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EMSi Fellow Community Magazine

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EMSi(Essential Management Science institute)Fellow Communityの皆さんの記事を集めました。 EMSi Fellowとは… もっと読む
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#ドラッカー

大切な今を生きるために、誰もがマネジメントを活用できる(八木澤智正さんインタビュー③)

今この瞬間を生き切る「そして、自分をフルに生かして、今この瞬間を生き切るということを大切にしたいと思います。 なぜなら、今ここに生きているということは、いろんな儚いものの上に成り立っている、奇跡のようなことだからです。人間も生物としては絶え間ない生命活動の連続で、少し先の未来のことなんて誰にもわかりません。だから今が大切なんです」 私は、生物学者・福岡伸一さんの「動的平衡」という考え方が好きです。人間を含めて、生物は昨日も今日も明日も変わらないように見えて、少しずつ変わ

自分をフルに生かして生きる(八木澤智正さんインタビュー②)

音楽活動も、周りがエフェクティブだからやりたいことができる「音楽活動に関しても、周りの人たちに『エフェクティブ』であってほしいという思いは同じです。自分はバンドの中ではドラマーなので、メロディを奏でることはできません。でも、共演する人たちがエフェクティブであれば、自分のやりたいことを一緒にやることができます。 ドラッカーは『自分よりも優秀な人たちにいかに働いてもらうかが大事』と言っていますが、まさに音楽活動でも同じことが言えるわけです。」 私の大好きなジャズライブに行く

複雑な現実の中で、いつもみんなにエフェクティブであってほしい(八木澤智正さんインタビュー①)

八木澤智正さんは、大手製薬会社に勤務しながら、「マネジメントの発明者」ピーター・ドラッカー教授が教鞭を執っていたことでも知られる、米国・クレアモント大学へのMBA留学経験を生かして、ドラッカーのマネジメント論に基づくグループコーチングを主宰したり、日本におけるドラッカー学会の理事を務めたりされています。また、ドラマーやコンポーザー(作曲家)、音楽イベントの主宰者としても活躍されています。 そんな八木澤さんに、ご自身の中でのドラッカーマネジメントと音楽活動との関わり、そしてそ

シン・社会学宣言

自らの語りのポジションをどこにしようかと、しばらくの間、悩み彷徨っていたような気がします。昨日、たまたまブックオフに行ったら橘玲さんの本で買っていなかったものがあったので購入し、橘玲さんの書籍についてわかりやすく語っている岡田斗司夫さんの動画を見て、そこで、ああ、この視点なんだよな、と思ったのでした。 ちょうど先週、「連続講座コーチング心理学概論2024」の第1回目の授業があり、意外にもコーチングの成立時代の歴史がコーチの人に知られていないんだな、と知って、でも、歴史の話っ

マネージャー研修設計者に意識して欲しいこと~ドラッカー『現代の経営』から

マネージャー候補者への企業研修の資料を作成していて、ちょっと気づいてしまったことがあったので記録しておきます。 ドラッカーの『現代の経営』に、「明日の経営管理者の育成」という小見出しの部分があります。経営管理者というのは、マネージャーを訳したものですから、これすなわち、マネージャー研修の要諦だとドラッカーが考えていたことだと思います。 引用します。 一部、「それどころか」の流れがわかりにくいですね。原著からこの部分を引用してみます。 「それどころか」は、Indeed

聞け、話すな、の経営

最近、会議に懐疑的である。 会議懐疑論者である。(←半分、言ってみたかっただけ。) さて、そんな会議嫌いも相まって、自分の頭の中でキーワード的に鳴り響いているのが、このタイトルの言葉。もう、商標でも取ろうかしらん、レベルで響いている。 元ネタが何かと言えば、ドラッカーの『経営者の条件』。 しかも、本文というよりは前書きみたいなところ。序章の最後の部分である。 引用してみる。 最後の部分、原著では何と言っているのか。調べてみた。 話すな、とは言ってないw 話すなら、

昭和のおっさんから抜け出し、仕事の生産性を上げる仕事の考え方

先日、クライアントさんの話を聴いていて、昭和の人というのは本当に仕事を長時間することがいいことだという価値観が染みついていて、残業だの休日出勤を誇らしげに語るけど、最近の若者は合理的だから、それを見ながら批判的なことを言って逆らいはしないけど、自分はああはなりたくないって思っているだろうねーという話になりました。 みんなが不必要だと思っていたけれども、年配の方がずっとやってきた会議があって、その方が退職された途端、無くしましょう、という話で合意が取れたそうなので、こういうこ

非営利組織の経営の本質⑥:ドラッカー『非営利組織の経営』原著を目次だけでさっと読む

非営利組織の経営に関する書籍や論文を探していますが、法律や会計などの制度、歴史や意義、みたいなものは発見できるんですが、「良い非営利組織の経営とは?」についてのものはほとんどないですね。この春に2本、私が書いたものが刊行されますが、この分野って語りにくいのかしら? 実際、ソーシャルセクターの皆様を見ていると、とても頑張っていらっしゃっていて、成功されていると傍から見られている組織でも、常に試行錯誤で努力されていらっしゃいます。ということで、あまり実践の場から「こうすれば成功

ダメダメな会議の再生案

体調を崩していて、一ヶ月の間、定例のオンライン会議に耳とチャットだけで参加することになりました。もともと私は、前のITベンチャー企業のトラウマで、会議というものが苦手で、とっても意味がないものだと思っているので会議が好きではないのだけれども、この会議、実は、ここ半年くらい、とっても憂鬱なものだったのだけれども、それをどうすれば改善できるのか、よくわからなかった。ただ、今回、結果として一ヶ月間オブザーブすることになり、あ、こういうところがダメで、こういう風にすれば良いのかな、と

ドラッカーと利益の話をしよう

「非営利組織」の「営利」ということを考えている中、ドラッカーの『すでに起こった未来』の中に「利益の幻想」という章があることに気づきました。 初出は「ウォールストリート・ジャーナル」紙という新聞に掲載されたものらしく、1975年のことらしい。この文章、なんとなく言っていることはわかるけど、よくわからない、ということで、困っていたら、『ドラッカーと会計の話をしよう』という小説があることを知りました。著者は林あつむさんで公認会計士の方らしいです。 小説は読むのが大変だな、と思っ

非営利組織の経営の本質②:非営利組織=ボランティアというイメージはどこから生まれてきたのか?

前回の記事で、ドラッカーの『非営利組織の経営』の日本語版の冒頭の「日本語版へのまえがき」にあるドラッカーのこんな言葉を紹介しました。 このまえがきをもっと読んでいて、とても興味深いのは、ドラッカーがアメリカの非営利組織の特殊性について、「ボランティアが支えていること」だと言っていることです。引用します。 この文章は日本語版へのまえがきで、2007年に刊行された本のもの。その時代認識に立ったうえで、最後、ドラッカーはこの文章をこう締めくくっています。 ドラッカーがアメリカ

非営利組織の経営の本質①:非営利活動ってなんだ?

 10年ほど前からいわゆるソーシャルセクターに関心を持って関わり始め、非営利組織の資金調達などを実務で行う認定ファンドレイザーなんて資格も取得していたのですが、ちょっと近い将来、非営利組織の経営についてお伝えしなければならない機会が出てきそうで、そのために、ちょっと整理しておこうと思ったのですが、取り掛かってみると、なかなかこれが厄介なこと に気づきました。  田尾雅夫先生、吉田忠彦先生の『非営利組織論』(有斐閣アルマ)の冒頭を読んでいると、こういう表現がされていました。

日本式経営腐敗論①:日本企業のマネジメントはどこからおかしくなっていったか?~ドラッカーの投稿論文から(1971年,1981年)

失われた何十年とかいう話もなんとなく昭和とともにノスタルジーとともに語られそうな時代になってきましたが、いかがお過ごしでしょうか? 今の日本経済の没落を、人口論のせいにしたり、政治のせいにしたり、いろいろな見方はありますし、それらを否定するものではないのですが、事実として、日本の今の企業のマネジメントはどこかおかしくなっている気がします。 特におかしいな、と感じるのはメーカーでしょうか。様々なメーカーで不祥事が起きています。それが一社ならまだしも、複数業界、多くの会社で起

ドラッカーとマッキンゼーと経営コンサルティング

それにしても、自分の本棚から本を探すのがいかに大変な作業か、思い知らされている。どっかで2日3日かけて、綺麗に本棚を整理したいところ。 は、ともかく、今日のタイトルは何かしら、部屋とTシャツと私を匂わせていますが、よく考えると、単に3つの名刺を「と」で繋いでいるだけです。いかに構造がオリジナルだとインパクトがあるかがわかりますね。 昨日、ある勉強会で、ドラッカーがかつて日経新聞に連載していた「私の履歴書」が単行本になっているという話が出て、あ、そういえば持っていたな、と引