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朝ドラとあんこと祖母の話

朝ドラの影響をまんまと受けて、初めて小豆からあんこをつくった。
買った方が安上がりで美味しい。わかっていても、買えば当たり前のように食べられるものを一から作るのは、いつだってワクワクする。

二時間ほど鍋を火にかけて出来上がり。あんこの匂いがふわりと漂う部屋で、おやつにぜんざいを食べていたら、スマホが鳴った。

差出人は母。
今日はおばあちゃんの命日だね、と書かれていた。

ああそうか、祖母が亡くなったのは数年前の、ちょうどこんな春の日の明け方だったっけ。

命日が今日だというのをすっかり忘れていた。祖父母の中でも一番長生きして、一番私を可愛がってくれた祖母なのに、冷たい孫だ。
一人暮らしをするようになって、親族の命日や誕生日にすっかり疎くなってしまった。少し反省する。

祖母のこと

祖母は、料理が得意な人だった。

唐揚げ、お煮しめ、甘い卵焼き、サツマイモの天ぷら。
幼いころから母に連れられて帰省すると、食卓にはたくさんの料理が並んだ。
帰る日には飛行機の中で食べてとおにぎりを包んでくれたっけ。
その一つ一つが美味しくて。

祖父が亡くなり、一人で暮らすようになってからも、欠かさず自分のごはんと神棚に備えるおかずを作っていたと聞く。
とことん、料理が好きで、食べることを大切にした人だった。

あなたがいたから私です

一人暮らしを始め、自分で料理をするようになって、そして日々の料理が好きになって、改めて思うことが増えた。
ああ、私は作ること、食べることが好きなんだ。おばあちゃんの血が流れているんだな、と。

それが遺伝と呼ばれるものなのか、それとも食べることを大切にする家庭で育った母が私を育ててくれたからという環境によるものなのかはわからない。

でも確実に言えるのは、食べることを大切にした祖母の姿勢が、時間も場所も超えて、今私の中に生きている。

こんなことを思うのも、朝ドラの影響をまんまとうけているのかな。

祖母がいて、母がいて、私がいる。祖母の命日に食べる手作りあんこは、あたたかで優しかった。

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