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【オレンジ・ランプ】 書評#71

みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。

自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

今回は、認知症についてです。
認知症について、みなさんはどんなイメージをお持ちですか?

ヘッダーは、さおさん。さんの作品を使わせていただきました!
今回の本から私が感じたことは、明るい未来・希望ある人生です!
加えて、人と人とのつながりの素晴らしさです!

タグ付けで、「明るい未来」と「人と人とのつながり」がどちらもありました!!

最高の画像をありがとうございました!


基本情報

山国秀幸(著)
幻冬舎文庫 出版
2023年4月10日 第1刷発行

全214ページ
読書所要期間2日

私が本書に出会うきっかけ

端的に言うと、妻のすすめである。
妻が図書館から借りてきたものを一旦返し、それを再び借りてきたため、積読しているものを差し置いて、優先的に読んだ。

図書館から借りてきたものは、今回初めて書く。

妻は実際に主人公の方とお話ししたことがあるらしく、それで本書を知り、読むきっかけとなったという。

この本の本質

主人公は、序盤に自分自身が認知症であると診断を受ける。
その時の気持ちは、「人生の終わりの始まり」だと表現されていた。

しかし、家族に支えられ、同じ境遇の人々に支えられ、同僚に支えられ、
「新しい人生、新しい旅が始まる」。

認知症になることは、
『終わりではなく、始まりだ』

これを強烈に、鮮明に教えてくれる。

私が感じたこと

1点目 〜葛藤

序盤、主人公はどんどん怒りっぽくなっていく。
色んなことを忘れ、それを心配する家族や周りの人々から、あらゆる行動をどんどん制限される。

すると主人公は、制限されればされるほど、どんどん自分はダメな人間だ、情けない人間だ、と落ち込んでいく。

しまいにその落ち込みは爆発し、周囲に辛く当たってしまう。
そうしている自分にまた落ち込む。

ふと冷静になった時、特に辛く当たっていた身近な存在の妻に対し、しっかりと謝る。
でも、今後はその謝るということすらもできなくなるのか・・・
その不安でまた落ち込む。

この不安と怒りの連続・・・

果たして私も同じ症状になった時、不安と怒りの連続に苛まれるだろうか。
おそらくそうなるのだろう。

2点目 〜受容

そうこうして過ごしていると、一つの大きなきっかけが訪れる。
それは、主人公の両親と主人公の妻とのやり取りの中で見出される。

要するに、すでに認知症とともに暮らしていらっしゃる先輩方々と出会う機会を得る。
妻に説得され、渋々いくことになるのだが、この出会いが主人公の考え方、生き方を大きく転換させる。

そしてそこから主人公とその妻が得たものは、
『困ったときだけ、困ったと言えるようにする』
『困ったと言ってきたときだけ、支援する』

それまで主人公は、自身が認知症だということを隠そうとしていた。
しかし、人々との出会いで、そこから一歩踏み出したのだ。

果たして私が同じ症状になったとき、それを隠そうとするのだろうか。
おそらくそうなるだろう。

しかし、人は一人では生きられない。
今までも、多くの方々に支えられて生きてきた。
この先、これまでよりも少し頼ることが多くなるかもしれないが、支えてもらわなければ生きていけないということは皆同じだ。
そう割り切って生きていけるようになりたい。

そしていつか、私がたくさんの人々にたくさん支えられることになるのだとすれば、それまでの間、私はたくさんの人々をたくさん支えたい。

むすびに(まとめ)

主人公は、次のようなプロセスをたどっていったと感じている。

認知症であると診断された後の葛藤
認知症であることを自分自身でしっかりと受け止める受容
前を向いて明るく楽しく、そしてみんなのために頑張る工夫
新しい自分を見つけ、それを高めていく修養

もう少し感情面にフォーカスすれば、
「涙から笑顔へ」
そういった印象を持っている。

主人公は、こうしたプロセスを経て、今もなお元気に自分らしく、人々に暖かく支えられながら豊かに生活している。

タイトルの『オレンジ・ランプ』
これは本文にも登場する重要なアイテムなのだが、私が思うにこのランプは、人々の豊かな未来をやさしく照らす『ともしび』なのだと思う。


以上です。

人生100年時代。
多くの人が、いつかは支えられる存在になるでしょう。
だからこそ、今のうちからしっかりとこの病を理解し、チャンスがあれば積極的に支援し、ピンチの時には支えてもらう。
私自身、そんな考え方・存在になっていけたらと強く感じました。

後半は特に、涙無しに読むことができませんでした。
しかしこの涙は、悲しいからじゃない。
人々の温かさに触れた感動から。

残りの人生約60年、そうした人間関係を築いていけたらと思います。

本日も、誠にありがとうございました!

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