるスポットだ。九州地方に台風が接近した際には、“荒れた海”を象徴する存在にもなる。

天福球場からは歩いても行ける。キャンプ中は通行止めになっているレフト後方、屋内練習場に続く坂道を上り切り、下っていくとしだいに潮の香がしてくる。(かつてはキャンプ期間中でもファンが自由に行き来できた)

新井監督はこの峠を使って足腰を鍛えた。主砲だった2007年までの話ではない。“出戻り”してから、だ。走ると相当厳しいルートだ。テレビニュースで投手陣ダッシュのシーンがよく紹介される。短距離もきついが長距離もやはりきつい。

1年前はWBCの宮崎事前合宿に備えて栗林が早朝から自分でルートを決めて坂道走を取り入れていた。一部メディアが触れていたような腰のアクシデントがなければ、どっしりとした下半身を作り上げ、安定した数字を残していた可能性が高い。

油津港界隈は黒田球団アドバイザーのウォーキングルートにもなっている。ただの”歩き”ではない。ほとんど走りに近い超速ウォーキング。

歩きながら、頭の中では現役時代の日南での出来事が反すうされているはずだ。プロの世界に飛び込んではみたものの、そのマウンドに立ってみると課題山積…二軍戦でも通用しない時期があった。

沖縄・日南のキャンプで“考えに考えて投球フォームという土台”を作り上げた。それが“剛腕の証明”(この8000回以上続くコラムの連載サブタイトル)につながり、さらに“メジャー編”や“広島復活編”へと進化した。

ただしそんな“物語”を紡ごうと思えば「死ぬ気でやる」覚悟が必要だ。時間は待ってくれない。タイミングを逃せば、ただカープのユニホームを着られなくなるだけ、だ。

プロの舞台で夢を描いている若手らには“大事な日南”の意味を噛み締めて欲しい。それは新井監督とふたりの共通の思いでもある。

そんな親心を、どこまでみんなが理解しているか…

二軍は移動日。末包や常廣羽也斗も南国の空気を吸った。それぞれ思うところはあるだろう。

新井監督と黒田球団アドバイザーは優しいけど厳しい。チャンスはみんなに与えられ、そしてある段階までくれば「開幕一軍候補」からは外される。

第1クールの感想を聞かれた新井監督は「雨が多くて…」と話し”仕上がり話”には苦笑いで「まだ第1クール」と返していた。

現時点で故障者以外は横一線。指揮官たちは自身が「変わり身」を経験し、その後に大きな数字を残した。だから決して“色眼鏡”は使わない。

恵まれた環境に、特に若手は「感謝」の心を忘れることなき、そして勝負はこれから…だ。


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