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15年後のチャンス 後編

※長いので前編と分けました、、、
まずは前編をお読み下さい。

【怪我の功名と挑戦、そして憧れとの再会】

私は休職になりましたが、会社内では少し評判になりました。
プロジェクトオーナーからは、あの案件を鎮火させた事を評価したい。休職が終わったら別案件を担当させたいと言われました。
(流石に無理だとお断りしましたが…

「エース級の人材が開拓条件の特例案件がある。何としても開拓したい、その為に君を紹介したい。」
ある日、評判を聞きつけた部長から私にこう指令がありました。
内容は、大手外資コンサルと同じチームへの派遣。職場は、セキュリティ方針を決める大手企業のSIRT(Security incident response team)でした。
大手外資コンサルは世界的にも有名な企業でした。私は15年前の飲み会を思い出しました。

(「お前アタマ良いからコンサル向いてるんじゃね?笑」)

「ただ…」
部長が言いました。
「君は休職明けだ。とても大変な仕事だと先方からも聞いている。今までとは比にならない業務難易度とプレッシャーに君は耐えられるか?」
私は回答できませんでした。
「回答を数日置こう。君の健康が第一だ」

私は悩みました。これ以上、会社にも迷惑も掛けられない、何より自分が壊れてしまうかもしれない。でも、、

私は、休職中にも色々心配してくれた友達に相談しました。
「やりたいけど不安なんだ」
そしたら開口一番こう返ってきました。
「大丈夫だよ、出来るよ」
私は、部長に挑戦したいと回答しました。

【理想と現実、そしてノイローゼ】

現場初日
配属先の上司から最初に言われた事を覚えています。
「ここは超上流、出来ないなら他あるから」

そして、簡単なクラウドサービスの構成図だけが記載された半分白紙のパワポを数ページ渡され、こう言われました。
「今から行う事はトップコンサルと同レベルの研修です。出来なくて当然です。一週間自力で白紙箇所を埋めて下さい。では、どうぞ」
それ以外に業務で教えてくれる事は最初ありませんでした。

パワポには、簡単な構成図のみで、利用者や業務内容、想定されるリスクなどが空欄になっていました。
(本来ITサービスで最初に考えるべき業務要件が白紙になっている…)
これは、問いを自分で決めて、自分で答えを作る研修だと私は察しました。

(なんだよ、これ、何もかもが分からない…)
まずクラウドサービスもセキュリティも分かっていなかった私は、徹底的に勉強する事から始めました。

経済産業省や日本のSIRTであるJpsirt/ccなどの機関が発行する100ページ以上あるセキュリティガイドラインなどを片っ端から頭に入れていきました。その努力が上司に伝わると、アドバイスをしてくれます。
「セキュリティバイデザイン、この資料が良い」
その資料も200ページある。
また同じように何度も頭に入れていく
仕事が終わった後は図書館でセキュリティと検索して片っ端から書籍を読んでいく。クラウドサービスも同じです。
1カ月で数千ページの資料を読みました。

そうすると基礎的な考え方が見えてきます。
このクラウドサービスは、動画に使う、データ保存に使う、サーバに使う…それが分かってきて、利用するパターンが見えてくる。
「この構成図は、テレワークで動画を配信しているのか、いや、Webページからデータを収集しているのか…」
そこが分かってきて資料を思い出してきます。

(Webページの時のセキュリティ対策…たしかJPsirtに載ってたな、テレワークのセキュリティ対策…たしか経済産業省にあったはずだ)
そして資料を再度見てパワポに記載する、その繰り返し。
苦労の末、ようやく出来たものを上司に見せると、こう言われました。

「内容は悪くないが、日本語の文章構成が出来ていない。これを読むと良い」

そこで紹介された本は、日本語の作文技術。
これは新聞記者や小説家など、いわゆる日本語のプロが文法を学ぶための本で300ページ以上ありました。それも読む、とにかく初めは狂気じみたインプットを行いました。

なんとか研修を乗り越えて業務へ入った時
私は、先輩達の業務スピードに驚きました。
私が最低6日、7日掛かる資料を、先輩達はクオリティが高い上に2日、3日で仕上げていました。私が入ってきた事に気づいた先輩が屈託なく言ってきました。

「新人君か!よし、この報告書2日で作ってみてよ」

(無理、無理だ、そんなスピードで作れない)

正直狂気になりかけるほど勉強していた私は、疲れ果てていました。

(もう十分やった…ここは俺には早過ぎた…白旗を上げよう)
私は部長へ連絡していました。

【評価と半年後、そして本のオススメ】

部長に連絡を入れた後
緊急ミーティングが開かれました。
今回案件を紹介してくれた営業部長と
配属部である技術部長の2名との面談

「とても評価が良いけどな」
開口一番、営業部長が言いました。
「想像以上に評価が良い。だから休職した事もADHDも伝えた。何も問題無かった笑。むしろ残ってほしいそうだ」

なに勝手に言ってんだよ、このオッサン…!
とは思いましたが、結果オーライとの事でした

「君の気負いすぎだな…バックアップは保証する。何か辛い事があればいつでも相談に乗って欲しい」
技術部長もそう言ってきました。

そこまで言っていただけるなら…
そう思い、現場に戻りました。

現場に戻ったら、こちらでもミーティングが開かれました。現場の上司、上司の上長2名との面談でした。

「スピードは何も問題ない。クオリティはこれから上げればいい。今のところ問題はありません」
上司からフィードバックをいただきました。

上司の上長からは、こう言われました
「君の評価はとても良いと聞いている。何か問題があればいつでも言ってほしい」

以前の炎上案件とは違い、とても良い現場だと感じました。私はもう一度頑張ることを決めました


。。。それから半年が過ぎ

今では先輩達のスピードに近付きつつあり、
上司からも手直しがほとんどないと褒められる事が増えました。

半年で数万ページは資料を読んだと思います。
毎日勉強をする日々を送っています。

「この本をすすめたい。本場のコンサルタントは英訳を読むらしいが」
ある日、上司が言ってきました。
その本は300ページある古典で、とても内容が難しい事を私は知っていました。

「その本は家にありますが、読むことが出来なかったです。ちょっと勘弁してほしいです」
私は少し苦笑いしながら言いました。

「なんで持ってるんだ笑。なら入門編を読むといいかもしれない」

そして私は、「考える技術、書く技術 入門編」を今読んでいます。これも200ページあります。

結局、大学時代に憧れた本は読めなかったのですが、私は気にしていません。
ここからが始まりだと思っています。

15年後の今がスタート地点なのだと。

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15年間の歩みを一度記載してみました。
仕事しかしてない社畜でワーカーホリックな男が
何故そうなったのか、15年で何を見てきたか
それを書きました。
ほとんど事実に基づいた内容です。

1つ言えるのは、仕事を本気でやってきた事です
何かを本気でやる事は、新しい自分を知ることに繋がるのかもしれないと思います。
だから私は本気で頑張りたい。
一度きりの人生だから悔いを少しでも無くしたい

イジメも、受験の失敗も、解雇も、ADHDも、
必要な人生のスパイスだったと思います。

そして15年前の自分へ

お前の思い描いた未来は想像とは違うけど
面白い未来になるかもしれない
そしてここから、また面白くする為に頑張りたいと思う。
自分は、こんなものじゃ無い。その初心を忘れずに生きていきたいと思う。


以上になります。
何か少しでも感じるものがあったなら幸いです。

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