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情けは人の為ならず

↑前回までの続き

間違えやすいことわざなのは知っているが、じゃあ結局どういう意味なんだっけと問われたら自信を持って答えにくい。

「情けは自分のためでもある」が正しいらしい。そうそう、そっちだったね。

一方、「情けは本人のためにならない」という誤用も定着しつつあるようだ。文法上、打ち消しがかかる範囲に解釈の余地がある。どちらがより解釈しやすいということもない。

要は作者の思ったほうが正しいわけだが、今どきの現実には誤用のほうが即しているのだろう。優しいばかりではダメだと多くの人が気付いている。有名なフレーズがたまたまそこに共鳴して、本来の意図と違う使われ方をしている。

本人のためを思うなら、ときには厳しさも必要である。

この真理をうまく表現する言葉が他に見当たらない。「愛のムチ」が意味としては近いが、ムチで打つのはやり過ぎだと思う。手を上げるのは違う。情けをかけないくらいの厳しさがちょうどいい。

優しく甘やかされた子供は当然強くならない。かといって叩かれて強くなるのでもない。自分の力で立ち上がったときに人は大きく成長するのだ。それを信じて見守る側にもまた強さが求められる。

↓つづく