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渋沢栄一さんの星読み

NHKの大河ドラマで渋沢栄一さんが取り上げられることは、とても楽しみに待っていました。

渋沢栄一さんは「資本主義の父」と呼ばれて、明治の時代に、ヨーロッパから日本に資本主義を導入した人のひとりであることは、とても良く知られています。

でもそれだけではなくて、「東京養育院」という福祉施設ともずっと関わりを持って、思いやりをもって貧しい人や病気の人、そして子どもたちの救済などをしてきた人でもあったことを、別のTV番組で知りました。経済だけの人ではなかったのですね。

渋沢栄一さんの出生は、1840年02月13日という表記のものと、同年の03月16日というものがありましたが、これは旧暦と新暦のズレであることがわかりましたので、占星術で見るときは新暦に直した03月16日のほうで見ることになります。

渋沢栄一

渋沢栄一さんの「輝きの太陽」は魚座にあり、水瓶座にも「楽しみの金星」・「夢見の海王星」があります。

魚座はよく「大洋」にたとえられるような心の広さを持っています。そして水瓶座は「平等」の精神にあふれボランティア活動にも適性があるサインです。このあたりの星配置を見ると、福祉事業にもエネルギーを注いだというのはとても納得です。

太陽の度数は魚座26度。サビアンシンボルは「影響を分割する新月」。この度数は「真の個性を形成する」魚座最後の第6グループに属していて、「自分の魂の根底にある目的をはっきりさせて、その目的にしたがって生きて行く」度数ともいわれています。

そして人生の中での深い体験が、魂の中に刻印されてゆくこと。それをひとつひとつ味わうことが描かれている度数といわれています。

この魚座第6グループは、このように、とても言語化しにくい独特な内容を含むサビアンシンボルも多いのですが、清濁すべて併せ呑むような懐の深さや広さをもつあたりは、渋沢栄一さんの生きた在り方にぴったりとリンクするように思います。

また、この度数のドデカテモリーは山羊座なので、社会的な活動との結びつきの強さもうかがえます。とてもスピリチュアルなのだけれど、社会活動から離れて隠遁生活するわけではないあたりも、渋沢栄一さんの生き方にリンクするところです。

そしてこれは世代的なものになりますが、この時代は魚座の天王星と水瓶座の海王星がミューチュアル レセプションを形成していましたので、思いやりの心とボランティア活動は混ざり合って一体化され、切り離されないものとなっていました。

そしてまた彼の蠍座にある木星は、おおらかな情の深さとして表れていたことでしょう。

この魚座26度の太陽のプログレスの運行を考えると、34歳ぐらいから30年間牡牛座にあることになります。

※ プログレス( 私は CPS を使っています )の太陽は、ネイタルの太陽が一年に1度ずつ旅をして行くものです。「心理的な立ち位置の変化を読む」ともいわれていますが、人生のテーマのひとつとして、後天的に、体験にも大きな影響を及ぼすのがプログレスの太陽です。

渋沢栄一さんの言葉をまとめたものとして『論語と算盤』という本がありますが、このプログレス太陽が牡牛座のあたりからは、「算盤」が出てきてもおかしくないと思われます。牡牛座は「お金」や「所有」と関わりのあるサインです。

また「論語」のほうは、ネイタルの射手座の土星と水瓶座の金星・海王星とのセクスタイルのあたりに見出すことができそうです。射手座と水瓶座が組み合わされると、「人類みな平等」で「高尚」な理想や哲学への共鳴が生まれます。

そして渋沢栄一さんの生まれた年は冥王星はまだ発見前ですが、でもそれが牡羊座にあることからは、明治という時代が持っていた新しくて元気な気概が感じられると思います。そしてまた、そこに支配星回帰している彼の出生の火星もとてもパワフルです。

彼の『論語と算盤』という著書には、面白いヒントがたくさん詰まっているように感じましたが、難しいのかと思い、『こども論語と算盤』守屋 淳(著)を買って見てみました。

この本では、「渋沢栄一さんがいなかったら、わたしたちは、今のように豊かな生活が、おそらくできなかったでしょう。」としたうえで次のように書いています。

商売って、自分がお金持ちになりたいって思ってやるもの。このときとても大切になるのが、お金の計算、つまり「そろばん」。ただそれだけだと商売ってうまくいかなくなります。なぜなら人は「僕はお金持ちになりたいんです。だから、僕のお店からモノを買ってください」というお店や会社から、買い物したいと思わないからです。逆に「みなさんに喜んでもらえるものをそろえました。ぜひ買ってください」というところから買いたいのではないでしょうか。栄一さんが、思いやりや世の中への貢献という意味で使っているのが「論語」という言葉なのです。

そして「仕事を一生懸命がんばってお金持ちになりたいという気持ちが世の中を発展させていく。でも、そういう欲望は、危険なものでもある。」と書かれた後に、次のように書かれています。

栄一さんは、なんと今から100年以上も前から、こうした「資本主義」がもつ問題を見抜いていたんだよ。お金もうけの欲望を暴走させないために必要なこと、栄一さんはそれを「論語」に書かれている道徳に求めたんだ。

占星術のほうでは、今は「土の時代」から「風の時代」への切り変わりどきといわれています。

欧米の世界では、ここ200年間の「土の時代」に資本主義という経済が隆盛を誇ってきたわけですが、日本の場合は、それが本格的に導入されたのは明治維新以降になります。

日本に資本主義が導入された「土の時代」のスタート地点・原点に立ち戻って考えたいときに、渋沢栄一さんが日本に根付かせようとした『論語と算盤』は、たくさんのヒントを与えてくれていると思います。