見出し画像

山口つばさ「ブルーピリオド4」

また震えそうな言葉に出会ってしまいました。

矢口はマジメね~ でも マジメさに価値があるのは義務教育までよ(中略) それにマジメさ…イイ子でいることを評価してくれるのは そうだと楽な先生と親だけでしょ

大人になるとたいてい、「アイツは真面目」というのはいい意味では使われません。たいてい「過ぎる」という言葉と組み合わされて、融通が利かないみたいなことを暗に指し示したりする気がします。清濁併せのむくらいの度量が必要だったりします。
真面目な人間は、それに気付くくらい大人になった時には、それが身体中の細胞にしみついて、抜け出せないくらいな感じになっています。いい塩梅にマジメさを捨てられる人を見て、すごく羨ましく思いつつも、どうにもならないのです。

矢口というのは主人公の名前です。実は主人公は、一般的なマジメとは一線を画しているかもしれません。学校にはきっちり行っていますが、実は不良たちと付き合っていて、酒を飲んだり、タバコを吸ったり、夜通し遊んだりしていたわけです(といっても絵を描くようになってからはその時間もないくらいひたすら絵と向き合っているわけですが)。

というわけで、少し一般的なマジメとは違う意味なのかもしれません。
ですが、真面目な人間が真面目でいる方を選ぶのと同じように、主人公も、そこから抜け出せない感じがあるのです。
美術の予備校の先生にそれを突き付けられて、さらに、ここを乗り越えないと合格はムリかも、と宣言されてしまいます。

本当に怖い先生です(でも結構魅力的でもある)。

こんな風に考えながら絵を描いて生きていると、ものすごく濃い人生を歩めるのかもしれません。私は絵を描いているわけではないのですが、いろいろ悩むことがあって、自分の気持ちをどう扱えばいいのだろうか、と考えたりすることもあります。人の心は見えないわけですが、他の人は軽やかに生きているように感じて羨ましく思うこともあって……。
でもそんな時は、深く考えることで人生に深みが増しているのだ、とでも思うことにしようかと思います。


この記事が参加している募集

読書感想文

連休に読みたいマンガ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?