シャムキャッツ
シャムキャッツの解散が発表されてから随分と日が経ってしまった。
解散発表の日から書き始めたはずのこの文章はきっかけを探して長い間眠ったままだった。
2019年11月22日、FUKUOKA BEAT STATIONで観た「デビュー10周年記念全国ワンマンツアー」が最後に観たライブになった。
あの日、久しぶりにライブを観て、あー!シャムキャッツ好きだ!!最高だ!って。しばらく離れてしまっていたけれど、またライブに通おう。CDを買おう。そんな風に思ったのだった。
別れはいつも突然だ。
あるバンドのボーカルがこの世からいなくなった日に、好きなアーティストのライブには出来る限り行くんだって誓ったのにね。
思い返せば、シャムキャッツとの出会いも突然だった。地元のタワレコで舐め回すようにして陳列棚を見渡し「たからじま」を手に取った。サブスクなんてなかったあの頃、ドキドキするような音楽と出会うのはいつもタワレコだったのだ。
シャムキャッツを初めて観たライブは、忘れもしない2013年11月23日@Early Believers。シャムキャッツとTurntable Filmsの対バン。実は、お目当てはタンテの方で。
だけど、ライブが始まったらあっという間にシャムキャッツに心奪われた。お酒を片手に顔を真っ赤にして、楽しそうに変な歌を変なダンスをしながら歌う夏目くん。そして何より、メンバーそれぞれの演奏がビリビリと痺れるほどにカッコ良かった。
それからは、彼らが福岡に来るたびにライブに行った。数え切れないくらい行ったような気がする。キラキラした瞬間は昨日のことのように思い出せて、また切なくなる。
新曲をライブで初めて聴く瞬間。絶対に良くって、ついニヤけてしまうんだよな。
ライブ中に凝視してしまうのはいつも藤村さんだ。藤村さんのドラムは音も演奏スタイルもクレイジーで大好きなのだ。
ほとんどの曲は夏目くんがメインでボーカルを担当するけれど、たまにある菅原さんボーカルの曲も大好きで。夏目くんとは正反対な優しくて落ち着く歌声。
バンビさんは穏やかそうに見えて、ベースラインはワイルドで素敵。
メンバーは皆ライブ中は激しくて少し怖いくらいなのだが、終演後にはとても気さくで穏やかなお兄さん達だ。
バンドは永遠には続かない。
頭では分かっていても心がそれを拒んでいた。
確かな理由も根拠もないけれど、何となくシャムキャッツは続いていくだろうと思っていた。情報過多がストレスになるためSNSで情報を追うのが苦手な私は、少しずつあらわれていた予兆を見逃してしまったのかもしれない。
ライブDVDも買いそびれて、ショックが二重になってしまっても、それでも長い時間をかけて別れを受け入れていく。
彼らはもう新しい道を歩いている。
夏目くんの恐竜イラストは可愛いくてwebでも販売してほしいし、菅原さんのカセットテープDJも気になる。
さよならの先にはきっと素晴らしい出会いがあると信じている。だから悲しくなるのはもうやめだ。
シャムキャッツの音楽はいつもそばにある。
またどこかで、違った形で、彼らの作品に出会えますように。
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