巡礼31日目 to ラーゴ (27.8+2km)ヤバい、吐きそう
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脳内アラート発動
あさ、ここちよいキッチンでドーナツを食べて、アルベルゲの敷地内をぐるっと一周する。空がきれいで、動物ものんびり、いいなあ・・・もう少しここにいたいけど。帰国の日にあわせてざっくりと日程を決めて行動しているけれど、もしそれが完全に自由だったら、私はどんなふうに行動するだろう?
この日は、アルベルゲからネグレイラの街までの距離を含めて約30kmの道のり。「行けるかな?」少し緊張しながら出発する。暑くなるみたいだし、休憩できるところではバンバン休む必要がありそうだなあ。
できれば6~8kmごとに一度は座って脚を休めたいんだよな・・・だけど、黙々と歩いてもやっぱりお店が見当たらない&ベンチもない。その辺に座って休むのにちょうどいい場所もなくて、うーん、難しい。
だいぶ歩いてからようやくお店らしいものを見つけたものの、ながい階段(上り)の先・・・やってなかったらツラすぎる〜。オープンしているのか、クローズなのか、スペイン語がわかったらいいのに!wi-fiが弱くて調べられないし、疲労と暑さにあたまがまわらなくて、しばらくその場でじっと悩む。
「このあと他にお店がなかったらそれはそれで地獄だしなあ、イチかバチか行ってみるか!」決心して重い足取りで階段をのぼると、巡礼者が2名ほどテラスで食事しているのが見えた。やったあ!すぐさま荷物を降ろして、サラダと目玉焼きとコーラを注文する。
しばらくして、昨日から抜きつ抜かれつしていた男女がやってきた。南アフリカから来たのだという二人は、汗を拭うようなしぐさをしながら、「ものすごく暑いね!」と笑う。男性がバックパックをおろすと、Tシャツの裾と袖の端っこ以外ほとんどがびっしょり。私のグラスを指さして、「コーラいいね、のまないとやってられないよね。」サンチャゴ以降、すれ違う人がグッと減って滅多に話すこともなかったので、他愛ない会話がうれしい。
身体が程よくクールダウンするのを待ってから、再び歩き始めた。ゼエゼエ、ハアハア、まだまだ先は長いなあ・・・強い陽射しにさらされながらトウモロコシ畑を通り過ぎているうち、あまりの暑さにボーッとしてきた。少し歩いただけであっという間にキツいんだよー!息まで熱いし、どうにかしてくれい!!
膨張した頭につられて視界もぼんやりと、この感じは波照間に旅行した時の感じに似ている、と思う。昼間に出あるいていたら、おじいに「いまは外を歩く時間じゃないさ~。」と笑われたのを思い出した。湿度とか気温そのものではなく、ひたすら日射しがきついんだよなあ。
ボーッとしたまま、次の街だったか、次の次か?小さな広場のようなところにレストランらしきものを発見、さっきの男女が休憩しているのが見えた。できたらもう少し先まで歩きたいけど、お店があるとは限らないし、私もストップ。ミネラル補給にアクエリアスを注文してテラスで休憩する。
「あ、さっきのお店にいた人だ!」やってくる人に手をあげて挨拶・・・あれ?・・・人違い?
その人は、「?」とも「!」ともとれる仕草をみせて隣に座った。サラダとビールを注文しながら「ビール飲むか?」ときくので、「アクエリアス飲んだし、いらない。」とこたえる。
私が靴のインソールを入れ替えているのを、何やってんだ?と不思議そう。「しょっちゅう足のコンディションが変わるから、それに合わせて入れ替えてるんだよ。」と説明すると、ああ・・・という風に首を動かして、「それはいい、大事なことだ。」と納得した様子。本人はチャッカブーツを履いているくらいだから、インソールとかそこまで気にしないで大丈夫な人なのかも。この日は35km歩くという話に、私は「ええ!(その靴で?)」と驚く。
この人とは、この日ずいぶん長い距離を一緒に歩いた。単刀直入な人で、初対面の私にかなり突っ込んだこと(答えるのが難しいような)をきいてくるので、私はそのたびに驚きつつも、つたない英語で答える・・・そんなやりとりをしながら。
「何に関心があるか?3つ教えてくれ。」という質問にこたえてから、「あなたは?」と返すと、自分自身の内面に関心があるのだと言っていた。(この人も他に2つ、計3つこたえた)
途中、なんでだか音楽の話になった。私が「カミーノを歩きながら、サンチャゴにつく前には、ジョン・レノンのイマジンが頭の中で鳴ってたよ。私の好きな日本人ミュージシャン(※忌野清志郎:末尾動画リンク有)の日本語カバーなんだけど。」と言うと、「歌えるか?」と言って、自分はさっさと英語で歌い出した。唐突!
私はハモるとかも超苦手だし、他に音があると引っ張られてしまうから、英語のメロディーに日本語をのっけることができずに、オロオロ。英語の歌詞はうろ覚えだし・・・仕方ないので、ぼんやりやんわり、フニャフニャ歌った。急な登り坂だったこともあって、息も絶え絶え風に。
「お前と一緒にいると楽しいな゙!嘘を言わないし、とてもいい時間を過ごせる。」3度目のカフェ休憩のあと、歩きながらフイにこんなことを言われた。ふだん褒められ慣れていない私は、私にとってこれ以上ない褒め言葉に、面食らい&狼狽えて、微妙な笑いを浮かべることしかできなかった。
まただ・・・感情と認識に時差があって、表現がズレてしまう。これは「嘘」なの?「嘘」じゃないの?「微かに」よりずっと強く、心の内が揺れるのを感じる。
この先のことはうまく書けないな。質問に答えるうち、心の大きく動くのを感じたのだけど、私のなにか見たくない部分に触れるようで。抵抗も相まってボンヤリした印象、まだ整理がついていない。ざわざわする・・・この人との出会いはきっと縁があった、と思う。
翌日以降、何度か会ったり見かけたりするたび、怖くて逃げてしまった。その人が、ではなくて、その人との会話で待ったなしに現れる自分自身に触れるのが怖くて。「その人に会うのは危険!」私の脳内アラートが反応していた。なにかと急いで立ち去ろうとする私に、「OK!OK!もういいよ、」という感じの会話が最後になってしまった。
シンプルに親しみをもって率直な交流をしようとしてくれたのに、逃げるみたいにしてしまったことを謝りたいなと思っても遅いんだよな・・・なにより、「噓を言わない」って褒めてくれた人に何も言えず?言わず?に逃げ回るだけ、っていう自分が情けなくて。「なにこれ、ダサ!」ってガッカリした。
この遭遇は、何か胸に引っかかるものを残したまんま。
※イマジンのキヨシローさん日本語訳カバーはこれ。
元の曲はもちろんだけど、キヨシローさんの日本語訳がほんとうに良くて。はじめてライブで聴いた時、「僕らは薄着で笑っちゃう」で思わず涙。知っている人も多いと思うけれど、もしまだの人はぜひとも聴いてほしいです。いま生きていたら、なんて言うだろう?いまの私になんていうだろう?って、しょっちゅう思いだします。
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