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山口つばさ「ブルーピリオド10」

主人公たちは、1年生の最後の課題に取り組みます。
これまでに厳しい教授たちから受けた言葉を咀嚼し、同期から借りた本から刺激を受けて、作品について考えます。

それ絵画でやる意味ある?

この厳しい言葉の意味も、今なら1ミリくらいは分かると主人公は感じます。

常に作品のことを考えているので、日常の中の色んなことが、作品のためのヒントに繋がっています。この感覚、少しだけ分かるような気がします。
何を見ていても、仕事のことが思い浮かんでしまうとか。
すごくショックなことがあった後、立ち直るまでに、色んなことがトリガーになって、思い出してしまうとか。
ワーカホリックだったりネガティブだったりする表現になってしまいますが、こんなに考えてしまうのは、やっぱり大事にしていることがそこにあるからなのだと思います。

主人公も、絵を描くことが好きなのか、好きじゃないのか、ということについて考えます。そして自分がどうなのかを掘り下げるだけでなく、周りの人に訊いてみます。
まっすぐに好き、と答える人もいれば、嫌いと答える人もいる。
そして、自分はどうなのか、という答えを見つけます。

すごく大事なことは、好きかどうかと訊かれても、簡単には答えが出てこないものではないでしょうか。主人公にとって絵を描くことは、精神的な意味で生きるのに必要なことになっていたんじゃないかなと思います。


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