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山口つばさ「ブルーピリオド5」

登場人物のひとりが、昔、死にたいとぼやい時に友達から言われた言葉を教えてくれます。

じゃあ裸になって死になよ
恥ずかしいと思うなら どう見られてもいいと思えないなら
まだ死んじゃダメだよ

この話が出てきたのは、その前に「まだ死なない」と言ったからです。なぜまだ死なないという表現をしたのか、と主人公が尋ねたところ、この話を教えてくれたのです。
私は、その友達の深い愛情を感じました。
ただ、死んじゃダメだよ、なんて簡単に言うことはできません。死にたい、と口にしたくなってしまうくらいな人に、それを言っても、意味がないかもしれない。そんなに苦しいなら、死ぬことを安易に止めることがよいのかどうかも分からない。
そして、死にたい、という言葉は、助けて、という意味も含まれていることが多い気がします。
だからといって、自分のために死なないで、なんてことも言えない。どうするかを決めるのは最後は自分なのです。そんな気持ちで、その友達は、この言葉を出したのだと思います。

じゃあ裸になって死になよ

裸になって、という言葉で、ただただ今この場から逃げ出したいという気持ちからしぼり出された言葉が、裸になった自分の死体という形になって目の前に浮かんできます。
誰かにこの言葉を使うなんて想像はしたくないですが、覚えておこうと思います。

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