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ミステリースペシャル『満願』感想

米澤穂信の作品が実写ドラマになった

2018年6月、平成最後の6月にそれは発表になった。 #米澤穂信 の作品が実写ドラマになるという。楽しみ半分不安半分(なぜ不安になったかは後述)。原作既読者による #ドラマ感想 ですが、厳密には物語自体の感想というより実写化についての感想になっています。ネタバレ避けたつもりですが、ご注意ください。また、あらすじは割愛しています。

第1夜『万灯』(2018/8/14放送)

まず皮切りに放送されたのは『 #万灯 』。
主人公を演じた西島秀俊の演技と、外国でのロケによる世界観の再現がとても秀逸な作品でした。(実は原作読んで、長老との会話のシーンの風景がうまくイメージできていなかった)
物語の展開は原作に忠実です。忠実すぎるだけに、あることが描かれなかったことが謎でした。あれでは原作未読の人間には主人公がなぜ病院に行かなかったのかわかりづらいのでは?せめてあの独白で説明してももよかったんじゃないのだろうか。途中までよかっただけに残念でした。

第2夜『夜警』(2018/8/15放送)

三夜連続で放送されたなかで、どれが一番よかったか訊かれると第2夜の『 #夜警 』だと答える人は多いのではないでしょうか。それほどに脚本、演者、音楽映像すべての完成度が高かった。
原作に忠実だった第1夜と違って改変が多く、例えば原作にない取調のシーンがあったり、序盤で兄の家を訪ねたりしています。そういった改変がよかった。主人公の語りで説明される原作と違い、何気ない会話や風景で描写するというドラマならではの手法がさえわたっていました。改変で一番お気に入りはラスト。安田顕の表情の変化に注目です。

第3夜『満願』(2018/8/16放送)

収録本の表題作にもなっている『 #満願 』は最終夜でした。そして、すみません、個人的に一番楽しめなかった作品がこれです。
前夜の『夜警』がよすぎたことも要因ですが、一番は時代背景を原作と変えていることが気になってしまったことでしょう。他の作品と違い、はっきりと昭和何年か明記ある作品だったから時代変更が前面ににでていました。調べて見るとこの作品だけあとの二作と違う人が脚本を担当していました。『万灯』と『夜警』の脚本担当した人はドラマのHPで下記のように語っています。

執筆で苦労したのは時代背景。原作は昭和の匂いがするものが多く、どう描くか悩みどころでしたが、原作に寄り添う形で脚色しました。

『満願』担当した方がなぜ時代をずらし、平成にしたのかその狙いはわかりません。とにかく物語が昭和でなくても困らないと判断されたようですが、個人的には魅力が半減したように感じました。
下宿屋の女将が守りたかったものについてわかる場面や、途中のスイカを食べるところや参詣の場面は高良健吾、市川実日子の二人の演技も合わさって美しいものに仕上がっています。
現在と回想がわかりづらいところも多いので、これだけは視聴前に原作を読むことをオススメします。

最後に

私にとって米澤穂信の実写作品というと『 #インシテミル 』という映画になります。実写化されたは設定だけで原作のもつ良さは引き継がれていない映画でした。最初ドラマになるときいたとき不安になったのはこの経験のせいです。しかし杞憂でした。

実写ドラマ化してくれてありがとうNHK。3日間楽しかったです。で、あとの3つはいつ放送しますか?


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