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井中蛙の映画感想46! 2023/11/3(金祝) 【ゴジラ-1.0】※ネタバレ注意

 【ゴジラ-1.0】
 鑑賞日:2023/11/3(金祝)
 視聴方法:劇場(川崎チネチッタ)

・予告編で期待値上がってたのとネタバレに怯えるのも嫌だったので友人らと公開初日に突撃してそのまま感想打ち上げ飲みを決めてきた。

・結論としては「シン・ゴジラ」越えはいかないかな・・・と思いつつも期待には応えてくれる出来でなかなか面白かったです。

・前作「シン・ゴジラ」鑑賞後に抱いたのは「めちゃくちゃ面白かったが、『災害対策シミュレーション』としてのゴジラ映画は今後これがベンチマークになってしまうと考えると次作の担当者のハードルをだいぶ上げてしまったぞ。シリーズの継続という観点から見ると大丈夫か」というやや不安寄りな感情だった。

・のだが、その後のゴジラシリーズは、ハリウッドのモンスターバースシリーズがアクション重視脳筋おバカ映画路線、国産アニメのシンギュラポイントがSF重視路線と、怪獣映画というジャンルの持つ面白さの中からどこのパラメータに特化させるのか、という観点でしっかりシリーズ別作品との差別化を図ってきているように感じていたので、そういった不安はここ数年でだいぶ払拭された状況であった。

・それを踏まえて、他シリーズとの差別化という面で今作を評価すると、シリーズの最大公約数的な作風にはなっているものの、シン・ゴジラで受けた要素(人々が力を合わせて困難を乗り越えるプロジェクトX的路線)は受け継ぎつつ、政府とかのマクロ目線をばっさり切って民間主導の話にして大衆向けに寄せたりと工夫はされてたので良かったと思う。

・VFX表現の迫力は見事の一言。熱線発射シークエンスは背鰭の演出もさることながら、タメてタメてタメてからの発射→一瞬で着弾して大爆発のメリハリも非常に印象深い。

・中盤の口内で機雷爆発→すぐ再生とか、高雄参上!→高雄瞬殺の流れの絶望感の演出はマジで素晴らしかった。あと銀座襲撃の映像の迫力も最高なのだが、そこは予告編でほとんど開示済みだったのと、街襲来展開はその一回だけだったのがやや残念だったかな。

・一方、登場人物が自分の心情や作品のテーマをセリフで説明しすぎたり、芝居がかった演技でウェットに感情を発露したりといういかにも”クサい”邦画的演出は少し鼻につく感じがあった。(シン・ゴジラでそういう要素が少なかったのをストレスフリーに感じていた側だったので)

・ミリタリー的造詣には疎いので「史実のあの兵器が出てきた!」的な感動はあまり無かった。一方シリーズのファンとしては初代やGMKを中心としたオマージュにはおっと思うところもあって良かったです。やっぱゴジラのテーマはテンション上がるよね。

・時代背景的にどうやってゴジラを倒すのか?の解答もわりと説得力があってよかったです。

・序盤のギスギスした空気感がずっと続くとキツイかなと思って見ていたが、安藤サクラが徐々にツンデレを発揮したり、新生丸クルーが出てくるあたりから少し和やかな空気にシフトしていったのでだいぶ救われたし、せっかく少しずつ取り戻したささやかな幸せがゴジラに壊されるという前フリとしても機能していて良かった。吉岡さん演じる学者の野田は個人的にだいぶ癒し枠でした。

・神木隆之介演じる帰還兵のサバイバーズギルドとその克服をテーマにしたシナリオ展開は、群像劇であるシン・ゴジラとは対照的に私小説的要素強くてが好みが分かれそうだが、ここも前作との差別化ポイントと考えれば個人的には悪くないと思いました。

・海に落ちた浜辺美波がなぜか次のシーンでゴジラの進む先をフラフラ歩いてたりとか、時間がない中で敷島が(トラウマにケリをつける機会を与えてあげたかったとはいえ)橘整備兵を探すことにこだわったりとか、ちょこちょこツッコミどころはあったけどまあいいか。

・「実は生きていた展開」もまあご都合主義なんだけど、テーマをポジティブなものとして着地させるためには必要だったと思うので良しとする。

・2004年に一度シリーズの終焉に立ち会っているファンとしては、なんやかんや「国産の大作映画とのしてのゴジラ新作」が作られ続けるのが嬉しいし大事だと思うので、後に続くクリエイターの方々には頑張っていただきたいと思いました。未視聴ですがHOSHI53とかのインディーズ映画やらガメラの新作アニメやらもコンスタントに出ているし、頑張れ日本の怪獣コンテンツ。

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