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フライドチキン狂想曲

ネット上ではエイプリルフールが企業主体のメジャーなイベントと化している。オフラインとの温度差がこれほど大きい現象も珍しい。仕掛ける企業があまりに多くて僕はもう自分から追いかける気力がなくなってしまった。

そんな中でケンタッキーのニュースを見た。

詰め放題と聞いて駆け付けちゃう人たちが愛おしすぎる。騙されたことは本当に気の毒だと思うし、嘲笑する気持ちはまったくない。ただ、店頭で嘘だと知ったときの表情を想像するとどうしても頬が緩む。

たぶんマクドナルドのビッグマックではこの感情は起きない。ミスタードーナツのポン・デ・リングも違う。比較してそれほど高級品というわけでもないのになぜかケンタッキーの詰め放題には夢がある。

食べ放題ではないこともポイントだと思う。詰め放題は持ち帰るのだ。夢が詰まった箱を抱えてホクホクの笑顔で一緒に食べる人のことや冷凍保存して数日に分けて食べる未来を考える。

現実にフライドチキンの詰め放題なんてしたら悲しいビジュアルになるだろう。そういうのは見たくない。嘘でいい。嘘が良い。想像するだけで幸せだから。

「こういう嘘はダメ」みたいな意見もあるようだが、これがダメならエイプリルフールは全部ダメでしょ。