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Veronica Sbergia : Bawdy Black Pearls

先週リリースされたイタリアのブルース歌いヴェロニカ・スベルジャの新譜「Bawdy Black Pearls」。 これまでもボウディーソングは歌っていたけど、アルバムの中の1~2曲のみ。今作では全編が下品でミもフタもありません。

これまではギタリストと組んでましたが、今作ではピアノ伴奏が主体で、Black Pearls の伝統に則っています。
Black Pearls というのは、メリーランド大学のハリソン教授の著した「Black Pearls: Blues Queens of the 1920s」でタイトルとなっている20年代のブルースシンガーの敬称です。

20年代のクラシックブルースでは、とりあえず人間の直面する悲惨だったり情けなかったりする状況は全て盛り込まれているのではないかとまで思う多様さで、人間の業を歌っています。 談志師匠の言う落語は「人間の業の肯定」に通じるものがあると思っています。

やられたと思ったのはマーリン・ジョンソン(ヤス・ヤス・ガール[尻尻女という意味])の「Sold It to the Devil」が聞けたこと。 ブルースでは十字路で悪魔と交換するのはギターテクニックですが、捨てた男への憎しみのあまり魂を悪魔に売り、ガトリング銃を持ち歩くという歌です。それがやけに明るく、前向きに歌われるという名曲です。

これ以外にも、リル・ジョンソンやヴィクトリア・スパイビー、マ・レイニーのナンバーで私にはお馴染みの曲ばかりでした。
秘かに進めているあのユニット再始動の背中を押された感じです。


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