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会社のビジョンなんて後付けで大丈夫


企業経営にビジョンは必要か

いろいろな会社のwebサイトを見渡していると、noteの記事を読んでいると、素晴らしい企業理念をよく目にします。経営の指針にもなるミッション、ビジョン、バリュー。みなさんの会社はどんなものを設定しているでしょうか。

ふと疑問に思いました。
「その理念、みんないつ決めたんだろう」

熱い想いや信念をもとに事業をはじめるスタートアップが注目されがちな世の中です。社会意義が求められる昨今、ハーパス経営に代表されるように、企業の価値や目的がまるで経営に必要不可欠かのように語られています。

もちろんこれからの世の中を考えた場合、企業の社会的意義がより大切になってくるのは間違いないと思います。一方で、ちょっと胡散臭さも感じている自分がいます。

世の中の企業って本当にそんな崇高な理念を掲げてスタートしているのだろうか?なんだか無理やり世の中に合わせに行ってない?

かっこいい理念や言葉を考えて二の足を踏む前に、まず実益を生むために前進した方がはるかにいい。経営を続けていくなかで目指したいことが見えてくることだってあると、僕は思っています。

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創業期に大義名分なんてなかった

正直なところ、僕たち今村不動産には大それたビジョンはありませんでした。というか、ミッションやビジョンなんて考えている暇もありませんでした。


32歳で起業した頃はとにかく日銭を稼ぐことが最優先でした。仕事をとってくること、会社を存続させることで毎日が精一杯。不動産ディベロッパーとして創業したのも、何か大きな野望や野心があったからではなく、単純にそれまでのキャリアを生かしながらチャレンジできる業界だったからです。(もちろん、不動産開発の仕事にやりがいや魅力は感じていました)

少なくとも創業から3年ほどは、毎日ただひたすら目の前の仕事に打ち込み、売上を上げることに奔走してきました。そうしているうちに少しずつ経営が軌道に乗り始め、一緒に働く社員も増えてきました。少し先が見えてきたこのタイミングではじめて「会社をきちんと組織化していこう」と判断。「将来どんな会社にしたいか」は創業当時から弟と何度も話し合ってはきましたが、ここにきてやっと本腰を入れて考えられるようになったんです。

成り行きの経営から、目的を定めた経営へ。福利厚生やキャリアなどの制度整備はもちろん、今後どんなメンバーを採用するか、会社としてどこを目指していくのか。僕の場合は創業時ではなく、3年経ってはじめて会社としてのひとつのターニングポイントがやってきた感じでした。

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後付けのビジョンがあっても良い

会社として強い組織をつくるためにビジョン・ミション・バリューを後付けで決める。人によっては「そんな後付けのビジョンなんて意味がない」と言うかもしれませんが、僕はそう思いません。むしろ、言葉が先行して実がないよりも、土台ができたからこそ描けるビジョンがあると思っています。

第4期時点で次の期は企業ブランディングに投資することを事業計画に盛り込みました。そして迎えた第5期。メンバーは僕を含めて7名。株式会社RAWCREWさんをオブザーバーに迎え、ブランディングプロジェクトをスタートさせました。

詳しくは割愛しますが、毎月テーマを決めながら月1回のディスカッションと社内での共有会を繰り返し、自社の強みや弱み、自社だからこそできる取り組み、メンバーそれぞれが大切にしたいこと、事業活動を通して個人で達成したいことなどを何度も議論していきました。回を重ねるごとに、それまでぼんやりとしていた会社の輪郭がすこしずつはっきりとしていく感覚がありました。

プロジェクトを通して僕が大切にしていたのは「自分の意見を先に言わないこと」。僕や弟など役員の意見が先行してしまうと、結果的にメンバー全員が腹落ちしない内容になってしまうと思ったからです。だから、毎月のテーマに対してまず個人の考えをまとめてくる → 社内でディスカッションする → プロジェクト会議で方針を定める という段取りで進めていきました。

従業員の立場からすれば、自分の業務外の余計な仕事…と捉えられかねませんが、全員が主体的に意見を出し合ってくれたのは本当にうれしかったです。もちろん人の数だけ考え方はあるので意見が食い違うこともありましたが、自分の考えをしっかりと持っているメンバーの集まりこそ今村不動産らしいと再認識できたのは大きな収穫でした。

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不動産開発を通して実現する未来

議論を進めるうちに見えてきたメンバーと会社の共通項は、ごまかさず、嘘をつかず、社内外に対して真摯に向き合う姿勢が今村不動産にとって大切だという価値観。そして、自分たちの事業ドメインである「不動産開発」をひとつのツールとして捉えていることでした。不動産の開発を通して地域を盛り上げたい、社会課題の解決につながれば良い…そんな社員たちの意見にとても勇気づけられました。

土地・建物を安く買って高く(ニーズに合わせた適正価格で)売る。極論を言えば、不動産ディベロッパーはその利鞘で稼ぐ商売です。実際、今村不動産でも創業から数年間はとにかく企業体力をつけて実績をつくるために、いかに利益高く売り抜けるかを第一に商売をしてきました。それが創業から5年経って変わっていたのです!

僕自身、上手く言語化して社内には発信できていなかった、これからの不動産開発は社会にとって意義のあるものでありたいと考えていたことに、一緒に働いてきたメンバーも同じような感覚を持っていてくれたんです。

ただ不動産を売買するのではなく「時代や地域のニーズに合わせた付加価値の高い不動産を開発する」こと。それが結果的に売主である不動産所有者や、買主であるテナント双方の満足に繋がり会社の利益にもなる。そして、最終的にはその地域で施設やお店を利用する人々の生活も豊かにしてくれる。この循環を生み出すことで、直接のお客様はもちろんその先の地域社会、さらに巡って一緒に働く社員たち全員の幸せにつながっていく。

この考え方を軸に、全員が共通言語で語れるものを目指してバリューとミッションを制定しました。

そして、制定したミッション「不動産の存在価値を上げ、地域社会や経済に貢献する。」をただ提唱するのではなく、会社として実際に推し進めていくために、毎期「不動産で解決を目指す社会課題」を設定し、実務に落とし込むチャレンジを続けています。

僕たちのチャレンジはこちらからご覧ください↓


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関わりのある人々すべてを幸せにする

バリューそしてミッションを経た先に
僕たち今村不動産が目指すビジョン。

このビジョンを決めたことで、自分たちが提供するサービスや提案の内容はもちろん、社内に向けてより強化すべきことも明らかになりました。

幸せにする「人々」にはもちろん、社内スタッフも含まれます。現在共に働く社員はもちろん、ミッションに共感し、ビジョンに共鳴してくれる未来のスタッフに向けてもビジョンを絵に描いた餅にせず、実現に向けて実行し続ける会社でありたい。そんな使命感が僕の中でより強くなりました。

すべての社員にとって、働きやすい環境をつくる。

キャリアマップ、インセンティブ設計、労働時間に福利厚生…人の数だけ働き方はありますし、幸せの尺度も違います。それでも、1日の半分以上を共にするメンバーそれぞれが幸せに働ける環境整備や改善を、現場と対話を重ねながらビジョン制定後も数年ずっと続けてきています。


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ビジョンはいつ決めるかじゃなくて

どう日々達成を目指すかの方が大切


僕の経験談にはなりますが、創業期にキラキラしたビジョンやかっこいい言葉はなくてもいいと思います。たとえ決めたとしても、経営を続けていると考えが変わることだってあると思います。

難しいけれど大切なのは、決めたミッションやビジョンをどうやって日々の業務や会社経営に生かしていくかです。


現在9期目の今村不動産は、企業ブランディング当初よりメンバーも増え、14名体制になりました。今後も積極的に採用を進めながら組織拡大を目指していますが、組織体系が少しずつ変化していき、さまざまなキャリアや価値観を持った人が増えてきています。当初メンバーと共有した企業としての価値観や方針も、人が増えることによって温度差が出はじめます。

企業の価値観をどう新しいメンバーにも共有しながら浸透していくいか。ただ耳障りの良いビジョンではなく、どうやって実現を目指していくか。

課題をひとつずつクリアしながら、これからの時代にあった強い組織をつくっていきたいと思います。

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