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【戦後70年 北海道と戦争:下】 書評#61

みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。

自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

今回は、先の戦争が終結した日です。

絶対に忘れられない日、忘れてはならない日。

ということで、今回は戦争関係です。
それも、私の住む北海道についてです。

※書影(画像)は、版元ドットコム様から頂戴しています。いつも、ありがとうございます!


基本情報

北海道新聞社(編)
北海道新聞社 出版
2015年11月11日 第1刷発行

全454ページ
読書所要期間8日

私が本書に出会うきっかけ

この本は、私の娘が通う中学校の本棚にあったのを見かけ、帰って速攻でポチをした一冊!
(厳密には、上下巻あるので二冊)

私は、毎年終戦記念日に向かって、戦争に関する本を読むというマイルールというか習慣というか、「さぁそろそろ暑くなってきたから何か読むかぁ」といった感じになっている。
これは、決して義務感で読んでいるのでなく、進んで読むことが身に付いたという感じ。

私の住む北海道において、先の戦争が具体的にどのようであったのか、どれくらい爪痕を残したのかを知りたかった。

この本の本質・言いたいこと

もう二度と、日本が過ちを犯さないために、北海道に関わりの深い戦争の姿を改めて整理し、記録に残そうとするもの。
比較的目に触れやすい、学びやすい日本全体の動きと、北海道での動きを対比させることで、非常に全体像を理解しやすいものとなっている。

新聞社という編者の強みを活かし、直接経験された方やそのご家族の生の声もふんだんに盛り込まれている。

特に優れていると感じるのは、内容もさることながら、上下巻ともにある巻頭の年表。
その時日本はどうだったか?
そして世界はどうだったか?
これに加えて『北海道ではどうだったか?』
が時系列でまとめられている。

私が感じたこと

1点目 〜北海道というリアリティ

「本質」に書いたとおり、本書は北海道での太平洋戦争をまとめたものである。
全国的に、そして世界的にみるこの戦争の姿は、度々本などで見てきたが、私が現に住む北海道にまつわることを詳細に知ることができるものは初めてである。

そういった意味で、ただでさえリアリティのあるものなのだが、それをより強くさせるものがある。

それは、私の住むマチに今も住む方出身者の方の声がいくつも出てくるということ。
当時のその方の様子もさることながら、当時のマチの様子も同時に語られている。
当たり前と言えば当たり前なのだが、私の住むマチも、そこに住んでいた方々も先の戦争に無関係ではなかったのだということを改めて突きつけられた。

2点目 〜戦時下の戦争

古くから北海道に暮らし、守ってきたアイヌの方々。
これまでの歴史からみて、アイヌの方々は様々な場面でしいたげられてきた。

戦争がアイヌの方に強いたことも、当然に例外ではない。
それどころか、同じ日本人として戦いながらも、日本人から蔑視される。
戦時下にありながら、日本国内で民族と民族の争い、というよりはあまりにも一方的な差別があったという事実が本書に記されていた。

そうした苦労をされているからこそ、私の心の奥底にとてつもなく響く言葉があった。
なぜだろう・・・
涙を堪えることができず、読みながら溢れてきた。

私たちは、決してこの方々の気持ちを忘れてはならない。
そうした強い想いを抱かせてもらったので、あえて引用させていただくことにしたい。

本書に出てくる、とあるアイヌの方々の言葉である。

「日本人は差別することが得意で、平気で人をばかにしてきた。これからの日本人は人を侮ることなく、戦争を再び起こすことがないよう、反省すべきだ。」

本書P304

日本人が外国の方々にしてきたこと、日本人が日本人にしてきたこと。
いずれも包含する深い言葉である。

「どんなに仲のいいふたりでも、話し合いが不十分なときは、二人の理解が不足して、感情のままに口論したり、けんかをしたりするでしょう。人間にさずけられた宝物であることばを、大切に使うことです。」

本書P306

二人の人間の関係性を例として、海外の民族と日本人、日本国内の民族と民族、そして国家間など、様々なシーンに通底する指摘である。
”ことば”という人間ならではの技術により、人間を人間たらしめ、人間を守っていくのだという強い想い/願いを感じる。

むすびに

今年は、私のマイルールに従い、8月15日に向かって読んだ戦争にまつわる3冊目の本であった。
特に本書は上下巻で、北海道にまつわることを立て続けに読んだ。

読んでいて、正直心がしんどかった。辛かった。

こんなことを言っていられるだけ平和なのだということを、逆説的にかみしめている。

そして、これを書いているとき、私の娘たちの笑い声が聞こえてきた。
やはり平和だ。


以上です。

私たちはこの先も、平和でいられるのでしょうか。

今もどこかで戦争は起こっています。
攻撃を受けて、誰かが苦しんでいます。
攻撃をして、誰かが苦しんでいます。

戦争をして、苦しまない人がいるのでしょうか。
戦争をして、何か良いことがあるのでしょうか。

私には、全く理解できません。

本日も、誠にありがとうございました。

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