涙を拭う、笑いながら

世界は層構造だ。

楽しい飲み会の裏で、愛しい人を泣くした方がいる。

僕は、どっちの層にも存在する。

門出を祝い、笑い合う僕と。心が泣いているあの人の涙をそっと拭いたい僕と。喜びも、悲しみも抱き締めたい僕が。

それは、残酷なほど、どちらも真実で。

大好きな人が楽しいと、僕も楽しい。
大好きな人がつらいと、僕もつらい。

それは、違う層になって、ただ、そこに存在している。

どっちかの層のひとには、片方の層の僕しか見えないけど。

泣きたい。楽しい。悲しい。嬉しい。

それは、まるっきり異なる層として、僕の世界に折り重なっている。

ただただ。そこに。あるだけで。

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