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藍染にタデアイの茎が役にたつ

 タデアイの中でインジカン(藍色に発色する前の成分)を含んでいない部位として、蒅(すくも)作りでは基本的に除去される茎。
 けれどもしかして、意外と役に立ってきたのかもしれないと考えられる記述や体感があるので、まとめてみようと思います。
 藍染めの下準備にお役に立つことがあるかもしれません。


アミノ酸(タンパク質)を豊富に含む茎

 タデアイの全草にアミノ酸(タンパク質)が豊富に含まれています。これはインジカンを含む葉にも含まない茎にも同様です。ちなみに、葉と茎のインジカン含有の有無は、自然乾燥させるとよく分かります。

左:自然乾燥させたタデアイの茎 右:自然乾燥させたタデアイの葉

 右の葉の方は、乾燥する間に葉の中のインジカンが化学変化を繰り返し、インジゴに発色したため、黒っぽくなっています。それに比べると茎の方は明るい干し草の色ですね。これを粉末にするとさらにその違いが分かりやすくなります。

左:乾燥タデアイ茎の粉末 右:乾燥タデアイ葉の粉末

 同じ粉末状態にすると、いい感じに差異が分かりますね。こんなにも違う。インジカンを含む葉は染料に使うとして、茎はアミノ酸(タンパク質)を豊富に含んでいることに着目した利用方法があります。

 乾燥させた茎5グラムを100グラムの水に入れて30分煮立て、タデアイ茎エキスを作ると、どれほど豊富にアミノ酸を含んでいるか、さまざまに楽しみながら実感することができます。
 例えば小さなスプレー容器に上記のエキスを800倍に薄めたものを入れ、頭髪や顔などの皮膚に噴霧すると、ツルツルの質感に早変わりします。
 豊富に含まれたアミノ酸の働きで、キューティクルや肌の表面のケラチンの傷みを素早く補修するためです。
 中学2年生の次女がヘアトリートメントにタデアイ茎エキスを使用すると、髪がツヤツヤになりすぎ「ヘアピンが止まらなくなって、滑り落ちる」と笑っていました。

 例えば、同じようにタデアイ茎エキスの希釈液を、藍染めした後の絹やウールの仕上げにリンスとして使用するのも大変効果的です。タンパク質系繊維のツヤが増し色味も一層映えて、素晴らしい質感の仕上がりになります。

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