良い情報であれ悪い情報であれ、自分が知り得た情報を拡散すべきか否かということには慎重になりたいと常々思っている。

情報が錯綜した数年前、これは絶対に拡散すべきだと何度言われても頑なに沈黙を貫いていた。
情報に対する信憑性が定かではないし、ネット界隈において憶測で情報を伝えることで更なる混乱を招くであろうことは目に見えていた。
影響力が限りなく低いわたしのような人間であってもだ。塵も積もれば山となる。人と人は毛細血管のように細く長く繋がっているのだ。

情報も言葉ももとの形がわからなくなるほど変形し誇張され得体の知れないものになる怖さを何度も目撃してきた。

ねぇみんな知ってる？と軽い気持ちで呟くことで
どのような影響が起こりうるのか。
想像に想像を重ねてあらゆる可能性を考察する。
沈黙すべきか否か。身近な人間のゴシップに興味はないし誰かに伝える気もさらさらない。
一方でその爆発的な拡散力にまいりましたと呟きたくなることも無きにしも非ず。
わたしのような臆病な人間ばかりでは広まって然るべきものも燻ってしまうのだろう。

ある情報が勝手に飛び込んできて目を見開いた。扱い方の方向性を間違えると悲惨なことになるけれど全てをわかってやっているのだとしたら見事なものだ。全ては扱い方次第。
情報過多のこの時代ではこれはこういうものですと予め伝えられたものよりもこうなんじゃないかああなんじゃないかと考察する余地を残しているものの方が俄然興味をそそられる。
与えられたものを受け取るだけの娯楽には誰もがそろそろ飽きてきているのかもしれない。
蓋を開けるまではわからない。
これは何だ？知りたい。この目で確かめたい。
答え合わせがしたくなる。
そうして初めて人は動き出す。

期待値はぐんぐん上昇していく。
隠そうとすればするほど広まっていく。
もしかしたら。もしかしたら。

素晴らしい。まいりました。