見出し画像

陰山孔貴「できる人の共通点」

理想の上司は?と訊かれたら、モンキー・D・ルフィだと答えます。ワンピース、欠かさず見ているわけではないのですが、たまに見ると、「お前、仲間になれ」というセリフと、どこまでもその仲間を信じきるところにひかれます。もちろん、現実にそうだったら、いろいろ大変なことがありそうなんですが……。
この本は、著者が数多くの人にインタビューして得られた結果をまとめたものです。数年で300人ほどに会ったそうです。紹介されているのは、その業績が社会に大きな影響を与えるような人々ばかり。ただし具体名は書かれているのでいないので、誰のことなのか簡単には分かりません。先入観を持たずに読めるので、自分も全部は無理でも、少しは同じような素質を持っているのではないかと思わせてくれるところがあります。

著者は7つの共通点を挙げています。

「学ぶことが当たり前」だと考えている
人生における全ての経験に「意味付け」をしている
独自の「ルール」を決め、習慣化している
「運」を大切にしている
「試行錯誤」の末に、新たな価値を生み出す
「明確な「判断基準」を持ち、不必要な事はやらない
すべては「直感」から始まっている

私は「学ぶことが当たり前」だと考えているところはあるかな、と思ったりします。こうして本を読み、最初のアウトプットをこのnoteでしながら考える、といったことはかなり習慣になっています。noteを始める前も、20代前半の頃から、英語、日本手話、ベジフルマイスター、フランス語、ライティング、公民連携関係と、仕事絡みが半分以上ですが、学んできました。
なんて、自分に引き寄せて考えられるのも、敢えて誰かを書いていないからこそだと思います。

まず最初に、共通点のそれぞれについて主なエピソードを紹介しながら簡単に紹介しています。これだけでも十分になるほど、と思わせてくれます。
ですが、その後の上では、共通点について1つずつ掘り下げ、この人だけでなく、あの人もそう、そして、その特徴がどんなふうにその人たちすごさにつながっているかについて詳しく見せてくれています。

ここで書かれて言う共通点は、決して生まれつき持っているものではないものです。努力したり、深く考えたり、何かのきっかけがあって身に付いたものなのだと思います。

そして著者はこんなふうに書いています。

そして各界のできる人たちと間近で接し、その習慣にあるものを聞いていくと、どんな人でも「できる人の共通点」を獲得することが可能であり、多くの人はそのきっかけを知らないだけなのでは? と、希望を感じるようになってきたのです。

そもそも、こうしてたくさんの人に会うようになったのは、著者自身が、「果たして、今進んでいる道は正しいのか?」「どうすれば、よりよく働くことができるのか?」と悩んできたからなのだそうです。
知りたかったことの答えのヒントを得て、それを他の人にも共有したい、できる人の共通点を身に付けるのは可能である、と言うことを広めたいと思ってくれて、この方を書いてくれたのです。

何かに迷ったときに、ここに書かれているのはその答えではありません。ただその答えを導くために、自分は正しいことをしているだろうか。正しい考え方ができているだろうかと言うことを考え直すきっかけにはなると思います。

最終章は、「これからのできる人」というタイトルになっています。今までの時代は、どちらに向かえばいいか、だいたいはっきりしていました。
けれど、今は違います。「人の持つ価値観に幅が出てきている」といいます。すごい人たちはそのことにもいち早く気づいており、新しい時代に合わせた振る舞いができていたり、あるいはそれは自身はもう無理だからと他の人に若い人たちとのコミュニケーションを取らせるといったことをしているそうです。
章の一番最後に掲げられている言葉は次のようなものです。

これからの時代に求められるのは…
多様な価値観がある中で、
お互いを尊重しあった仲間の存在

仲間と言うのは、味方と言う言葉に対して使われています。「味方」とは、自分を守ってくれる、同じ考え方、意見を持っている人のこと、一方で「仲間」とは、、考え方や意見は必ずしも一致してより良い仕事をしていくために、協業していく人のことです。
ルフィたちは、それぞれが抱える課題を解決するために、同じ船に乗り、海賊王になるという目標を掲げたルフィと一緒に旅をし、戦う。まさに「仲間」なのだと思います。そして、てってい
ただし、この終章に書かれたことは、これまでの共通点が身に付けられていれば、自然と現れてくるような性質のような気がします。著者もインタビューをした人のほとんどが、これまでのやり方が通用しないことを肌で感じていたといいます。
さらに言えば、この新しい時代を見抜く力というだけでなく、共通点そのものも互いに関連性を持っていて、全てが同じタイミングで身に付いたと言うわけではなく、何かを先に身に付けそこから広がったり、何かを学び取る力になったりして、最後にはすべてを身に付けていると結果になったような気がしてなりません。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?