井中蛙の映画感想38! 2022/06/25(土) 【トップガン マーヴェリック】※ネタバレ注意

【トップガン マーヴェリック】
 鑑賞日:2022/06/25(土)
 視聴方法:劇場(字幕版・IMAX)

○続編として
・予告編をチラ見した段階で前作で亡くなったグースの遺児との確執がテーマになるっぽかったので、ストーリー忘れてる前作を復習して臨んだのですが、結果的に大正解だった。
・以前はリブートや続編モノの企画が乱立する状況に対してちょっと捻ったモノの見方をしてたんだけど、シンウルとククルスドアンと本作でやっぱり「『(主にシリーズ作品やオマージュ元に関する小ネタ等の)予備知識が新作でサルベージされる時のアハ体験』も立派な映画体験の面白さの一つである」と肯定的に考える方向に価値観が動いている。進研ゼミでやったところがドンピシャでテストに出たら誰だってテンション上がるだろ!
・アイスマンと語り合うところは普通に感動した。LINEでのやりとりはなんか時代を感じさせて笑えるけど。
・いきなり冒頭で流れる「Danger Zone」に、エンドロールの「Anthem」、ところどころ写真として登場する前作キャストの往年の姿等、アマプラで最近前作を観ただけの自分でも結構テンション上がったので、リアルタイム世代のシニアが観たらマジで感涙ものなんだろうな。

○ストーリー面
・前作と比べると、ストーリーの序盤に「爆撃ミッションの達成」という最終目標が提示され、そこに向けてどうやって若手を育成するか、どう彼らとの確執を乗り越えるかというアプローチで話が進行していくため、構成としてもすっきりしていたのがよかったです。
・前作クライマックスの実戦は最後にいきなり始まることもあって、「マーヴェリックの内面の問題(グースを死なせた事による挫折からの復活)の延長戦上にある青春ストーリー上のギミック」としての色合いが強かったんだけど、今回の爆撃ミッションは最初から作戦の政治的意味合い等が語られており、「軍人・マーヴェリックがコミットしなくてはならない使命」という性質が前面に出ていた上、訓練パートでその達成の困難さがこれでもかと強調されるので、最初から最後まで緊張感を持ってストーリーを追うことができました。
・ぶっちゃけると前作の感想としては「めちゃ良くできた作品だけど、マーヴェリックにそんなに情熱的に感情移入しながら見れたわけではない」といった感じで、過去に2回投稿した感想記事のトーン(非常に表面的な褒め方)にもそれが出てると思うんだけど、たぶんそれは前作がマーヴェリックの「若気の至り(とそこからの成長)」を描いた作品ゆえに、30代になってから初めてこの作品を見た自分にとってはそこまで切実なテーマとして捉えられなかったというのはあるかもしれない。この辺、今作を観たことで遡って明確に言語化することができたので、そういった点でも両作を連続で観てよかった。
・逆に今作は36年越しの続編ということもあり、話のテーマが「おっさんになったマーヴェリックが次の世代に何を残すのか」に移行しており、その点でもかなり入り込んで観ることができた。
・ヒロインとの恋愛パートも、前作が「青春の甘い1ページ」的なニュアンスが強かったのに対して、今作のシングルマザーとの恋愛は完全に「壮年男性が腰を落ち着ける場所を探す」的なトーンが前面に出ており、その所帯染みた感がまた味があって良かったです。
・確執→和解→共闘!の流れがしっかり入れ込まれた熱いシナリオはナイスの一言で、クライマックスのバトルでそれが完全に昇華される展開はザ・エンタメ!と拍手を送りたくなります。

○アクション
・「前作の戦闘シーンで若干何やってるのがわかりにくかった反省を活かして、今作はあえてドッグファイトより爆撃ミッションをアクションシーンの主題に置いたのかな」と思いながら最初見ており、それゆえにそのミッションが本番では割とトントン拍子に進むのは盛り上がりに欠けるなあ、とも思っていたのですが、そこはまさかの前座でその後きっちり激アツなバトルシーンを用意してくれているのが最高でした。
・その「前作の戦闘シーンで若干何やってるのがわかりにくかった」という印象も、映像技術の進歩もあってか今作では正直かなり解消されていた。普通にF-14 vs第5世代の戦闘は手に汗握りながら見てしまったし。歴戦の勇士が型落ちしたかつての愛機を駆って最新鋭の敵機と大立ち回りを演じるとか、ロマンの塊すぎるだろ!
・「登場人物のコールサインがヘルメットに書いてあるので戦闘シーンでもキャラの見分けつきやすい」親切演出が前作から継承されているのがよかったです。
・何よりIMAX上映による映像の迫力がやばい。まさしく劇場で観ることに意義があるでしょう。これが2,500円で週末に楽しめちゃうとはいい時代よ。

○総括
・最初そこまでめちゃくちゃ期待値が高いというわけではなかったのですが、正直ドチャクソ面白かったです。
・単体で見ても傑作だし、前作との距離感もあらためて図り直すことができたという点ですばらしい続編でした。


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