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ハワイ&マオリの事例から考える、先住民族にとっての「所有の概念」

とても、心に残る記事を読んだ。NPO法人ミラツクによるメディアに載っていた、以下の対談だ。

ハワイの先住民族の現状や彼らが抱えている問題、その発端となった「所有の概念」の話などが載っていて、所有の概念にまつわるハワイの話は「あ、この話、知っている……」と心のなかでつぶやいてしまった。

もともとハワイの人たちには「所有の概念」がなかったのですが、1778年にキャプテン・クックによりハワイが世界に知られると同時に「土地の所有」という概念がやってきました。でも、ネイティブハワイアンたちはその概念が理解できない。なぜなら土地は神様のものであり、人間はその土地の面倒を見る存在だから。アメリカの先住民族も同じような歴史を経験してきたと思うのですけれども、入植者とのギャップがどんどん広がっていき、ネイティブハワイアンはどんどん追いやられてしまいました。

"先住民族の伝統復興を辿り、人と自然のつながりに影響を与える「所有の概念」を見直す。"より引用 https://miratuku-journal.org/article/68

日本ではあまり知られていないが、実はニュージーランド/アオテアロアのマオリとハワイは文化的にとても近い。というのは、マオリの先祖は伝統的なカヌー「ホクレア」でニュージーランド/アオテアロアに来たと言われているから。

ネイティブ・ハワイアンと同じような土地の所有の概念を持っていたマオリ。マオリも同様に「土地の所有」という概念が急にやってきて、どんどん追いやられてしまった歴史がある。マオリだけでなく、世界中の先住民族が似たような歩みをしているのではないだろうか‥‥‥。

その結果、ネイティブ・ハワイアンは、今こんな問題に直面しているそうだ。

土地を追われるということは、神々、または神聖なるものとのつながりがなくなっていくということ。鬱になってしまったり、アルコールやドラッグ依存症になってしまったり、Intergenerational Trauma(世代を超えたトラウマ)を抱えている、今のハワイがあります。私たちが見ているハワイの社会問題の根っこには、「所有の概念」が一番大きな影響をもっているのではないかと思います。

"先住民族の伝統復興を辿り、人と自然のつながりに影響を与える「所有の概念」を見直す。"より引用 https://miratuku-journal.org/article/68

ああ、分かる‥‥‥。これはマオリ学部で学んでいた時に、私もいろんなマオリの友人や教員の方々と接していて、感じていたことだった。大学で学び、就職して‥‥‥という道を歩む人たちがいる一方で、アルコール依存症になったり、貧困から抜け出せなかったり、といった事情を抱えている人の割合が、そのほかのルーツの人びとに比べて多かった。マオリ学部の卒業式の日に、友人が「私が親戚の中で初めて大学を卒業したんだよ!」と誇らしげに言っていたことが、今も忘れられない。

いろんな事情はその人の責任だ、なんていう人もいるが、置かれた環境も大きな影響を与えている。

ハワイでも、ネイティブ・ハワイアン(ハワイの先住民族)のホームレスが多かったり、土地の価格が高すぎて住めず、米国のラスベガスに移住していったり、といったことが起こっているという。

日本ではハワイ=楽園、というイメージだが、それだけでないのだ。

実は私はハワイに行ったことがないので、行く機会が訪れたら、ぜひ現地の先住民族の文化に触れて、いろんな事情を肌身で理解する時間を持ちたいな、と思う。

ぜひ、興味を持った方はぜひリンク先の記事を読んでみてください!


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