セカイ系と日常系

エヴァ以後の系譜

「日本アニメの革新」の自分用の補足のため(2回目)に、セカイ系と日常系について書いておきたい。まあそんなに詳しくはないのでざっとなぞる程度で。

オタクについて

たまに参照するけど見るたびに世代の定義が変わっている気がする(笑)。Internet Archiveの2019年の記述より引用し、まとめると概ね以下のようになる。だいたいで良いと思う。

オタク第一世代(1960年前後生まれ)
宇宙戦艦ヤマトに始まるアニメブームを起こし、コミックマーケットなど現在に至るイベントの基礎を築いた。「新人類」と言われた世代であり、幼少期にはウルトラマン、仮面ライダー、マジンガーZといった怪獣・変身ブームの洗礼を受け、しばしば特撮への嗜好を持つ。

少年期にSFが世界的なブームを迎え、その作品は日本のオタク文化にも大きな示唆を与えた。彼らが好んだ漫画やアニメ、SFは学生運動を主導した焼け跡世代や団塊世代の抱いていた社会変革思想の対抗物として意識されていたため、彼らのオタク趣味全般に韜晦(とうかい)や理論化・体系化への指向が強い場合が多く、オタクコミュニティ内のジャーゴン(専門用語)としてキーワード化を行っていた。

オタク第二世代(1970年前後生まれ)
幼少期に機動戦士ガンダムに代表されるアニメブームの洗礼を受け、広くアニメなどが趣味の範疇に受け入れられた。これらの作品がSFを基底として、架空の技術体系を構築する手法をとったため、提供される側はその架空の技術体系を網羅したがる方向性も見られる。「ガノタ」(ガンダムオタク。ガンオタが綴りから「ガノタ」と変形)に代表されるシリーズ作品内の知識体系のみに耽溺し、現実の知識体系とのすり合せを行わない傾向も派生させた。

末期新人類(バブル世代)と団塊ジュニア、1970年代後半生まれ(つながり世代)に相当し、 1980年代のテレビゲーム・パソコン趣味の担い手となり(ファミコン世代)、『少年ジャンプ』に代表される日本の漫画の隆盛期を担った。またこの時期にはライトノベルが成立し、この世代以降、日本のオタク文化の影響を受けた海外コンテンツの「逆輸入」が盛んになる2010年代までは海外作品とオタク文化の繋がりは希薄になる。ロボットアニメ最盛期に育った世代でもあり、プラモデルもこれらの作品に関連した製品が登場して一大市場を築き、その受け手(消費者)となった。

なおこの世代の親(1940年前後生まれ)は、仮面ライダーの石ノ森章太郎や機動戦士ガンダムの富野由悠季、風の谷のナウシカの宮崎駿など、アニメ、特撮の大作家が多い世代である。

オタク第三世代(1980年前後生まれ)
1990年代後半に新世紀エヴァンゲリオンの洗礼を受け、セカイ系と言われるムーブメントの担い手となった。この時期にはアニメやコンピュータゲームが趣味の一つとして市民権を得るようになり、メインカルチャーとサブカルチャーの差が薄れた時代に育った。そのため、オタク趣味に後めたさや韜晦(とうかい)意識を持たず、単に多様な趣味の一つとして、アニメやゲームを楽しむ者も増えた。

1980年代後半に生まれた世代(ネット娯楽世代)は、高校時代までにインターネットが普及し始めた世代であり、インターネットをテレビや雑誌などと同質の情報媒体として利用していることが窺える。これは、1970年代後半に生まれた世代(つながり世代)が、インターネットを独立した一つのメディアとして捉えたのとは対照的である。

第三世代以降の世代ではオタク趣味が一般的なものとなり、オタクコミュニティの拡散化と嗜好の分裂化・多様化がかなり進んでいる。

オタク第四世代(1990年前後生まれ)
インターネット利用が一般的な環境の中に育ち、従来の世代が遊び場や友達・仲間を広場や公園・路地裏に求めたのと同質の感覚で、コンピュータネットワーク上のネットコミュニティにも求めていった世代である。インターネットなどを通じて知った海外のアニメ・コミック作品に傾倒したり、復刻ブームから1960年代~1970年代のアニメや漫画や玩具が容易に手に入るようになったことから、親(オタク第一世代)の少年時代に流行した作品に熱中するオタクも相当数生まれている。

第三世代と第四世代は世代文化に大きな違いがなく、嗜好や文化のかなりの部分が重なる。第三世代以降のオタクは、オタクであることに誇りを持ち、オタク趣味を楽しむことに対する恥や韜晦(とうかい)の意識がほとんどないことが、従来の内輪で楽しんでいた第二世代以前のオタクからは違和感を持たれることが多い。ヤンキーでありながらオタク趣味を好む者も現れ、いわゆる痛車やレディース(女性暴走族)によるコスプレなどに見られる暴走族文化との融合という現象も発生している。

Wikipedia

オタク第三世代が「セカイ系」で、第四世代が「日常系」ということになるだろうか。では第五世代が「異世界系(なろう系)」かというと、そうではないところ(よくわからない)がやっかいなところである。「〇〇系」で説明できる時代がもう終わっている気もする。

それとも宮台真司や東浩紀などの「〇〇系」という論者がいなくなったのかも。正直別にどうでもいいからね(笑)。


セカイ系から日常系へ

要するに「ほしのこえ」「ハルヒ」「らきすた」「けいおん」なのである。

新海誠とギャルゲーのアニメ化を行っていた京都アニメーションが起こした一連のブームがセカイ系と日常系なのである(ざっくりしすぎ?)。この流れを振り返ってみたい。

ほしのこえ

冒頭からポエムが炸裂するセカイ系は正直いってあまり好きではない。リアルタイムでは知らなかった。届いてこなかったのである。ほしのこえは聴こえなかった。

そんなわけで個人的にはセカイ系の評価は低く、逆に届いてきた日常系の評価は高い。日常系もリアルタイムではなかったけれど、見たときに「時代に合っている」と思ったものである。基本的にギャグアニメだし、気軽でおもしろいしね。

もちろん、好きな人を否定したりはしない。天気の子とか好きだし、すずめの戸締りも楽しみにしている(配信で)。

涼宮ハルヒの憂鬱
https://www.nicovideo.jp/watch/so29049507

「セカイ系」から「日常系」へ。
無料じゃないし(笑)。アマプラのdアニメだと第1話無料です。

らきすた
https://www.nicovideo.jp/watch/1293105111

聖地巡礼ブームを起こした日常系の代名詞(ですよね?)。

けいおん
https://www.nicovideo.jp/watch/so34345746

日常系の完成は「けいおん」らしい。異性すら出て来なくなるっていう…。

制作側の見解

アニメイズデッド
「らきすた」「けいおん」ではパンドラの箱を開けてしまった。

ポジション的に新選組や白虎隊に近く、烙印だけ押されかねない。評価されるのは死後になってからで、華々しく散りそうではある。


2016年問題

問題というほどのものでもないけれど、2016年は「シンゴジラ」「君の名は。」「この世界の片隅に」の大ヒットの年で、京都アニメーションの「聲(こえ)の形」もヒットしている。それなりの(かなりの?)インパクトのある年だった。

大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ

Kindle Unlimitedで読めるときがある。「シンゴジラ」「君の名は。」「この世界の片隅に」や、他にジブリやガンダムに言及している。

シンゴジラ

君の名は。

この世界の片隅に

聲の形

その後、庵野秀明はシンエヴァ、新海誠は天気の子・すずめの戸締り、片淵須直はこの世界の(さらにいくつもの)片隅に、京都アニメーションはヴァイオレットエヴァーガーデンをつくっている。これでやっと2020年代に近づいてきた(笑)。

セカイ系は君の名は以降の新海誠をどう見るかによるのかな。エヴァも終わったし。まどマギもセカイ系になるらしいけれど、あれはセカイ系というより魔法少女の系譜である。

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