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BtoB購買意思決定の1位は「信頼できること」/コミュニケーション能力というオバケ

HubSpotが『日本の営業に関する意識・実態調査2022の結果』『2022年版 インサイドセールスに関するデータ集』を発表していました。
とても興味深かったので、以下引用します。

BtoB購買意思決定の1位は「信頼できること」という調査結果について書いていたら、「信頼関係の構築とは」「コミュニケーション能力とは」の話になり、5000字noteになりました。

HubSpot 調査結果ハイライト

● 買い手にとっての「好ましい営業スタイル」は「訪問・リモートどちらでもよい」が昨年の1.5倍に急増。「コロナが終わったら?」の質問でも同様の傾向で、買い手側の「柔軟性」が増した

● 購買意思決定において最も重要な要素は「信頼できる企業であること」。買い手の約半数は「信頼」が新型コロナウイルスの感染拡大以前より重要になったと回答 

● 営業組織における社員教育やマネジメント面の課題は「従業員のモチベーション維持」がトップに。メンタルヘルス向上への取り組みについては経営者と営業現場に意識ギャップあり

https://www.hubspot.jp/company-news/stateofsales-20220216


購買意思決定における一番大切な要素

「ビジネスシーンにおいて、あなたはどのような印象を持つ会社のサービスや商品を購入したいと思いますか?」

1位 信頼できる(33.6%)
2位 製品の品質が高い(30.1%)
3位 価格に見合う製品やサービスを提供している(27.6%)

https://www.hubspot.jp/inside-sales


企業に対する「信頼」に繋がる要素

「企業に対する「信頼」に繋がる要素は?」

1位 営業担当者が自社の要望を的確に実行してくれる(60.8%)
2位 営業担当者が自社のことを真剣に考えてくれていると思う(55.0%)
3位 企業として言っていることと実際の行動が一致している(49.9%)

https://www.hubspot.jp/inside-sales



購買意思決定1位は「信頼できること」

引用は以上です。購買意思決定における一番大切な要素が「信頼できること」「営業担当者が自社の要望を的確に実行してくれる」なのが個人的に興味深かったです。

企業への信頼に繋がる要素が「知識」や「専門性」ではなく、「人」と「行動」なのも注目ポイントだと思いました。リモート営業が一般化したからこその相対的な顕現かもしれません。

約束を守らないと信頼は一瞬でなくなる

顧客との信頼関係をコツコツ構築しても、「約束を守らない」とそれまでの関係性はほぼ破壊されてしまう。不履行にはそれほどの破壊力があります。
だからこそ、仕事において「時間・納期・タスク」などの約束を守ることは重要で。当然すぎるから見逃されがちだけど、信頼関係構築の必要条件です。

クオリティとかナーチャリングとか口に出せるのはその後。信頼関係がなかったら、そんなこと言っても相手には届かないので。そこをスルーして、顧客が聞きなれないマーケティング用語を使って「知識」「専門性」を盾に一方的に説明してもほぼ何も生まれません。そういうことを示しているデータだと思います。

事前準備の重要性

「約束を守る」を一歩進めると、「準備をする」になります。
「約束を守ろう」という意識よりも、「準備をちゃんとやろう」と意識した方が、結果として約束が守れます。なぜなら、早い段階で行動に起こせるから。だから、事前準備がすごく大切です。
事前準備をやるだけでほぼ解決することは沢山あります。当たり前すぎて馬鹿みたいですが。準備をしないで面談をすると、回を重ねる毎に『できていないこと』が雪ダルマ式に増えて、どこかで破綻します。結果的に約束を守れないという状況は多々あるのではないでしょうか。

傾聴の重要性

また、信頼関係の構築には「人の話に耳を傾ける(傾聴)」がかなり重要です。顧客への価値提供も、顧客との信頼関係もそこから始まると思っています。
意外ですが、真面目な人ほど傾聴が苦手だったりします。彼らは「あれも喋らなきゃ。これも言わなきゃ」で頭が一杯になるので。だから、人の話を聞けないのは真面目で一生懸命な人に多いです。
学校だったらそれでいいのだけど、もちろん仕事は宿題ではありません。一生懸命だとしても、知識を誇れても、そのベクトルは自分にしか向いていません。自分のことを一生懸命やって無条件に褒められるのは学生時代までです。「この人の役に立てる領域は何か?」を考えるのが最初の一歩。傾聴が大事です。

仕事における3つの必要条件

  • 人の話に耳を傾ける

  • 事前準備をする

  • 約束を守る

仕事で誰かの役に立ちたいなら、何かしらのバリューを渡したいなら、学びと成長を得たいのなら、この3つが必要条件だと思っています。顧客への価値提供も、顧客との信頼関係もそこから始まるので。

この3つがないまま仕事をしても、積み重なるものは薄いと思っています。何より、顧客や相手に渡せるはずのバリューを大きく損ねている可能性があります。もったいない。

スキル獲得とか、仕事に便利なTipsとか、ナーチャリングとかはその後。まずはこの3つができるようになってから。話はそれからだ。


コミュニケーションと信頼について

顧客との信頼関係構築がテーマになると、「今の若者はコミュニケーション能力がない」と大人たちがよく言いますが、ぼくはほとんど信用していません。それは大人にとって都合のいい「察する能力」を欲しているだけかもしれないからです。

ちなみに

  • 上司の気分を察する

  • 場の空気を読んで反対意見はいわない

  • 飲み会に誘われたら断らない

これらは「社会人に必要なコミュニケーション能力」ではない。とぼくは思っています。そんな一方的に都合のいい定義など知らん。そんなことより必要なのは「人間関係の構築能力」ではないだろうかと思うようになりました。

信頼関係の構築

人間関係の構築において、「相手から信頼されることが重要だ」とは言えそうです。信頼の有無で互いの関係性は大きく変わりますので。Aさん、Bさんとのコミュニケーションの違いもそこから生まれることは多分にある。

だとしたら、曖昧な言葉ではなく、行動指標に落とし込めそうです。信頼関係は行動の積み重ねの成果だと思っているので。

ぼくが思う『信頼関係を構築するための行動指標』はこちらになります。

信頼関係を構築するための行動指標
・事前の準備をちゃんとやる
・先回りして準備する
・話をよく聞く
・分からないことは聞く
・口頭ですませない。テキストに残す
・レスポンスは速く
・時間を守る
・約束を守る
・約束を破りそうだったら相談する


他者から信頼してもらうために必要な行動は「約束を守る」「そのために事前準備をする」「話をよく聞く」「テキストにする」「報告・相談する」ということだと思います。

つまりは、よくある『報連相』と同じ

それって、つまりはよくある『報連相』と同じです。でも、それでいいと思います。報連相をちゃんとやる人は信頼できるし、信頼できる人とのコミュニケーションはロスが少ない。そもそも、報連相がコミュニケーションになっている。口がうまいとか、付き合いがいいとかは上記の行動指標に関係ありません。でも、この指標はちゃんと役に立つ。

大人たちはちゃんと説明できていない

つまり、これまで大人たちは言い方の順番を間違えていたんだと思います。「近頃の若者はコミュニケーション能力がない」と嘆かれても、正体がないオバケなんだから言われる方は困ってしまいます。
そもそも、言ってる本人たちですらも「コミュニケーション能力とは何か?」をよく分かっていないんだと思います。

正しい順番と説明

正体がよく分からないコミュニケーションなんて言葉を使うのではなく、「社会人にはコミュニケーション力が必要だよ。そのためには信頼関係の醸成が大切だよ。それには『報連相』が役に立つよ。騙されたと思ってやってみなさい」というのが正しい順番と説明なんだと思います。ちゃんと教えてないのに、一方的に文句をいうのはフェアじゃないですよね。

大切なのは「正体の分からないもの」に惑わされないこと

言葉の定義とか違うかもしれませんが、抽象的な話を聞いて役に立たないより、具体的な手段で、少しずつ自分のものにしていく方が好きです。正体の分からないもので、あれこれ言いたくないし、言われたくもありません。オバケなんていないさ。でいいじゃん。と思っています。

大切なのは「正体の分からないもの」に惑わされないことです。そして、手触りのあるやり方を自分で見つけていくことだと思っています。オバケなんていないさ。

noteにまとめています

コミュニケーション能力という言葉の曖昧さと、信頼関係の構築については下記のnoteにまとめていますので、よかったらご覧ください。

「コミュニケーション能力」というオバケ


K君に伝授したWebマーケ支援最初の半年の目標

後輩のK君がWebマーケ支援のデビューをするにあたり、「最初の半年」の目標と手段を伝授したのが下記です。

目標
顧客から信頼してもらうこと

手段
① 必ず事前準備をする
② 全体の予定と目先の宿題は必ずセットで説明する
③ 顧客事業やリードに興味を持つ(目を通すだけでもいい。でも絶対見る)

Webマーケ支援を担当すると、「成果を出さなきゃ」の気持ちになるのですが、最初の半年なんて簡単に出る訳がありません。そもそも顧客との関係性も作れていないし、顧客の理解も深まっていないのに、焦って空回りばかりするという悪循環に陥ります。結果、そのまま塩漬けになって、誰も口に出さなくなるという。地方BtoBのWebマーケ支援あるあるだと思います。

成果を出すためにも信頼関係構築が必要だとしっかり見極めて、最初の半年はそれに費やすのも方法のひとつです。 もちろん、顧客にはそれを説明して合意いただく必要はあります。ぼくはよく、Webマーケ支援のキックオフMTGで「最初の半年は成果が出ません」とお伝えして今後の予定を話し合います。

アドバイザー業における売物は「安心」

K君に伝授した「最初の半年の目標」は教わったものではなく、自分の経験から無理やり言語化したものですが、以前下記のツイートを見てとても共感しました。

広告に関わらずアドバイザー業における営業の売物は「安心」です

ぼくは営業職ではありませんが、本当にそうだと思います。


お客様との往復書簡

Webマーケ支援をして2年目に入ったBtoB顧客に「なぜ、そんなに信頼してくれたのですが?」と直接尋ねてみたことがあります。
このお客様はWebマーケティング1年目から積極的に取り組んでくださり、売上成果も出たのですが、それ以上に評価してくださったのがこの8項目でした。

Webマーケ支援をしている顧客からの評価
1)とにかく皆様のレスポンスが早いこと
2)とにかく皆様の熱量が、私たちのやる気を起こしていただけてること
3)私たち以上に、弊社の製品を理解し考えていただけてること
4)語彙力のない私にも理解できるようにわかりやすく説明していただけること
5)必ず先回りして準備していただけてること(これはかなり助かっています。毎回またやられた!と思っています(笑))
6)稲田さんに出される宿題も、きっと成果に結び付くのでは?という期待が持てること、また少しずつ結び付いていること
7)いろいろなことにチャレンジができることで、自分の成長にも繋がったこと
8)Hubspot導入時も金子さんに丁寧に説明していただけて、使いやすさを実感しております

事前準備や約束を守ることで顧客に信頼いただき、安心してチャレンジできる環境をつくることがWebマーケ支援で大切だと思っています。

お客様との往復書簡をまとめたnoteはこちらです。よかったらご覧ください。



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長野県BtoB企業の皆さまへ

ぼくが所属している株式会社JBNでは「BtoB企業への成果貢献」を目的とした戦略策定・Webサイト制作・Web運用支援・Webマーケティング支援を一気通貫で行なっています。

「営業活動にWebを活かしたい」「属人的営業から組織的営業に移行したい」とご検討のお客様はお気軽にお問い合わせください。


稲田英資について

株式会社JBNで戦略策定とWebマーケティング支援を担当しています。
BtoB企業の成果に貢献するWeb活用について、Twitterで日々ツイートしていますので、よかったらご覧ください。


稲田英資のnoteはこちらです

主にWeb制作のことや、BtoBのWebマーケティングについて日々の気づきを書いています。よかったらご覧ください。

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