駆け出し百人一首(30)雪の内に春は来にけり鶯の凍れる涙今やとくらむ(二条后・藤原高子)

雪(ゆき)の内(うち)に春(はる)は来(き)にけり鶯(うぐひす)の凍(こほ)れる涙(なみだ)今(いま)やとくらむ

古今和歌集 春上 4番

訳:雪がまだ降っている中、もう春が来てしまったなぁ。鶯の涙が凍っているのも、今はもうとけているだろうか。

Spring has come while snow remained. Today's warm wind will melt the ice of warblers' tears.


現在の暦でいえば、2/4が立春です(当時の暦では、1月からが春扱いです)。2/4、体感としてはまだ一番寒い頃です。2月にはまだ雪もよく降りますね。
雪の中での立春。まだ春の到来は感じにくい中で、高子さんは遠くに思いを馳せました。まだ姿を見せない鶯を想像したのです。実際に涙が凍ることがあるかどうか分かりませんが、小さな鶯、その小さな目を思う上品な優しさが染みる一首です。


文法事項

来にけり:完了「ぬ」連用形+詠嘆「けり」終止形。
凍れる涙:ラ行四段活用「凍る」已然形+存続「り」連体形。
今やとくらむ:カ行下二段「とく」終止形+現在推量「らむ」連体形。「らむ」が連体形なのは、係助詞「や」(疑問)による係り結び。


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