愚痴は、こぼす人も拾う人も気持ちよくあるべき。
僕は、ついつい愚痴をこぼしてしまうのですが、その度に申し訳ない気持ちになります。
以前なら、もう少しマイルドに面白く、笑いも含めて話せていたのに、ここ最近は、創意工夫しなくても聞いてくれる人がいるので、ストレートな心の痛みを共有しています。
もともと僕は、愚痴を面白く話すのが好きで、学生時代からラジオ番組に愚痴をエピソードトークにしたメールを、毎日のように送っていました。
誰かに心ない言葉を言われると、相手の発言と行動に矛盾点を見つけて笑ったり、お門違いの指摘にツッコミを入れていました。
なので、愚痴といっても、これを面白く喋れることが嬉しくて、意気揚々と語っていました。
しかしながら、大人になった僕は、愚痴を笑いに換える労力もなくなるほど疲れてしまい、友達に愚痴をストレートに伝えてしまっています。
「これではいけない!」と思ったのですが、どうもこうも、嬉しい悲鳴の上げ方が分からない。
そんななか、代々木くんと話をしているときに、こんな愚痴を聞きました。
「あの女、鬼LINEしてくるんだよねぇー! それが嫌なんだよー」
代々木くんには、派手な髪色の女友達がいるのですが、その人の愚痴を気持ちよく語っていました。
僕には、そんな派手な髪色の女友達もいないし、女子から鬼LINEがくることもない。
愚痴る必要ある? それに、まんざらでもない顔で喋ってるし。
僕はこのとき、あることに気がつきました。
おそらく代々木くんは、本当にその女友達が嫌いなわけではなく、ちょっと面倒くさい点を挙げただけでしょう。
そして、代々木くんの心の中には、「女子から鬼LINEが来て嬉しい」という気持ちが、数%入っています。
つまり、愚痴という名の「嬉しい悲鳴」なのです。
そして僕は、代々木くんから聞いたこの話を、誰かに「愚痴」として喋るでしょう。
「この前、代々木くんの愚痴聞いたんだけど、人気者の愚痴って、レベルが全然違うんだよねー。俺たちは、仕事の人間関係で悩んだり、上手くいかないことに落ち込んだりするだろ?この前、代々木くんに愚痴を聞いたら、『女から鬼LINEくるんだよー』って言われて、次元が違うなーって思わされたよ。あぁー、俺もモテて困りてぇー!」
なかなかひどい話し方をしていますが、こんなふうに、代々木くんの話が僕の愚痴として消化されます。
しかし、それは決して、ただの愚痴じゃない。
嬉しい悲鳴を上げた愚痴なのです。
僕の心の中には、「人気者の配慮のなさを見つけられて気持ちいい!」という快感が、数%あります。
多少性格が悪くてもいいから、愚痴の中に嬉しさを込めると、聴いている人も悪い気はしなくなるし、面白がってくれると思います。
愚痴は、こぼす方も拾う方も、気持ち良いのが一番です。
もちろん、言わないに越したことはないんですが(笑)。
面白いと感じてくれた方、よろしければサポートお願いします。純粋に僕が嬉しいだけでなく、もっと量が多く、もっと高品質な作家活動ができます。どうぞ、よろしくお願いします!