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【書評】R.P.ファインマン:光と物質のふしぎな理論

今回も,リチャード・ファインマンによる本を紹介します.
この本は物理学のイメージを説明する本なので,理系を専攻しなかった方や,数学や物理などを専攻しない方にとっても,読みやすい内容になっているのではないかと思います.
数式などを使わずに,簡単な図だけであらゆる内容を説明することを心がけることはとても重要です.
そして,リチャード・ファインマン氏はそのようなイメージの説明がとても上手かったのは本書を含めて,周知の通りです.

□紹介する本

光と物質のふしぎな理論
私の量子電磁力学(QED)
[著]R.P.ファインマン、(釜江常好、大貫昌子[訳])

□目的

自分の物理学の知識や、イメージ、描像をより柔軟にする。
(ファインマンになった気がしたら最高である。)
ファインマンの考え方、説明の方法に触れることで、
自分の説明する能力を高める。

□考えたこと。

ここでは主に光を中心に扱っているが、
波動という観点で捉えると、
様々な領域にここで学んだイメージを応用できるのではないか
と考えている。

反射や、屈折といった身近な自然現象が、
どのように成立しているかを、
量子力学に基づいて、最小作用の原理から、
説明できることを数式ではなくて、
イメージで理解することができたのでとても良かった。
→このようなイメージで表現する訓練を
様々な物理、科学系の本を通して行なっていく必要があると実感した。

□この本の主な主張

結局、自然はどうなっているか、本当のところはわからないけれど、
このような記述をすると、うまく自然が説明できるということ。

□キーとなる考え方、参考になったこといくつか。

光は、回転する矢印でかける。
周波数を表す、ストップウォッチの回転と、
振幅を表す、矢印の長さである。

光の反射や、屈折、レンズによる集光などは、
全て、量子力学に基づいて、
光源から、光電子増倍管(検出器)に達する
取りうる全ての経路を足し合わせることで、
説明することができる。

また、最小作用の原理は、
取りうる全ての経路のうち、
光源から、検出器に達する、
経路とかかる時間の関係を考えたとき、
(時間を経路の関数と捉える)
時間が極小をとる経路が、
もっとも光が通る確率の高い経路となる。
(極小値周りの矢印の総和は大きいが、
それ以外の点の周りの矢印はすぐに回転してしまうため、
総和はゼロに近くなる。)

細かく溝がある格子を用意すれば、
他の経路であっても、反射を行うため、
見ることができる。
(見る位置を変えると、色も変わります。
ホログラムの原理など。)

蜃気楼は冷たい空気と暖かい空気の層での、
光の反射が見せている現象である。

いくつかのステップを踏んで、
光源から検出器に達する場合、
考えられる全ての経路を分けて考え、
各ステップでの基準の矢印からの変化を考え、
その矢印の変換操作をステップごとに乗じることで、
最終的に検出される矢印を知ることができる。

2つの光源がある場合(独立な事象)には、
分けて考えて、
最後に矢印の足算を行えば良い。

結局、光の取り扱いは、
最終矢印を求めることが目的であり、
矢印はあくまでも、その自乗が
事象の起きる確率を表すという、
確率の振幅であることに注意せよ。

□紹介した本

光と物質のふしぎな理論
私の量子電磁力学(QED)
[著]R.P.ファインマン、(釜江常好、大貫昌子[訳])

#読了日
17/08/07

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