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シーインは製品版のピンタレストと思えば面白い。


あまり良い噂を聞かないのでスルーしていたが、ふと好奇心でWebサイトを眺めた。

主にアメリカで人気というだけあって、ボディラインが際どい欧米受けしそうなドレスや水着が目に付く。
それでいて、アジア人に受けそうなシンプルで使い勝手の良さそうな、可愛いらしい服も探しやすい。
雑貨、インテリア、化粧品、ゴスロリ系の服なんてのもあり、それらが同サイトで包括して注文できる辺りがなんとも楽だ。


しかし実際コピー品らしき製品は散見する。キャラものやイラストはアウトだろう。訴訟問題もちらほら耳に入る。
開発にAIが導入がされており、それが商品の異常なまでの安さの秘訣の一つと謳っているが、AI技術はインプット元ありきで成り立つ為、これらは恐らく世界中のネット上から拾っている。

技術としてのAIはとても面白い。近年の絵画やイラスト、文章、作曲、会話チャットに至るまでのそのクオリティの飛躍は、誰もが存じているだろう。

しかし特に分かりやすいイラストや某アーティスト風の特徴的な絵画などの著作権はどうなんだ?
という議論が出る側から、もう他所の企業がこれに手を出している。
特に中国、ゲームのキャラデザなどで使っているそうだ。
AIを配布している側も、おおむね生成物の扱いは自己責任で、といった姿勢だ。

ちなみに国内ではAIに著作物を学習させるのは法的にも問題ない。
そして特定の作家風の生成物に至っても問題ないという姿勢らしい。
ただ生成されたものが、ある作家の既存の作品に酷似となるとグレー。各自で議論してと、この辺の国の姿勢は曖昧なものである。

対して海外は学習段階から訴訟だらけだ。

こういったクリエイター側にはゲンナリする話がいくらでもある訳で、
服飾という方向ではウイグル問題まで掘り下げればもっとゲンナリできるのだけれど



このシーインのサイトをぼんやり眺めていると、確かに魅力的なのも分かる。

ZARAやマウジー、ジーナシス辺りに雰囲気が近いがニッセン的な服もある。
カラーバリエもものによっては用意されているが、白黒ベージュ、カーキのようなベーシックカラーもしっかり豊富だ。
ショルダーバッグを眺めていたら楽天で同じものを見かけた。
デザインが酷似しているだけで仕上がり等は別かもしれないが、それでもどちらも原産国が中国であり、2,600円も800円も原価や流通を考えれば同じような物ではないだろうか。

初回配送無料に釣られ、シャツ、Tシャツ、アクセサリーなど数点購入してみた。
あくまでこれは調査のためだ
日本人購入者のレビューも多いので、参考になる。

海外発送だが一週間もかからずに届く。段ボールでなく大きめのビニール袋での梱包だったが、中の製品一つ一つはジップタイプの袋に丁寧に個包装されている。

シャツはポリエステル100%、薄手でサラッとしている、シワになりにくそう。
Tシャツはポリエステル95%、エラスタン5%、もっちりとした不思議な感触で、着心地も柔らかく悪くない。
ピアス。見た目はすごく可愛い。が、実際の質感は安っぽい針金感があり、錆びやすいという話も聞く。
ただ見た目は良いので、遠巻きに他人から見る分には気にならないだろう。
フック部分だけパーツを変えてみたり、フェスとかであれば身に付けられるかもしれない。

ミドサーにはそんな印象だった。

こんなタイプのドロップピアス ¥309

十代二十代前半だったらガンガン着ていただろうな、とも思う。
しまむらやハニーズのようなクオリティ、安いと思って見てみたら全然着られるな、というレベルと遜色ない。
ただ安過ぎる服はハマると逆に金が飛んでいくのでコレきりに。こういうモノだなという事が知れたので良い。


こうしてサイトをぼんやり眺めた中で、考えていたのが表題の通りだ。

漠然と『かっこいいTシャツを作りたい』と考えた時に、ピンタレストを見ると格好良すぎて参考にならない、またはあまり関係のない物も出やすい、という事も多い。
そこで此処のようなサイト内にて、作りたいイメージに近い商品を探し、「この商品を買った人はこの商品も」みたいな欄を見る、またはお気に入り機能ってちまちま良さげな商品を見繕うなどすれば、そこそこに参考にしやすいデザインのロゴやグラフィック、配置といったデザインの情報を集められる。あくまで資料集めの一環だ。
地道な作業ではあるが、ある程度のパターンが読み取れる。流行りを調べてみたり、自分自身の趣向も見えてくるので面白い。

zozoなどでも似たような事はできるが、シーインのAIが「流行りの」「人気」「おしゃれ」みたいな中でソートされ生成された商品たちであり、その膨大な出力例群をクリエイター側として生かす方法かもしれない、と思ったそれだけの話だ。

ただそうしてアクセス数が増えればシーインに金を落とすことに繋がるので、あまり手放しにみんなやろうぜとも言いづらい。


企業というのは節操がない。クリエイターの保護だとかArtという概念もそもそもヨーロッパ圏のものだ。
中国や日本ではクリエイターは軽んじられる。感覚としては「職人」という方がしっくりくるだろう。
しかし消えた技術の数は計り知れない。保護されるのは外貨になる見込みがある伝統工芸辺りか。

これから先のAIの扱いは、生かすも殺すも使い手次第だ。


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