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豚の生姜焼きに感じる幸せ

連休前に仕事を残したくないばかりに昨日はHPが0になるくらいに苛烈に働いた。生産力(と簡単に数値化できる業務でないが)をいえば、2.5日分くらいの成果になったのでないだろうか。

業務にのめり込んでいるときは疲れをあまり感じない。
集中力が途切れたら6分の瞑想で回復させて、また戻る。私の仕事は例えると、知らない場所に行って、後ろから誰かがついてこれるようにその場所に至る地図を作るようなもので、勤務時間中の半分は道に迷っているような心理状態にある。

だから不安が多い日もある。
元いた場所に自分は帰れるのだろうか。この暗い場所に後ろから人が通れるための光と道を切り開けるのだろうか。

だけど、昨日はそんな不安はなぜかあまりなく、はじめての道にも関わらず、どの道をどの順序でどのように進めば目的の場所にたどり着けるのかが手に取るように分かった。感覚が覚醒して、満足な気分で眠りについた。

休日であっても、私は7時前後に目を覚ます。
遅い時でも8時には起きて、コーヒーを豆から挽いて飲む。至福の時間だ。こうして文字にしてみると、それは自分の人生の中で最上位に大切な時間に思えた。この時間に最も平和と平穏を感じられる。

連休初日もその時間から開始するはずだったが、目を覚まして、時計をみると10時半だった。
こんな時間に起きたのは何年振りだ。11時間も眠っていた。
寝過ぎのせいか途轍もなく頭が重い。おまけに外も重い曇り空だ。

憂鬱だ。
昨日の覚醒的な気分と満足感が嘘みたいに憂鬱だった。

頑張ってベッドから立ち上がってみても何をしようという気持ちにならない。11時間も眠ったのに体は相当に疲れたままだった。コーヒーを飲んでも眠気が取れず、ベッドに横になると、再び眠りに落ちた。

起きると18時だった。外はすっかり真っ暗。
貴重な休日を無駄にしてしまった。
これから何をしよう。何もできない。
お腹だけは空いていたので、飯を作ろう。イヤホンを耳に詰めて、ラジオを聴きながら、無心になってご飯を作る。

分厚いロース肉が買ってあったので簡単に豚の生姜焼きを作った。いつも食べている味だけど、どうしてか絶するほど美味しかった。
あっという間に食べ終えて、その時には、1日を無駄にしてしまったという虚しさは心の中からなくなっていた。

厚い肉を噛んで千切って、美味しいと感じること。
普段は何気なく通り過ぎる日常の一部だ。

何もなかった1日に唯一もたらされたその豚肉が、自分に命を与えてくれていた。食事をして、身体が喜んで、元気に立ち上がった。

命をくれた豚に感謝。
今日という1日はこの豚肉を食すためにあったと思えば、幸せしか感じなかった。

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