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思い込みビビり

子供の頃、母親の真似事ばかりして、言われてもないお手伝いをしては、
不意に褒められた時の嬉しさと照れくささが妙に快感だったのを、いまだに覚えてる。

そんなとある休日、ソファで横になってテレビを見てる父親にお昼ごはんを作ってあげたくて、冷蔵庫を探ったけど何もなく、仕方なくストックしてあったカップラーメンを取り出して、お湯を注いでおおよそ3分待った。

父親の元へ持っていくと喜んでお礼を言われたが、その後の表情が想像していたものとは違っていた。

「ん?なんかこれ美味しくない」

え?!本当?とカップラーメンの中を覗き込むと、湯気の立っていないブヨブヨの麺がどよんと浮かんでいた。
一口食べると、小麦の味と輪ゴムみたいな食感が口に残って、決してお世辞にも美味しいとは言えない出来栄えだった。

まず湯気が立っていない時点でおかしい事に気づいて確かめると、まだ沸騰し切っていなかったお湯を注いでいたことが分かった。
お湯を入れてから、おおよそで3分という時間もアバウトすぎたのが原因だったのではないかとの判断に至ったのだ。

こんな工程の少ない、簡単な調理でさえ上手くできなかった。

当時小学3、4年生ぐらいだった私の心は、この一件によって、それまで上り調子だったお手伝いのやる気を一気に消失させ、所詮母親みたいにはなれないのだという自信喪失にも繋がった出来事となった。


その後、大人になった今でもたまに、実家で料理を作る時、父親の前では失敗しがち?というか、いつもはできることができないみたいな、、。
その一件があったからだとは限らないけど、こういう場面に職場でも直面することがある。

以前ホテルの宴会場で働いていた時に、やたら厳しく指示する上司がいて、その人は私にだけではなく誰に対しても(歴の古いメンバー以外)気に入らないことがあると怒鳴り散らしては張り詰めた空気を作るような、このご時世では逆に珍しい人がいた。

その上司が管轄するチームで働く日には、決まって、いつもしないようなミスを連発する。それは単純に”ビビって”いたと考えた方がいいのかもしれないけど、当然ミスをすると激しく怒鳴られ晒され者になる。

(のちにその職場を退職するのだが、以上の理由で退職したわけではない。)

このように”ビビって”本来の力を発揮できないような瞬間、改めて振り返ってみると、よくあったような気もする。それは言ってしまえば、地雷を踏まないように避けて通ろうとするあまり、反対の力が働いてなぜか体がそっちへ向かってしまう現象なのだと思う。(この現象に名称がある気がするけど調べられなかった)

だから結論、全ては思い込みなんだと思うようにした。
父親が私の料理を下手くそだと言ったことなんて一回もないのに、勝手に私は料理ができないと思い込んで料理するから、いつもよりおかしな出来になる。
別に仕事ができないとは言われてない(多分)のに、勝手にできないと思い込んで、いつもよりミスが多くなっていただけ。

きっと全ては思い込みから始まる、自分勝手な意識の表れだったのだと思う。

だから自分が親になったからこそ思う、私のちょっとした発言で、子供は勝手に自分に対する思い込みを植え付け、気付かぬうちに後を引きずってしまうような事になりかねないなと。

もし言ってしまったとしても(大抵言った事にも気付いていないことが多い)、その後の少し大袈裟な褒めアクションがあるだけで、マイナスからプラスに変わることも容易にあることを忘れずに。
自分の経験を子育てにも活かしていきたい。


今日も一日、お疲れ様でした。




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