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ロートレック展制作中!①2024年6月フィロス・コレクション初来日!

来年(2024年)6月から開催の展覧会「ロートレック展 時をつかむ線」。
 日本でも人気の高いフランスの画家、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec 1864-1901)の、グラフィック作品の個人コレクションとしてはおそらく世界最大級と言われる、アメリカのフィロス・コレクションが初来日します。
 現在展覧会制作中!その過程やウラ話を随時お届けします。


▶ポスターを芸術に高めたアーティスト

ロートレックは20世紀初めのパリで活躍した画家、“ベル・エポック(Belle Époque=美しき時代)”を代表するアーティストです。ベル・エポックは概ね19世紀末から第一次世界大戦勃発(1914年)までを指し、パリが文化の中心として華やかに繁栄した「古きよき巴里」、パリが最もパリらしかった時代とも言えます。
 ダンスホールの踊り子、歌手、コメディアンらを鮮やかな色彩でとらえた大判ポスターやリトグラフは、独特のアンニュイを湛え、当時瞬く間に大人気となりました。特に特定の酒場や歌手、プロダクツの宣伝のために制作されたポスターは、あまりの人気に街中に貼られると同時に持ち去られたとか。ロートレックは世俗的なポスターを芸術の域に高めたアーティストとしても知られています。
 ロートレックという固有名詞は知らなくても作品画像をみれば「見たことある!」という人も多いのでは?今もパリのお土産屋さんに行くと必ずと言っていいほど、彼の作品をモチーフにしたグッズが並んでいて、まさに「今も昔もパリと言えばロートレック」なのです。

メイン・ビジュアルの一つはロートレック作品で最も有名な作品の一つ
《ポスター「キャバレのアリスティド・ブリュアン」》(部分)1893年

▶時をつかむ線

本展には大判のポスターはもちろん、舞台俳優や踊り子たちを描いたリトグラフ、それらを使った出版物など合わせて240点あまりが出展されます。時に丁寧に、時に素早く一筆書きのように描いた線は、彼らの動作や表情を映し出し、今にも動き出しそう。そして本展の大きな魅力の一つはフィロス・コレクションの最大の特徴である素描作品の数々。ポスターや版画は世の中に同じ作品が多数あって目に触れる機会も多い一方、素描はそれぞれ1点もの。本展でしか見ることができない世界にたった一つのお宝群です。
 ポスター、リトグラフ、素描・・・しなやかで、艶やかで、自在に動く線はまさにマジック。ロートレックの息遣いとともに、とらえられた一瞬の直前直後の動きがよみがえる、そしてキャバレの喧騒さえ聞こえてくるような、まさにロートレックの“時をつかむ線”なのです。

ロートレックの”マドンナ”
歌手のイヴェット・ギルベールの素描

▶来年6月開催

展覧会の開催交渉を始めたのはおよそ4年前。コロナ禍など幾多の困難を乗り越え、ようやく来年6月、東京ほか日本3会場で開催します。
 個人コレクションならではの、ここでしか見られない作品群、そのすべてが初来日です。
 見どころや裏話など、折に触れ制作者ならではの視点でご紹介していきます。


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