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八戸リサーチの巻 種差海岸

(記録:居間 theater 東)

3月のリサーチにて。

蕪島から車で十数分。
八戸では知らないひとはいない場所、「種差海岸」へ到着。

「八戸は初めてか?」と聞かれたあとに出てくる言葉その2、それは「種差はもう行った?」である。ついにやってきた、種差海岸へ。

種差海岸は八戸最東部、太平洋に面する海岸線。
国の名勝に登録されており、正確には蕪島の南から大久喜に至る延長12キロに及ぶ海岸とその後背地が指定されているそうだ。
地名の由来は、一説によるとアイヌ語の「タンネエサシ」(長い岬)から来ているとかいないとか….。

われわれが訪れた3月は、まだまだ冬の様相だったが、暖かくなると「種差天然芝生地」の一帯は青々と芝生が覆い茂るという。
岩礁のすぐ横に芝生が生える。日本でも珍しい風景だ。

とにかく不思議な岩の形ばかりだ。
案内表示には「奇岩怪石」と書かれている。
そうか…こういうものを奇岩、怪石と呼ぶのか….。

岩がゴロゴロと

まだ芝も茶色く風が冷たい季節だったが、そのようななかでもこの場所の不思議な魅力を感じる。
春に花が咲いて、芝生が覆い茂った風景を想像すると、なんとも気持ちよさそうだ。

種差海岸にはさまざまな作家たちが訪れ、そこから作品に反映されていることでも有名だ。
特によく語られるのは東山魁夷の「道」や、吉田初三郎の鳥瞰図。
八戸出身の芥川賞作家 三浦哲郎など。

参考リンク:種差海岸に魅了された文人墨客たち

上記の人々だけでなく、八戸市美術館の収蔵作家も種差海岸(や、蕪島)の絵を描いていて、それぞれの目を通した種差海岸の絵が残っている。

(ジャイアント食堂でも展示させてもらう借用絵画のなかにも、種差海岸の絵があるやもしれません!)

この茶色い部分が暖かくなると全面芝生地帯に


奇岩怪石の間を散策していると、海に向かって、岩の間で過ごしている人を見つけた。読書をしている人だった。


海の音を試しに録音したり、風景を動画に撮ったりとしばらく過ごし、車に戻ろうとする。
大谷さんが、おもむろに「どこも変わっちゃったけど、この石だけはずっと変わらないんだなぁ」と言った。

この日は大谷さんがナビゲートをしてくれながら、八戸の名所を巡っていた。
色々と変わってしまっている(場所によってはなくなってしまっている)風景を見てきたなかで、種差海岸だけは変わらずにそのままあるんだなぁ、と。

種差海岸で、子どものころに遊んでいたのだそうだ。

「実家に帰ってきても車で種差に行くことなんてなかったから、本当に久しぶりに来た」という。
「あの岩、ほんとにそのまんまだよ」と。


子どものころに遊んだ岩の形がどんなだったかを覚えている大谷さん….。

それにしても、奇岩怪石の速度と私たちの速度は、比べ物にならないほど違うんだなぁと、しみじみする。


この時は、なんだかちょっとエモい雰囲気になり、結局どやどやと車に戻ったのだが、
思い返してみると、
ああいうものを「故郷」と呼ぶのかもしれないなぁ、などと、ぼんやり思ったのであった。


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