見出し画像

新しい景色。日本、フランス、そして世界へ

フランスに来て3年がたった。そして今、また次のフェーズに、WAKAZEが進もうとしている。

パリで事業を立ち上げたときの過程やハードシングスはこちらのブログ記事で読んでもらえたらと思うが、今回は「これからの話」にフォーカスを当てたいと思う。

フランスでの挑戦

今まで、WAKAZEはフランスのパリで自社製造のブランドとして、製造〜販売までのバリューチェーンを一気通貫で行い、オンラインを主戦場としながらD2Cブランド的に事業を拡大してきた。パリでは日本酒市場が存在しないに等しいような環境だったので、最初はなかなか苦労した。市場啓蒙フェーズに飛び込んで海外で事業を創るのは難易度的にはかなり高かったと思う

「SAKEってスシレストランで最後に出てくるあの不味い蒸留酒でしょ?」と言われた回数は数え切れず、そもそも中国の白酒だという認識がフランスでは99%と言っても過言ではないくらいだった。マイナスイメージからのスタート(それでも単語としてSAKEが知られてる事自体は良かったのかもしれないが)なので、辛い。オセロを1つ1つ丁寧にひっくり返していく作業の連続である。

2021年辺りからフランスで急激に成長モードに入れたのは、純粋に試行錯誤の回数によるものと、熱狂的な潜在ファンの居場所がわかって、そこにアプローチできる手段を構築できたからだと思う。特に2022年はオンラインでのYoutuberとのコラボレーション企画(1個目は53万回再生、2個目は65万回再生)、オフラインイベント(1イベントで30万人来場)、5月にパリ中心地でオープンした常に満席のSAKEタップ提供の直営レストラン。「とりあえず全部やろう」だったのが、「これだけやれば行ける」という感覚にチーム全体がなってきたのは本当に不思議な感覚で、端っこにオセロを置く感じで一気に列ごとファンへとひっくり返っていく。どれをとってもフランスの地でアウェー環境でやっていくのは大変だったけど、日本人とフランス人の混成チームの強いコミットメントでやり抜いてこれた結果だと思う。結果的にはフランスでNo.1シェア、日本からの全ての酒蔵からの輸出額と同等の販売額を直近では記録して、市場規模を2倍にすることができたと言える。

グローバル展開への序章

去年の9月からはアメリカへの輸出が始まったおかげもあって、生産と出荷が追いつかない状況が今も続いている。夏にアメリカに行った際には、持っていったサンプルに対する反応の良さ(味、デザイン、ストーリーのすべての側面で)に驚いた。特にLAやサンフランシスコなど西海岸のカルチャーにはとてもマッチしているように感じた。

欧米、という言葉がある通り、アメリカとヨーロッパの消費行動はかなり近いなと思う。実際にWAKAZEの入居しているStation Fというフランスのインキュベーションに入っているスタートアップの95%位はM&AでEXITしていくわけだが、その半数はアメリカの企業に売却している。当然PMIをする際に言語的なハードルが大きくないというのもあるが、マーケットの性質が近いのでヨーロッパで大きくなってアメリカに展開というのがそれほど難しくないというのがあると思う。ヨーロッパの大きな事例ではSpotifyという音楽ストリーミングサービス、5000億円以上の企業価値をつけたフランスで最も有名なスタートアップ2社(BACK MARKET社とSORARE社)はいずれもフランスで立ち上がってすぐにアメリカに早期に展開して成功している。B2Bサービスであればローカル性が強いのでエリアをまたぐのは難しいが、B2Cはより国境をまたぎやすい(その分PFMは容易じゃない)ように思う。

フランス、パリでブランドを創ってきたのには理由がある。フランスに進出する際に、多くの投資家やビジネスパーソンから、「なぜフランスなのか」「なぜアメリカじゃないのか」「日本でやったほうが地の利が効いて良いのでは?」などいろいろなことを聞かれた。実際、日本でもアメリカでも中国でも多くの日本酒やSAKEにまつわるプレーヤーが立ち上がって、フランスで立ち上げてから苦しい中で比較されることも多く、正直に言って道のりは平坦ではなかった。ただ1個言えるのは「100%信じてやってきた」ことだと思う。何を信じてきたのか。「パリは世界の食文化の中心地であり、きっとパリで認められれば、世界中から注目されるブランドになる」ということ。結果的に、フランスでのブランド立ち上げから3年経った今、コロナから飲食需要が復活してきたタイミングで急激に問い合わせが増えて、アメリカからは月間6000本以上のオーダーがあり、中国やその他グローバルで多くの問い合わせを貰うようになった。パリからブランドを創ると信じてやってきたことは間違ってなかったと確信している。


シリーズBと宝HDとの資本提携

これまでの実績が評価されて、今年2023年1月4日に10億円のシリーズBの資金調達と、宝HDとの資本提携を記者会見で発表することができた。宝さんとの話が始まったのは結構前のこと。徐々にフランスで需要が高まってきて、将来的には生産キャパシティに限界が来ること自体は間違いなかった。同時に、10〜100倍大きな生産量の醸造所をイチからまた立ち上げるハードルは自分たちがやってきたことだからこそ、よくわかっている。ご縁があって宝HDの経営企画に関わる方々とディスカッションをする機会をいただき、そこから事業の構想について話すことが増えた。そんな中で、私の思っていた「大企業」のイメージを覆すように、宝さんの経営幹部の方々は本当にモノづくりに対して情熱を持って取り組んでいて、本気で「和酒・日本食文化を世界に」というビジョンを信じて取り組んでいるんだなと熱い気持ちになった。なぜならWAKAZEも共通する「日本酒を世界酒に」というビジョンを持っているからで、アメリカや日本での業務連携に向けた具体的な話をすすめる中で、きっと大きなインパクトをお互いを補間しながら生み出せると確信することができたから。宝さんの持つ技術力の素晴らしさや、ビジョンを熱を持って語る社員ばかりの組織カルチャーがとても好きで、口にすると恥ずかしいのだけど「技術と情熱の宝箱」だなと感じている。

ちなみに、この提携を進めるにあたってはICCで知り合ったヤッホーブルーイングの井手社長には、ヤッホー✕キリンの業務資本提携を実現された時の話含め、何度も相談に乗ってもらって、感謝してもし切れない。

そして、世界へ

いよいよこれから、アメリカ進出などグローバル展開がどんどん進んでいく。アメリカでは現地法人設立準備が着々と進んでいて、Ex-BCGやD2Cスタートアップ出身者などアメリカやフランスで強力なメンバーが続々とジョインしていて、日本酒の歴史を変えていけるようなチームになりそうで、本当にワクワクする。私の好きなスティーブジョブスのスピーチの一節に、「Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose. You are already naked. There is no reason not to follow your heart.」という言葉がある。30代にもなると、何かを始めるときには、終わりも同時に頭をよぎる。それでも、始めることでしか、何も変えられないし、ビジョンは実現できない。失敗したときの恥、何かを失う可能性、そして期待からの重圧など全てを何も恐れず、一歩踏み出すこと。日本酒という日本が持つ素晴らしい固有の文化を世界規模に広めていくことを通じて、歴史と伝統に裏打ちされた日本のモノづくりのポテンシャルをグローバルに開放していきたい。


<採用情報>

最後に、これからのグローバル展開に向けて、採用を強化しているので、「我こそは世界に打って出たい!」という熱い気持ちを持った仲間を待っています。
・募集一覧ページはこちらから
・2023年1月20日開催予定の採用ミートアップイベントはこちらから
・会社説明資料はこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?